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おいしいコーヒーが飲みたい

アイヌ (1)

2017年11月02日 | 日記
ある男の人から聞いた話。その人は40年ほど前、函館に住んでいて小学校の高学年でした。

ある日のこと、教室で休み時間に、彼の近くにいた女子が小声で「シャクシャイン」とつぶやいたそうです。するとそこにいた別の女子が驚いて、うれしそうに「○○さん、シャクシャイン知ってるの!」。言われた方も目を輝かせて、「え!××さんも!」と、手を取り合うようにして、二人で大喜びになったということです。彼は何のことやらまるで分らず、二人に「シャクシャインって何?」と尋ねると、彼女たちはばかにしたような顔を向け、「・・には教えない」「わたしたちの秘密のことば」「・・はシャモだ」「そうだ」などと言ったそうです。彼にはその「シャモ」の意味もまた分かりませんでした。

シャクシャインとは、かつて北海道中のアイヌを率いて和人と戦ったアイヌの英雄です。アイヌは鉄砲を持たなかったので、軍事的には完全に劣勢でしたが、このリーダーのもと激しい抵抗を続けました。和人はついに、和議を結ぶと偽ってシャクシャインをおびきよせ、だまし討ちにしました。

シャクシャインは今では日本史の教科書にも載っています。しかし、かつては彼の名をアイヌは公然とは口にしなかったそうです。まさしく「秘密のことば」です。(ついでながら、「シャモ」とは、アイヌによる和人の蔑称。)

くだんの二人の元女子生徒は、まだ函館にいるのでしょうかね。子供もいるのですかね。

私は思うのですが、この世界にはこうした「秘密のことば」が、実は幾重にも幾重にもまた幾重にも、目にも見えず耳にも聞こえずに、それでも厳然と存在しているのでしょう。