あとの祭り

7月の最終土曜と言えば、静岡市民にとっては恒例の安倍川花火大会の日にほかならない。

相方は寿司に釣られて勤め先の子たちと見に行くほうを選んだので、裏切られた気分の僕は、一人浴衣に執着するA子さん、死んでも浴衣を着たくないY紀さん、浴衣なんぞ持ってないと言い張るTとの三十路カルテットで河原へ向かった。
例年より多い1万5千発という触れ込みだったが、単発が目立つし打ち上げの間隔もやけに空いてるように思え、開始から一時間を過ぎてもまだ盛り上がらない。
来る途中でちょっとだけ見えた、暴発事故かと思うような景気のいい連発が見たいのに、4人ともいい加減待ちくたびれてお腹も空いたので、大混雑にならないうちに河原を後にした。
そしたらそのとたんに響く破裂音。
家並に隠れて見えないけど、今ごろになって連発してやがることだけは分かる。
後ろ髪引かれる思いはあるがまた河原に戻る気もしない。
それよりも今や生ビールな気分の僕ら腹ペコ4人組。
気を取り直し、いつものお決まりコースになってる居酒屋"D"に向かう足取りも自然と早く。
それだけに、店の前まで来たところで想定外の2文字『貸切』に遭遇したときのショックと言ったら他に例えようがないほどだった。