新玉川温泉。秋田県仙北市田沢湖玉川渋黒沢。
2023年6月6日(火)。
八幡平頂上のドラゴンアイ(鏡沼)の見学を終え、見返峠下駐車場から八幡平アスピーテラインを戻り、南に進んで新玉川温泉へ9時30分ごろに着くと、玄関に多くの人がバスを待っている光景に驚いた。玉川温泉や田沢湖方面へのバス待ちらしく、バスが来ると人はいなくなった。
新玉川温泉は有名な玉川温泉の姉妹館で源泉は同じという。日帰り入浴は新玉川温泉しか営業していないようなので、1990年代後半に宿泊したことのある玉川温泉には行かなかった。
日帰り入浴は10時からなのでロビーで待ち、800円支払って浴場へ向かった。最初の入浴客は5人ほどだった。浴槽で顔を湯で拭うと目がピリッとしたときに、10円硬貨が溶けるほどの強酸性だったことを思い出した。
玉川温泉は、秋田・岩手の県境にまたがる八幡平(火山)の秋田側に位置し、多様な泉質と豊富な湯量と効能から、本格的湯治場として人気が高く、長期で滞在する湯治客も多い。泉質は、塩酸を主成分とするpH1.05の日本一の強酸性泉である。
温泉地には地熱の高い地獄地帯が存在し、当地と台湾の北投温泉にだけ存在する北投石(ほくとうせき)から発する放射能を有するラジウム温泉の一種であり、多くの人がゴザを引いて岩盤浴を行う光景が見られる。
30分ほど滞在して、八幡平アスピーテラインを戻り、八幡平頂上のレストハウスまで来ると多くの観光客が歩いていた。ここから樹海ラインの岩手県側へ下り、松川地熱発電所へ向かった。
松川地熱発電所。岩手県八幡平市松尾寄木。
発電所入口前の駐車スペースに12時過ぎに着いた。松川地熱館を見学する予定だったが、火曜日定休のため閉館していた。本来の行程では水曜日に来ることになっていたので仕方ない。
地熱発電は、石油や原発以外による再生可能エネルギーの発電として太陽光発電・風力発電とともに注目されてきた。2007年にニュージーランド旅行をしたときにロトルアで大規模な地熱発電所地帯を通り過ぎて以来、同じ火山国として日本でも推進すべきと思ってきたが、原発推進の経産省あたりからのネガキャンに押されてしまっている。
日本は地熱資源量が世界第3位と豊富であるにもかかわらず今のところ日本の地熱発電量は世界で10位というレベルなので、日本は地熱発電のポテンシャルは非常に大きい。
松川地熱発電所は、岩手県八幡平市松川温泉にある地熱発電所で、岩手山の北麓・八幡平の南東にある。日本初、世界でも4番目の地熱発電所として1966年に運転を開始した。日本重化学工業が総工費20億円、4年をかけて建設した。同社の会社更生計画に伴い、現在は東北電力グループの東北自然エネルギーが運営している。認可出力は23,500kW。
2016年、日本機械学会により機械遺産に認定された。
松川地熱館はPR施設となっており、映像・パネルにより、地熱発電のしくみを紹介している。
高さ46mの巨大な冷却塔。
地熱発電は、地下1から3kmの地層中のき裂に貯えられている200度を越える高温高圧の地熱流体(ほとんどの場合熱水)を、掘削によって取り出し、その蒸気で発電を行う。地熱発電所では、一般の火力発電所のように蒸気を作るための燃料(石炭、石油など)がいらず、また発電する際に放出される炭酸ガスも火力発電所の1/10から1/20なので、クリーンな国産エネルギーといえる。地下から噴出する流体の一部は、温泉、温水プール、暖房、温室栽培用グリーンハウスなどに利用されている。
松川での地熱開発は、1952年に地元の松尾村が温泉開発のために掘削した井戸から蒸気が噴出したことがきっかけとなって始まった。この蒸気に着目した東化工(株)(のちの日本重化学工業)は、昭和31年から地熱蒸気の調査に着手し、約10年間の調査・建設期間を経て、1966年(昭和41年)10月に9,500kWで日本最初の商業用地熱発電所として運転を開始した。その後、追加井を掘削し、更にタービン更新により、1993年には23,500kWへ発電出力を増加させ、現在に至っている。なお、2015年に、東北水力地熱(株)を含む東北電力グループ企業4社が合併し、東北自然エネルギー(株)となった。
名水百選「金沢清水」。岩手県内水面水産技術センター。岩手県八幡平市金沢松尾寄木。
玄関横の蛇口から水を汲むことができる。
金沢清水は、岩手山麓に湧き出る7ヵ所の総称で座頭清水と呼ばれていた。湧水は、隣接の岩手県内水面水産技術センターで、ニジマス、ヤマメ、アユ等の養殖及び研究にも利用されている。水量は、日量3.4万トン。
「座頭清水」と称されるまでには幾つもの言い伝えが残っており、岩手山の滝に住む7つの頭を持つ蛇龍が里を見たくて地中にもぐり、頭を出したところが7つの湧口だという伝説や、悪さをする鬼が里人の目潰しに遭い、神のお告げにより目を洗い清めた泉だという伝説等が残る。
養殖に利用している事等から管理は岩手県内水面水産技術センターで定期的に巡回及び湧口等の清掃を行っている。また、湧口周辺をフェンス及びロープにより囲いをし、立入禁止にしており、保護並びに事故防止に努めている。
センターの職員が、これから源泉の湧水池に行くというので、そのあとをゆっくりついて丘を数分ほど登っていくと窪地に湧水池がひっそりとたたずんでいた。
このあと、北東方向へ進み、岩手県二戸市の埋蔵文化財センターおよび国史跡・九戸城跡へ向かった。