久し振りに熱処理の話でも。
鋼材が熱処理されているのか、いないのか、つまりは焼き入れされているかどうかは見た目では分からず
(テンパーカラーがついているかどうかで見分けも可能ですが、ショットブラスト等やられてしまうと見た目に差が無くなってしまう)、
硬度計が必要になるわけですが、ロックウェルにしろショアにしろ、硬度計が手近にあるとは限りません。
そんな時に簡易判定として役に立つのがヤスリ。
品物に軽く当ててみて削れれば焼きが入ってませんし、逆にカリカリと弾くような感触が伝われば焼きが入っているという事になります。
詳しくは調べた事がないのですが、一般的にヤスリは炭素工具鋼(SK材)を焼き入れして作ってあり、
おおむね硬度はHRC60程度あるようです。
注意事項としてはあくまで比較材料となるヤスリの硬度がHRC60なのでそれより柔らかい材料だと削れてしまう事。
素材調質などでHRC40あたりに焼き戻しされていたら当然のように削れますが、
HRC10そこそこの生材よりは手応えが違うはず(今度やってみます)。
言うまでもなくダイヤモンドヤスリは使わない事!
また、余談になりますが折れないように持ち手の部分は焼き鈍されているのか、焼きを入れていないようで、
硬度は低いのでここで硬度を測っても低い数字が出る事が多いようです。
なお、専門的には硬度測定用のヤスリというのも市販されており、
数組がセットでHRC40とかHRC50とか硬度に種類があるのである程度の硬度の判定が可能です。
とまあ、ヤスリの話ですが、ヤスリに関するエピソードで有名なのは司馬遼太郎氏の三式中戦車の話。
訓練を受けた際、教官に言われて戦車にヤスリを当ててみたら硬くて削れなかったので「戦車すげぇ」ってなったけど、
後に部隊に来た三式戦車にヤスリを当ててみたら削れちゃって泡を喰った、というエピソード。
知らない人が聞いたら戦争末期は戦車もそんな品質低下してたのか、ってなる話ですが、
・溶接個所にあたる角を削ったので硬度が落ちていたのではないか
・装甲の工法が違い、硬度が落としてあったので削れた
等の説があります(実際に品質が低かった可能性も無くはない)。
かつての九七式中戦車は片面浸炭鋼板で表面硬度がかなり高く、ヤスリを弾いたと思われるのですが、
むしろ硬すぎる装甲板は対戦車砲弾などの徹甲弾を受けた際に割れてしまうのである程度硬度を落とし、
じん性を高めて装甲を厚くすることで防御性能を高める工夫が各国でなされていました。
三式もその設計だったのではないかと思われます。
まあ、このへんは有名な話ですし、先日買ったガルパン戦車読本Ausf.Bにもしっかり書かれていて完全に被るって言う…。
さらに余談。
先日、熱処理について教育の機会があり、色々悩んだ末に生材(HRC15程度)と焼入れ後の材料(HRC60程度)を硬度計で測って見せて
「同じ材料でも焼入れをするとこんなに硬く(ドヤァ!)」ってやったんですが、受けが悪く受講した新入社員がポカーンとしてるのでアレッ?て思ったら
引率の某氏が「その数字を見せられてもどれだけ硬いのか分からない」と言われて凍りつきました。
この経験を生かし、来年はこのヤスリ方式にしようと思って材料を揃えましたが、果たして…。
この教育、その他の部分でも完全に失敗だったので次はもっと分かりやすいものにしたいです。
鋼材が熱処理されているのか、いないのか、つまりは焼き入れされているかどうかは見た目では分からず
(テンパーカラーがついているかどうかで見分けも可能ですが、ショットブラスト等やられてしまうと見た目に差が無くなってしまう)、
硬度計が必要になるわけですが、ロックウェルにしろショアにしろ、硬度計が手近にあるとは限りません。
そんな時に簡易判定として役に立つのがヤスリ。
品物に軽く当ててみて削れれば焼きが入ってませんし、逆にカリカリと弾くような感触が伝われば焼きが入っているという事になります。
詳しくは調べた事がないのですが、一般的にヤスリは炭素工具鋼(SK材)を焼き入れして作ってあり、
おおむね硬度はHRC60程度あるようです。
注意事項としてはあくまで比較材料となるヤスリの硬度がHRC60なのでそれより柔らかい材料だと削れてしまう事。
素材調質などでHRC40あたりに焼き戻しされていたら当然のように削れますが、
HRC10そこそこの生材よりは手応えが違うはず(今度やってみます)。
言うまでもなくダイヤモンドヤスリは使わない事!
また、余談になりますが折れないように持ち手の部分は焼き鈍されているのか、焼きを入れていないようで、
硬度は低いのでここで硬度を測っても低い数字が出る事が多いようです。
なお、専門的には硬度測定用のヤスリというのも市販されており、
数組がセットでHRC40とかHRC50とか硬度に種類があるのである程度の硬度の判定が可能です。
とまあ、ヤスリの話ですが、ヤスリに関するエピソードで有名なのは司馬遼太郎氏の三式中戦車の話。
訓練を受けた際、教官に言われて戦車にヤスリを当ててみたら硬くて削れなかったので「戦車すげぇ」ってなったけど、
後に部隊に来た三式戦車にヤスリを当ててみたら削れちゃって泡を喰った、というエピソード。
知らない人が聞いたら戦争末期は戦車もそんな品質低下してたのか、ってなる話ですが、
・溶接個所にあたる角を削ったので硬度が落ちていたのではないか
・装甲の工法が違い、硬度が落としてあったので削れた
等の説があります(実際に品質が低かった可能性も無くはない)。
かつての九七式中戦車は片面浸炭鋼板で表面硬度がかなり高く、ヤスリを弾いたと思われるのですが、
むしろ硬すぎる装甲板は対戦車砲弾などの徹甲弾を受けた際に割れてしまうのである程度硬度を落とし、
じん性を高めて装甲を厚くすることで防御性能を高める工夫が各国でなされていました。
三式もその設計だったのではないかと思われます。
まあ、このへんは有名な話ですし、先日買ったガルパン戦車読本Ausf.Bにもしっかり書かれていて完全に被るって言う…。
さらに余談。
先日、熱処理について教育の機会があり、色々悩んだ末に生材(HRC15程度)と焼入れ後の材料(HRC60程度)を硬度計で測って見せて
「同じ材料でも焼入れをするとこんなに硬く(ドヤァ!)」ってやったんですが、受けが悪く受講した新入社員がポカーンとしてるのでアレッ?て思ったら
引率の某氏が「その数字を見せられてもどれだけ硬いのか分からない」と言われて凍りつきました。
この経験を生かし、来年はこのヤスリ方式にしようと思って材料を揃えましたが、果たして…。
この教育、その他の部分でも完全に失敗だったので次はもっと分かりやすいものにしたいです。
確かにいい方法ですね。
あの「口で糞たれる前と後ろにsirと言え!」とか命令したり
ひたすら組み立てと分解の単純作業を繰り返させたり
ジョギングでPT!PT!連呼したりするんですね。
今回も私は特別な際の指導のみで別段受け持ちは無いって言う…。
いやまあ、受け持ちの仕事が少ないのはいいんですが、立った一桁の新入社員の顔と名前を1年経っても覚えられなかったという問題が。