3点バースト(スリーショット・バースト)とは銃器のトリガー・メカニズム(引金機構)において
3発を連続で発射する機能である。
こう書くと語弊があるかもしれない。
正確にはトリガー(引き金)を引き続けても3発で連射が止まる機能で、
射撃途中でトリガーを戻せば、射撃は中断される。
この機能はアメリカ軍に1982年に採用されたM16A2に搭載され、諸外国に影響を与えた。
3点バーストの考え方には諸説あるが、主目的として弾薬の節約が挙げられる。
これはフルオート(連発)射撃においてトリガーを引きっぱなしにすると
アッという間に弾薬を撃ち尽くしてしまうばかりか、
反動で銃口が跳ね上がってしまい、正確な射撃を望めない。
この傾向は特に経験の薄い新兵において顕著で、
撃ちまくることによって戦闘に於ける恐怖を克服しようとしてしまうために起こる。
結果的に戦闘後半の重要な時期に弾薬欠乏を起こす、という羽目になってしまう。
これを防ぐためにM16A2ではフルオートを廃止し、セミオート(単発)と3点バーストの射撃モードのみを装備するに至った。
フルオートを廃止することによって弾薬の節約を狙ったわけだが、
この方法はいささか強引でもあった。
フルオートであれば射手が引き金を上手く操作する(指きり)事によってバースト(短連射)射撃を行なう事が可能であると同時に
バースト機構そのものが繊細であるからだ。
そのため、欧米各国なども3点バーストを採用することはあっても、フルオート機能は残した。
例を挙げると
・FA-MAS(フランス)
・FNC(ベルギー)
・Stgw90(スイス)
・89式小銃(日本)
・AR70/90(イタリア)
などである。
このうち、FNCをライセンス生産したAK5(スウェーデン)では3点バーストを廃止している。
これは寒冷地であるスウェーデンにおいて動作の信頼性に不安があったためである。
また、
・L85A1(イギリス)
・G36(ドイツ)
などは3点バースト機構の搭載は考慮されていない。
特にG36は比較的新しい採用のライフルであるにも関わらず、搭載していないということは
ドイツ軍自体が3点バースト機能に興味が無いことを示している(G36のバリエーションとしては2点バーストの選択が可能)。
なお、旧東側の国々での採用例が低いのは複雑な機構の製造が上手くいかないからだとされる。
これから先、どうなるのかは分からないが、世界的に見て3点バースト機構は減っていく傾向になるのではないだろうか。
何しろ、米軍ですらM16A2の3点バースト機構をフルオート機構に置き換えたM16A3を採用しているくらいなのだから。
なお、ドイツH&K G11に搭載されている3点バーストやロシア AN94に搭載されている2点バースト機能は
上記の3点バースト機能と異なる理論から搭載されたものである。
追記
3点バーストにはフルオートにおける命中精度向上という意味合いもある。
フルオートで引き金を引き続ければ、銃口の跳ね上がりにより射撃を続ければ続けるほど標的と着弾の距離は開いていくが、
2~3発のバーストであればそれほど着弾は広がらない(だろう)。
そのため、自衛隊などにおいてはフルオートの射撃をバーストとなるよう訓練するようだが、
3点バーストというのはこの「指きり」によるバーストを銃本体が出来るようにした機構である。
本当に必要な機構かどうか、それは時間の経過と共に結論が出ることであろう。
最新の画像[もっと見る]
-
小牧基地航空祭 2ヶ月前
-
小牧基地航空祭 2ヶ月前
-
小牧基地航空祭 2ヶ月前
-
中部エアガンマーケット 3ヶ月前
-
ショットショージャパン 5ヶ月前
-
岐阜公園 6ヶ月前
-
艦隊名古屋6 6ヶ月前
-
守山駐屯地 創設65周年記念行事 7ヶ月前
-
関 刃物祭り 7ヶ月前
-
小市民シリーズ スタンプラリー 7ヶ月前
合理的というかドイツらしいというか。
このへんを突き詰めて見ていくと軍用銃は面白い。