私は直接見ていませんが、勝つのは確実と思っていました。
本人の事前のインタビューで、確信を持って語っていたのを見て、
ちょっとびっくりしました。
全然、迷いのない顔でしゃべっている。
前回のドネア戦で、5試合分の経験をしたと言っていて、
今回は前回より5倍強くなったという事だと、自ら言っているのと一緒です。
そのままの結果が出ただけでしょう。
あくまで、私はボクシングでは素人ですが、
格闘技経験者としては、その言葉の意味がなんとなく分かります。
完全にドネアは、5手先を読まれていた。
ドネアも、前回で井上尚也の癖を読んでいたのでしょうが、
井上尚也は、5倍読んでいた。
だから、5倍早く終わったみたいなもんです。
柔道でも相手の癖を読めれば、自分より強く、上手い相手であっても、
攻撃はできなくても、投げられなくなります。
私の高校の時の1年上の先輩で、おそろしく受けが強い人がいて、
鉄壁の防御でした。
試合では、絶対に負けないけど、絶対に勝たない、
100%引き分けの人がいました。
昔は積極的にかけなくても、今と違って負けにはならなかったので、
必ず引き分けになっていましたが、日頃の練習でも全く同じで、
やってて、何が面白いのか全く分かりませんでした。
柔道において、攻撃を仕掛けるのは、凄く怖くて勇気がいる事です。
もし技を返されたらどうしようと思うと、体に力が入り、
びびって、技が中途半端になり、余計返されやすくなります。
100%でかけていけば、相手も防御で手一杯で、返す余裕が無くなります。
その上、人の心の機微が読めるようになると、
機先を制する事が出来るようになります。
文字通りの「柔よく剛を制す」ができるようになる。
井上尚也は凄いスピードで進化している。
多分、分野は違うけど、将棋の藤井壮太君と一緒なのでしょうね。
これからは、階級を上げていかないと、相手がいないと思います。
どうしていくのか、どうなっていくのか、とっても楽しみです。