木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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デザイナーと法律

2006年02月01日 | デザイン契約など(相談室)


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

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■デザイナーと法律
18:【デザイン相談室】運用8

 今回は、ちょっと固めの契約の話です。

 少し前にデザイナーとの付き合い方について何回かお話をしましたが、具体的に業務をすることになった場合、なんの約束事も無いまま始めてしまうのが心配であれば、簡単な契約書という手もあります。

 外部デザイナーとの付き合い方についての今までの話。
付き合い方1/個別契約1

付き合い方2/個別契約2

付き合い方3/コンサルティング1

付き合い方4/コンサルティング2


デザイナーと法律

 デザインにかかわる法的な問題は、一般的には『工業所有権』と『機密保持』に関するものです。

 『工業所有権』については、その権利の譲渡に対価の発生することが多いため、本当にケースバイケースで、個々の業務の度に、デザイナーとメーカーの協議になります。なかなか、一概にどうしたらいいか、言うことができません。

 それに較べると、『機密保持契約』は、簡単です。

 デザイナーが企業と仕事をするにあたって、企業秘密を他者に漏洩してはならないことは、社会倫理的に当たり前のことですので、『機密保持契約』は、企業から一方的に強制することができます。


工業所有権

 工業所有権は、著作権法で知的所有権として保護されている権利で、以下の4つがあります。

1) 特許権
2) 実用新案権
3) 意匠権
4) 商標権


 工業所有権はすべて、申請しなければ発生しない権利ですので、誰が申請するかにより、その権利の所在が確定します。

 企業とデザイナーが共同で業務を進めていく場合、それらの権利のどこまでが誰の権利となるかは、お互いの合意の上で決めることになります。


特許権・実用新案権・意匠権

 デザイナーに対して十分なデザイン料を支払うのであれば、特許権・実用新案権・意匠権に関しては、業務開始時点ですべての工業所有権を、メーカー側に譲渡する旨、契約書で明確にしておくことをお勧めします。

 デザイナー側からしても、特許権・実用新案権・意匠権を所有しても、結局、契約した企業からその対価を頂くことになりますので、それらの権利を持つよりも、信頼関係を築いてロイヤリティ契約を結んだほうが現実的です。

 もし、どうしても、デザイナーが特許権・実用新案権・意匠権を要求するのであれば、弁護士に相談されたほうがいいでしょう。


商標権

 商標は明らかに企業のものですので、商標権については、最初から権利を譲渡してもらう前提で契約を行うべきでしょう。

 デザイナーも、それには異存がないはずです。

 一点、デザイナーからの要求があるとすれば、デザイナーの宣伝活動の一環として、その商標を作ったことを公表する権利を要求するかも知れません。そのくらいは、認めてほしいと思います。


機密保持契約

 一般的に、企業の機密と考えられるのは、以下の2点です。

1)新製品を開発する場合などに知ってしまう、開発にかかわる業務上の機密

2)デザイナーが社内や工場内に出入りすることで知ってしまう、企業内の機密事項

 外部デザイナーが企業と業務を遂行する上で、これらの企業秘密を他者に漏洩してはならない(機密を保持する)ことは、当然のことです。

 そして、外部の人間(デザイナー)を社内に入れることに対する不安は、たぶんほとんどが機密保持のかかわることだと思います。

 その不安があって、外部デザイナーの採用をためらっているのであれば、不安を払拭するために、機密保持契約を結ぶことは、有効だと思います。


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