ネタ探しに奔走する新聞社や週刊誌に、おいしいネタを提供し続けている集団が居る。その名も『社会保険庁』だ。
これまでにこの組織が行なって来た愚挙蛮行は、今更ここで書く必要は無いくらい有名である。
さて、私が年金を受給するまでにはかなりの時間があるが、せっかく暇人なので、自分の年金記録を確認してみることにした。
現在、社会保険事務所の窓口に年金記録の確認の為に向かうと、とんでもない時間待たされるらしい。日々自宅前道路の野良猫通過数を計測している私には、実に耐え難い苦痛である。
そこで私は、『年金個人情報提供サービス』なる物を利用することにした。
このサービス、自分の年金記録をインターネット上で閲覧できるという、非常に便利なサービスである。さっそく社会保険庁のホームページから申し込んでみる。
だがこのシステム、すぐには利用できないらしい。『お客様設定パスワード』なるものを設定した後、社会保険庁から書類が送られて来るのを待たなければならない。
インターネット上から申し込んだ事を、すっかりと忘れかけた頃、ようやく社会保険庁社会保険業務センターから書類が送られて来た。書類には申請受付番号と、ユーザーID、パスワードが記載されている。
さっそく自分の年金記録の閲覧を行なおうとするが、『お客様設定パスワード』を忘れてしまった様だ。その場合の対処方法には、要約すると、「もう一回申し込め!」と記載されている。仕方なく自分の脳ミソを絞ってみると、年金手帳に付箋を貼ったことを思い出した。
「おお、あるじゃん番号!やったぜ俺!すごくねぇ?」
最近の若者を見習って、自分で自分を褒めてみる。ちょっとむなしい…。
ついに自分の年金記録を見るときがやって来た。
「ないっ!ウルトラアイがないっ!」
私はウルトラアイを無くした時のモロボシ・ダンの様に取り乱してしまった(実際にウルトラセブンにそんなシーンがあったのかは知りません)。
いや、ウルトラアイでは無くて、私の年金記録、厳密には学生の頃の国民年金記録が無いのだ。そう、綺麗さっぱりと載っていないのだ。そこで『ねんきんダイヤル』という電話番号に電話をしてみる。
「おかけになった電話番号へは、お客様の電話からはおつなぎできません…」
どうやらNTTの光電話からは、ナビダイヤルへはつながらないらしい。実に不便な電話である。仕方なく携帯電話からかけてみる。
「はい、ええ、では年金番号を教えて頂けますか?」
電話の向こうの中年女性に番号を伝える。
「統合されていない記録がありますね。統合の手続きを行なって下さい」
「えー、ちょっと待って下さい。なぜ統合されていないのでしょうか?」
「それは手続きをされていないからですね」
「おかしいですね、会社できちんと手続きをしているはずなのですが」
「いえ、手続きをされていないから統合されていないんですね」
「あの、そちらのミスという事はありませんか?」
「ありません」
「なぜそこまで断言できるのですか?私はこれまでの社会保険庁に関するマスコミの報道を見ていると、とても信用できないのですけど」
「はあ、そう言われましても…」
「私が居た会社は、当時社員数は五、六人程度でした。私は事務の女性に言われて入社後何年目かに年金手帳を持って行き、新しい基礎年金番号通知書を手帳に貼り付けた記憶があります。もちろん今も貼ってありますけど。そして『これからはこの番号があなたの番号です』と言われた記憶もあります。さすがに統合に関する書類を書いたかどうかまでは覚えていませんが、何年も一緒に仕事をした事務の女性と、社会保険庁のどちらを信用するかと言われれば、間違いなく事務の女性を信用します」
「しかし現実には統合されていませんので、手続きをされていないんだと思いますよ!」
どうやら私が電話をした社会保険事務所は、マスコミが伝えるような「いい加減な」組織ではなく、正しく完璧に事務処理を行っている自信がある様だった。
「では、私はどうすればいいんですか?」
「統合の手続きを行って下さい。こちらから統合手続きの書類を送ります。それを持って社会保険事務所に行って頂くか、手帳を同封して郵送して下さい」
「私が行くんですか?」
「ええ」
