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米軍PASGTボディーアーマー 前編

2007-07-25 23:48:30 | ミリタリーコレクション

アメリカ軍は地上部隊の将兵の命を護るべく、数々の装備を開発してきた。
その中での一つが今回紹介するPASGTボディーアーマーである。

その前にボディーアーマーとは何かについて説明しておこう。
ボディーアーマーとは戦場で飛び交う危険な砲弾・手榴弾の破片から身体(ボディー)を護るための装甲(アーマー)である。
基本的にはベストの形態をとっており、その存在は第一次世界大戦にまでさかのぼる。(正確には中世や戦国時代の鎧が原点であるといえよう)
当時は金属板を使った物が主流で非常に重いため使用は限定的であり、大量に使用されるようになったのは朝鮮戦争後半まで待たねばならなかった。
防御性能は基本的に砲弾の破片から身を護る程度で銃弾の直撃には耐えらえないが、例外的に専用の防弾プレートを追加して防弾ベストとしての機能を備えた物が存在する。
現在、米軍が採用しているインターセプターボディーアーマーはこの機能が標準で装備されている。
防御能力は年々向上している反面、兵士個人の負担も増えていくのが現状だ。

名称にあるPASGTとは
Parsonal Armormentsystem for Ground Troops(地上部隊将兵用個人防御システム)
の略称で、PASGTヘルメットとPASGTボディーアーマーからなる。
このPASGTは1978年に開発を開始し、1982年から支給を開始したシステムで、
素材には1965年にデュポン社が開発した高張力アラミド繊維「ケブラー」が使用されている。
ケブラーは同重量の鋼鉄の5倍の強度を持つといわれている。
このPASGTは他のLC-Ⅱ装備などと共に1983年のグレナダ侵攻作戦の際に第82空挺師団などによって使用され、実際に2名の兵士の命を救ったとされているが、詳細は分からない。(少なくとも一件はヘルメットらしい)

さて、前置きが長くなったが各部を見てみよう。


厚さ8mm程度(推測値)ある黄色いケブラー繊維をウッドランド迷彩のナイロンでカバーして作られている。
前面左右にはポケット(ここだけコットン製)が縫製され、その上には手榴弾やL型ライトなどの装備を引っ掛けておくためのナイロンテープがつけられている。
ポケットのふたはベルクロ固定だ。
肩部前面のところはナイロンが二重になっているが、これはライフルを構える時にバットプレートとこすれるために強度を上げているのだろう。
エリ部はやや高めにされ、首周りの防御にも考慮されている。
肩上部の部分は伸縮するゴム製のバンドで胴体部分とつなげられており、腕の動きを妨げることなく常に防御できるように考慮されている。
本来、この部分の下にLC-Ⅱ装備のサスペンダーを通すように設計されているようだが、大半のアメリカ兵はアーマーの上にサスペンダーを装備している。
いちいち外すのが面倒なのだろう。

前合わせの部分はこのようにベルクロで固定されるようになっており、左右のパーツが重なるようになっている。
これは以前のボディーアーマーがファスナー合わせだったために身体の前面中央部分、わずかな空間が無防備となっておりこの部分に破片が飛び込んで致命傷となったことがあったのが原因とされている。


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