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「大阪IR」不動産鑑定の奇妙な一致に訴訟6件の泥沼。2030年に開業予定だが地元では不満が噴出

2025年04月07日 07時07分20秒 | 社会

「大阪IR」不動産鑑定の奇妙な一致に訴訟6件の泥沼。2030年に開業予定だが地元では不満が噴出

Yahoo news  2025/4/7(月) 東洋経済オンライン 赤澤竜也 :ノンフィクション作家

 

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奥がIR予定地の夢洲、手前が不動産鑑定に使われた咲洲(撮影:ヒラオカスタジオ)

 

大阪・関西万博が開幕する。2030年にはIR(統合型リゾート)が開業。都市再開発も盛り上がりを見せている。55年前の大阪万博をピークに産業基盤が細ってきた関西経済は、かつての勢いを取り戻せるのか。『週刊東洋経済』4月12日号の第1特集は「関西が熱い!」だ。

 

 「大阪市は松井一郎前市長や横山英幸現市長、カジノ事業者らに大阪カジノでの損害金1045億円を払わせろ」

 2024年12月16日に起こされた住民訴訟の請求趣旨だ。

 大阪・関西万博会場に隣接するIR施設の予定地は大阪市が所有しており、事業者である大阪IRに33年間にわたって貸し出される賃料は消費者物価スライドで変動するものの実質的に固定化されている。その金額が正当な評価額より低く設定されている疑いがあり、市が本来受領すべき賃料との差額を払えというのだ。

 なぜ、賃料が低く設定された疑いがあるといえるのか。

■“鑑定談合”が行われていたと主張

 原告は不動産鑑定のやり方に評価基準違反があったうえ“鑑定談合”が行われていたと主張する。

 初期投資額が約1兆2700億円というビッグプロジェクトであるため、大阪市は4つの不動産鑑定業者に調査を依頼した。

 19年11月に公表された不動産鑑定評価書4通には、不自然な点が散見される。

 1つ目は、IR施設は大阪メトロ・夢洲(ゆめしま)駅の真横に建設されるにもかかわらず、鑑定を行った4社とも、海を挟んで3.5キロメートル離れた咲洲(さきしま)という人工島にあるコスモスクエア駅を最寄り駅として算出していることだ。

■3社が不自然に一致

 確かに、鑑定が実施された当時は地下鉄工事の最中であり、夢洲駅は完成していなかった。だが、計画は鑑定評価書にも記載されている。大阪メトロは大阪市が株式の100%を保有する会社だ。計画が頓挫する可能性は限りなく低いはずだが、4社とも「完成することが確実ではない」という理由で、夢洲駅を最寄り駅とはしなかった。

 2つ目は、4社とも最有効使用を「IR」としていない点だ。最有効使用とは、その地に最も適した施設のこと。鑑定業者2社は大規模複合型商業施設、すなわちイオンモールのような低層・中層の郊外型ショッピングセンターを最有効使用と判断している。

IR事業を行う用地を貸し出すための鑑定なのに、「高層ホテル」といったIR施設が建設されることが前提とされていないのだ。

 さらに、鑑定では4社中3社が基礎価格1平方メートル当たり「12万円」、期待利回り「4.3%」、月額賃料「428円」と算出したため、関西メディアは「奇跡の一致」と報じた。

 不動産鑑定士は土地の基礎価格や最有効使用、期待利回りなど複数の要素を基に鑑定評価を行う。49万平方メートルもの土地の鑑定結果がきれいに一致するのは奇跡に近い。

 また、日本不動産研究所(以下、不動研)とarecの2社は、取引事例地に同じ場所を選んでいただけでなく、その事例が「土地+地上建物の売買価格」であるところ「土地の価格」として計上するという初歩的なミスまでともに犯していた。偶然の一致とは到底思えず、鑑定談合を強く疑わせる。

 大阪府内で起きた森友学園事件では、同じ土地の鑑定結果に1億3400万円から13億円まで開きが生じ、不動産鑑定の信頼性を根本から揺るがす事態を招いた。

 大阪IRは昨年9月まで、違約金なしで撤退できる「解除権」を有していた。

 今回は、何としても大阪でIRを実現したい大阪市が、カジノ事業者が撤退しないよう破格の条件を提示しようと不動産鑑定業者を誘導した疑いが浮上している。

 裁判では鑑定士個人も損害賠償請求の対象となっている。不動産鑑定への信頼が根底から揺らいだ以上、第三者委員会を設置するなどし、不動産鑑定業の信頼を取り戻すべきではないか。

■破棄メールの真相

 大阪市は、不動産鑑定をめぐって業者と交わしていたメールについて当初「存在しない」としていた。だが後に、情報開示請求を受けて担当職員が破棄していたことが発覚する。外付けハードディスクによってメールは掘り起こされ、結果、198通ものやり取りの中身が明らかになった。

 原告が市と鑑定業者とのメールを分析した。不動研が「カジノ事業を考慮外」にして鑑定するというメールを市に送ると、市は、同一内容のメールをほかの3社にも送信していた。しかもそのメールには、1平方メートル当たり12万円という土地価格の算定額までが参考価格として記載されていた。

最寄り駅についてのからくりも明らかになった。メール上では4社のうち2社が「夢洲駅開業を前提として鑑定する」としていたが、不動研が「地下鉄延伸は考慮しないで鑑定する」というメールを市に送付すると、市から4社に「地下鉄延伸は考慮しない」とするメールが送られた。

 鑑定評価で4社がそろって最寄り駅を「コスモスクエア駅」としたのは既述のとおりだ。賃料が安くなるよう、市が鑑定業者を誘導していたのである。

 今年2月、夢洲にある別の市有地を変電所として関西電力へ売却する際に大阪市が提示した賃料が1平方メートル当たり33万円だったことを、朝日新聞が報じた。

 3月19日の裁判期日に原告は、本来33万円相当であった賃料が不自然な鑑定方法を用いた結果、12万円と低く設定されている疑いについて改めて追及を強めた。

■賃料以外にも優遇措置

 大阪IRに対しては、賃料以外にも優遇措置が取られている。

 松井前市長は当初「カジノには税金を使わない」と言明していたが、大阪市は土壌汚染対策や液状化対策の土地改良工事として公費788億円を投じている。この工事についても差し止め訴訟が起こされている。

 さらに昨年10月1日、大阪市から事業者に敷地の9割以上が引き渡されたにもかかわらず、賃料の支払いは発生していない。土地改良工事が終了するまで大阪IRは無償で土地を使用できる契約になっているのだ。

 これに対しても、無償利用させている用地の賃料を請求するよう求める訴訟が起こされた。

 大阪IRについては3市民グループによる計6件の訴訟が提起され、期日のたびに大阪地裁の前には傍聴希望者が詰めかけている。

 格安賃料差し止め訴訟の弁護団長、長野真一郎氏は「手を挙げた業者に逃げられたら日本維新の会の看板政策はお釈迦(しゃか)になってしまう。それを恐れて過度な優遇措置を連発していたのではないか」と指摘する。

 開業3年目の年間売上高を5200億円と見込み、来訪者数は年間2000万人と予測する大阪IR。計画がすんなり進むのか、予断を許さない。



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