「あの、私が会社を辞めたときは、わざわざ社会保険事務所の方が自宅まで訪ねて来て、『国民年金を口座引き落としにして下さい!』と頼み込まれましたけど?」
「それが?」
「国民年金加入者を目ざとく見つけて、頼みもしないのに家まで来るんだから、統合の手続きに来て頂いてもいいんじゃないですか?」
「それは出来ません」
「あんまり『名寄せ』に一生懸命じゃないんですね」
「いえ、職員一丸となって頑張っております」
「…」
「あ、国民年金手帳を郵送される場合は、必ずコピーを取っておいて下さいね」
「はあ」
「紛失してしまった場合に、大変なことになりますので」
「それはそちらが紛失した場合という意味ですか?」
「はい、それでは書類を送りますね」
「…」
私が電話を掛けた、完璧な事務処理能力を誇るはずの社会保険事務所は、国民年金手帳の紛失管理には自信が無いらしい。
それから約半年後、私の年金記録は未だに統合されていなかった。
確かに社会保険庁(事務所)からは、統合用の書類が送られて来ていた。だが、そこには郵送用の封筒すら同封されていなかった。これは自費で郵送しろと言う意味らしい。馬鹿らしくなった私は、そのまま半年間放置していたのだった。
だが私の手元に、一通の封書が送られて来た。それは『国民年金の銀行口座引き落とし』を奨励する内容だった。しかも『クレジットカードが利用できる様になりました!』とまで記されている。
「おお?」
なんとその封書には、『返信用封筒』まで同封されているではないか!正規料金で計算すれば、この『案内』を送付するのに80円、しかも返信用封筒を送付した場合の料金80円も、社会保険庁の負担だ。
この期に及んで社会保険庁は、年金を集めることには金を使うが、大問題となっている『名寄せ』には、金を使う気が無いらしい。
怒った私は単身(当たり前)、社会保険事務所に乗り込んだのだった。
(次回は血の雨が降りますので、心臓が悪い方は読まないことをお勧めします・笑)
これまでにこの組織が行なって来た愚挙蛮行は、今更ここで書く必要は無いくらい有名である。
さて、私が年金を受給するまでにはかなりの時間があるが、せっかく暇人なので、自分の年金記録を確認してみることにした。
現在、社会保険事務所の窓口に年金記録の確認の為に向かうと、とんでもない時間待たされるらしい。日々自宅前道路の野良猫通過数を計測している私には、実に耐え難い苦痛である。
そこで私は、『年金個人情報提供サービス』なる物を利用することにした。
このサービス、自分の年金記録をインターネット上で閲覧できるという、非常に便利なサービスである。さっそく社会保険庁のホームページから申し込んでみる。
だがこのシステム、すぐには利用できないらしい。『お客様設定パスワード』なるものを設定した後、社会保険庁から書類が送られて来るのを待たなければならない。
インターネット上から申し込んだ事を、すっかりと忘れかけた頃、ようやく社会保険庁社会保険業務センターから書類が送られて来た。書類には申請受付番号と、ユーザーID、パスワードが記載されている。
さっそく自分の年金記録の閲覧を行なおうとするが、『お客様設定パスワード』を忘れてしまった様だ。その場合の対処方法には、要約すると、「もう一回申し込め!」と記載されている。仕方なく自分の脳ミソを絞ってみると、年金手帳に付箋を貼ったことを思い出した。
「おお、あるじゃん番号!やったぜ俺!すごくねぇ?」
最近の若者を見習って、自分で自分を褒めてみる。ちょっとむなしい…。
ついに自分の年金記録を見るときがやって来た。
「ないっ!ウルトラアイがないっ!」
私はウルトラアイを無くした時のモロボシ・ダンの様に取り乱してしまった(実際にウルトラセブンにそんなシーンがあったのかは知りません)。
いや、ウルトラアイでは無くて、私の年金記録、厳密には学生の頃の国民年金記録が無いのだ。そう、綺麗さっぱりと載っていないのだ。そこで『ねんきんダイヤル』という電話番号に電話をしてみる。
「おかけになった電話番号へは、お客様の電話からはおつなぎできません…」
どうやらNTTの光電話からは、ナビダイヤルへはつながらないらしい。実に不便な電話である。仕方なく携帯電話からかけてみる。
「はい、ええ、では年金番号を教えて頂けますか?」
