5番の刺繍糸

趣味の針仕事・庭仕事・料理を中心に、日々のあれこれを綴ります。

『逃げるは恥だが役に立つ』 星野源編

2016年11月26日 | 日々のこと

星野源さんを、知っていますか。
俳優で音楽家で文筆家の、源さんです、源さん。
『逃げ恥』の平匡(ひらまさ)さんとして、ガッキーの相手役をしていますが、
薄ぅーい顔立ちに地味ぃーな性格、いわゆる奥手なサラリーマンで、
なにひとつアドバンテージの得ようのない役回りに文字通り思いますが、
彼の役者としての良さっていうのは、じわじわ染み出てくるんですね。

本当に薄い。
顔が。
声が。
身長が。

でも、彼から目が離せないんです。
困りました。

もちろん脚本、演出、配役など、
ドラマ作りとしての秀逸さがあってのことですが、
彼の何がいいのか、ひと言では言い表せないのが続いていて、
私は『逃げ恥』のドラマそのものより、平匡さんそのものより、
星野源にムズムズしてますよ。ムズムズ、厄介ですよ。

手はじめに、エンディングテーマ曲の「恋」を手に入れました。
iPodに入れて”アーティスト”を見たら、
源さんの最新アルバム『YELLOW DANCER』が入ってました。
ごめんなさい。そうでした、入れてたんでした。
これまで1回も聴いてませんでした!
でも許して下さい、これを機会に源さんのアルバム全部入れましたよ。
1st 『ばかのうた』、2nd 『エピソード』、3rd
Stranger』。

SUN」が主題歌だったドラマ『心がポキッとね』も、
変なドラマだな~、山口智子いらないな~と思いながら(ゴメン)、
阿部サダヲが楽しくて観てました。
印象的だったあの曲が、
星野源だったんだ!
そうして、後追い過ぎる認識が始まりました。

YouTubeで片っ端から検索。
ラジオ番組が引っ掛かります。
そこでまず、変態だということが分かりました。

著書も買いました。
「そして生活はつづく」「働く男」「蘇る変態」
やっぱり、変態でした。
引くほどの変態です。

でも、携帯代の支払いであんなに濃密な話が書けるかと驚きました。
初っ端の文章です。
舞台から映画、
ドラマでシリアス、コメディ、コントまでを表現する俳優で、
(コメディとコントは決定的に違うと私は思っている)
ほぼすべての曲を作詞・作曲・編曲し、MV制作、別キャラ出演、
ギターやマリンバを操る歌い手で、House Ver.としてひとり自宅録音の楽曲制作、
それでこんな文章まで書いてケロッとしている、35歳のゲイノウジンーー!?
ダメ押しは運命的で象徴的にも思える、
31歳でのクモ膜下出血、生死を分ける2度の手術からの復活。
いやいやいやいや、濃すぎませんかー、星野さん!
あんなにお顔は薄いのにー!(スミマセン)

夫婦で毎週『逃げ恥』が楽しみで、
家の中では『逃げ恥』が環境映像化して流れ続けていますが、
それだけ観ていても、いざ車のBGMで源さんの顔を思い出そうとすると、
思い出せないことがあります。
というか十中八九、
思い出せません。ボンヤリし過ぎです。
挙句、間違った顔を思い出します(この人)。

何なんでしょうねこれ。願望入ってます?(笑)

いや、でも私、源さんが不細工とは言ってませんよ。
じゃなくて、彼は”ところ”によって顔がかなり違うんです。
「定まらない」っていうすごい特徴の顔なんじゃないかと。
えっと、性格俳優だとかいくつもの顔を持つとかいうんじゃなくて、
ただひたすら、それくらいに薄いと。(笑)
どっちにも転ぶ、それでいて不思議な魅力の透明な顔。

でもここまで書いて、私は認めざるを得ないことがあります。
実は私、かなり一貫した薄い顔好きであるらしいということ。
東方神起のユノ、大沢たかお、堺雅人…
薄々気付いてはいましたが、私はとうとう声に出して宣言しました。
「薄い顔が好きだ!」
それを聞いていた鹿児島出身の夫は、複雑な顔して言いましたよ。
「オ、オレ、濃いんじゃない…? だいじょうぶ?」
いや、ほら、そんなこと超越した存在だから、アナタは。(笑)
顔がどうのこうのと言うときの無責任さって、
要は、それくらいのもんです。

