横に長い木箱に、もみ殻が目一杯入っていて、その中にうずもれていました。
釘で閉じられている木箱の上板を外すと、もみ殻しか見えず、
その中に手を突っ込み、手探りで取り出していました。
そのせいで、何度もやっていると素手だと、
手が荒れてきて、痒い痒いとなり大変でした。
取り出したら、布などで良く磨いて艶々にして並べていました。
艶々になるのは、出荷前に、蝋でコーティングしてあるからです。
好きな人は、そのまま、かぶりついて食べて、芯まできれいに食べて、
上に付いている枝だけになっていました。
私の友達は、みかん一個を皮を剥かずに、そのまま口に放り込み、
丸ごと全部食べていました。
本来は、それが一番体にいいはずです。
現代は美味しいところだけ食べ過ぎです。
健康志向なら、出来るだけ全部食べるべきです。
実際、健康食品は、美味しくない捨てる部分を乾燥などに加工して、
体にいいと、わざわざ、高いお金を出して買っています。
日本人は世界でも、果物を食べない国だと言われています。
人によっては、果物は値段が高いとか言う人がいます。
私がその時には、果物は主食じゃないんだから、
そんなに、お腹一杯になるまでバクバク食べないでしょうと言い、
それに、旬の物を買ったら、そんなに高くはないです。
しかし、昔は今ほど流通が良くなかったから、
熟す前の青い固い時に出荷していました。
そのせいで、ほとんどの果物は甘いなんて無くて酸っぱいが基本でした。
最近の果物が甘いのは、流通が良くなり、
熟してから直ぐに送られてくるからです。
昔は手紙も含め、ちょっと遠い所から送られてくると、
下手すると一週間は、かかっていました。
ほとんどが、国鉄、今のJRの貨物輸送だからです。
何度も中継地で、貨車を、つなぎ変えたり、積み替えたりしていました。
だから、いつでも安定して存在するのは、バナナだけでした。
バナナも今より高級品でしたが、量が有るので、それなりに納得していて、
日がたつと、黒くなって値下がりし、真っ黒になると叩き売りでした。
シュガースポットどころじゃないです。
叔母は、それを10円ぐらいで買ってきて、
美味しそうに一人モグモグと食べていました。
甘くて美味しいのは知ってますけど、ゴキブリのような色だったので、
できたら食べたくなかったです。
以前にも書きましたが、豪快で男気の有る叔母が食べている様子は、
子供ながらに、鬼気迫るものを感じ、何かしらの恐怖が有りました。
バナナを食べるのでさえ、命懸けみたいです。
パイナップルは缶詰で売っていて、今みたいに、生で食べた事がなく、
初めて沖縄に行って、現地で完熟したパイナップルを食べた時は、
最高に感動しました。
甘いのは当然ですが、匂いが本当に良かったです。
シロップ漬けの缶詰めでは、匂いは、ほとんどしません。
まあこの完熟の匂いが、昆虫や野生動物を引き寄せるんですからね。
最後に、メロンの事を書かなくてはいけません。
結婚してから、嫁のお母さんが、メロン狩りに行って置いてるからと、
実家に行った時、切ってくれて、私が一番最初に食べたら、
熟し過ぎてて、甘さが無くなり、只々、えぐ味だけでした。
我慢して、半分ぐらい食べてから、これは、ちょっと無理です、
と言い、お父さんが一口食べて、こりゃアカン、こんなん食べられへん、
と言い、お父さんが、食べ頃を過ぎて、
いつまでも置いとったらアカンやないか、
とお母さんを怒っていて、せっかく大事に置いていたので、
ちょっと気の毒でした。
イヤー、本当に、エグかったです。
皆さんも、一度メロンでお試しください。
虫下しの薬と思って食べたら、体にいいかもしれません。
知らんけどー。