電話の向こうの中年女性に番号を伝える。
「統合されていない記録がありますね。統合の手続きを行なって下さい」
「えー、ちょっと待って下さい。なぜ統合されていないのでしょうか?」
「それは手続きをされていないからですね」
「おかしいですね、会社できちんと手続きをしているはずなのですが」
「いえ、手続きをされていないから統合されていないんですね」
「あの、そちらのミスという事はありませんか?」
「ありません」
「なぜそこまで断言できるのですか?私はこれまでの社会保険庁に関するマスコミの報道を見ていると、とても信用できないのですけど」
「はあ、そう言われましても…」
「私が居た会社は、当時社員数は五、六人程度でした。私は事務の女性に言われて入社後何年目かに年金手帳を持って行き、新しい基礎年金番号通知書を手帳に貼り付けた記憶があります。もちろん今も貼ってありますけど。そして『これからはこの番号があなたの番号です』と言われた記憶もあります。さすがに統合に関する書類を書いたかどうかまでは覚えていませんが、何年も一緒に仕事をした事務の女性と、社会保険庁のどちらを信用するかと言われれば、間違いなく事務の女性を信用します」
「しかし現実には統合されていませんので、手続きをされていないんだと思いますよ!」
どうやら私が電話をした社会保険事務所は、マスコミが伝えるような「いい加減な」組織ではなく、正しく完璧に事務処理を行っている自信がある様だった。
「では、私はどうすればいいんですか?」
「統合の手続きを行って下さい。こちらから統合手続きの書類を送ります。それを持って社会保険事務所に行って頂くか、手帳を同封して郵送して下さい」
「私が行くんですか?」
「ええ」
「あの、私が会社を辞めたときは、わざわざ社会保険事務所の方が自宅まで訪ねて来て、『国民年金を口座引き落としにして下さい!』と頼み込まれましたけど?」
「それが?」
「国民年金加入者を目ざとく見つけて、頼みもしないのに家まで来るんだから、統合の手続きに来て頂いてもいいんじゃないですか?」
「それは出来ません」
「あんまり『名寄せ』に一生懸命じゃないんですね」
「いえ、職員一丸となって頑張っております」
「…」
「あ、国民年金手帳を郵送される場合は、必ずコピーを取っておいて下さいね」
「はあ」
「紛失してしまった場合に、大変なことになりますので」
「それはそちらが紛失した場合という意味ですか?」
「はい、それでは書類を送りますね」
「…」
私が電話を掛けた、完璧な事務処理能力を誇るはずの社会保険事務所は、国民年金手帳の紛失管理には自信が無いらしい。
それから約半年後、私の年金記録は未だに統合されていなかった。
確かに社会保険庁(事務所)からは、統合用の書類が送られて来ていた。だが、そこには郵送用の封筒すら同封されていなかった。これは自費で郵送しろと言う意味らしい。馬鹿らしくなった私は、そのまま半年間放置していたのだった。
だが私の手元に、一通の封書が送られて来た。それは『国民年金の銀行口座引き落とし』を奨励する内容だった。しかも『クレジットカードが利用できる様になりました!』とまで記されている。
「おお?」
なんとその封書には、『返信用封筒』まで同封されているではないか!正規料金で計算すれば、この『案内』を送付するのに80円、しかも返信用封筒を送付した場合の料金80円も、社会保険庁の負担だ。
この期に及んで社会保険庁は、年金を集めることには金を使うが、大問題となっている『名寄せ』には、金を使う気が無いらしい。
怒った私は単身(当たり前)、社会保険事務所に乗り込んだのだった。
(次回は血の雨が降りますので、心臓が悪い方は読まないことをお勧めします・笑)
「立てよ市民!ジーク〇〇!」
と、ギレンみたいに演説して下さい(笑)
今までの仕事でも、何人かの役所の人と直接仕事をした事があります。もちろん全員とは言いませんが、悲しくなる仕事振りの人が多いです。特に「前と同じに」することにエネルギーを注ぎ込む人の多いこと、多いこと…。
でも、本気で自分の住んでいる自治体を愛している人も、少ないけど居ます。とても少ないけど…。そういう人に頑張ってもらいたいし、応援したいですね。