星野源、歌もいい。文章もいい。演技もいい。
アナタ、何なんですかー?って机叩きたくなるくらい。
そう、こちらは呆れて処理不能になるか、ほとんど逆ギレするくらいのものです。
なかなかに紆余曲折を経た、暗さと重さを知る少年であっただけあって、
モノを捉えてます。考えるチャンスがないと感じられるようにならないし、
感じられないと捉えることは出来ません。
その積み重ねがあって、表現として色んな方法で取り出してみせられる。
みくりさんじゃないけど、マッチ売りの少女の炎の光景みたい。
すごいですよ。

正直でストレートで、でも何でも受け入れてくれそうなソフトさで、
それでいてピリリと山椒もきいていて、独特な攻撃準備、臨戦態勢、
要は、それは、広く大きい。
深さは主張しない。深さではなく簡潔な広さ。
「これがやりたい」「こういう風にやりたい」
はっきりとした主張の形がユニーク。引き込まれる。
ふざけているようで、大真面目。大苦労。
でいて、大きなことも「だって、やりたいから」と、
次から次へ、ひょいひょいっと飛び込んでいく。

秘密がなく飾り気がないということが何よりの男っぷりのような、
ほら、あの顔立ちも巧みにそのひとつに組み込まれ、
ある意味で、とってもずるい人のような気がするなぁ。
女から見ると特にタチが悪いというか。中毒するというか。
押し出しが絶妙。引き加減が美しく。

想像させるでしょ。
ものすごい想像させる。
でも、最終的にどうかというと、実は捉えどころがない。
お箸は右で文字は左、一人っ子でAB型。
ほら、もうクラクラする。
でもそれだけじゃなくて、
彼自身に相反するものが綺羅星のように散りばめられていて、
魅力的で、清々しく、強く、あっけない。
シブく、ほのかで、エグく、優しい。
土臭く、丁寧で、弱っちく、温かい。
一緒に知って楽しんで、でも後味は無味無臭というか…
とにかく嫌味がない不思議な免罪感。

多分、彼には答えがある。結論は出てる。シンシンと。
その年にして、そうなのーー!?
私は悔しさで眉をひそめたくなりますが、仕方ないです。
押しつけてもこないし、シンジツ含有率高いので抗えないです。
イヤな人ですよまったく、本当にタチが悪いです。(笑)
でも、だからこそ追いたくなる。
基本、ものすごく頑張る人ですしね。

ところで、彼は何であんなに下ネタを言うんだろうと思いました。
(というか、今も思ってます)
ガッキーに触れる手が汚らわしい! 気を付けてガッキー!
というくらいに嫌です、星野源の手。(笑)
でも、あの下ネタも彼にとっては理に適ってるんですね。
辻褄はガッツリ合ってる。真っ当な体現。
でも、こちらも嫌なものは嫌だと言いますよー、生理が違うから。

さあ! 星野源を知らなかった人はどこから入りますか。
どこでもいいと思うんですよ。
私もこの間入ったばかりの感想なので(笑)、
本当に実感込めてお勧めします。
(とりあえず『逃げ恥』ですか?)

もう、今もずっと曲聴いてます。
「恋」と「Week End」
がヘビロテ中。
あんな最初から最後まで気持ちのいい曲、ありますか。
「バイト」は1分49秒しかなくって、あんなオチつけます?
声あげて笑ってしまいました。
曲調も歌詞もNHKの”みんなのうた”にお薦めしたい「ばらばら」、
彼自身も代表曲だと言ってますね。

平匡さんはともかくも、
源さんには、普通の恋やら結婚やらにうつつ
を抜かさないで、
あのまんま、ひとりのまんま、やりたいことやって、
訳の分からない年の取り方して欲しいですね。
それくらい、あからさまに漏れ溢れていつつミステリーですよ、
あの人の普遍的で巨大な持ちもの!
(いや、そっちの方でなく)




 



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