まずは自分の失言から。
Mixiのつぶやきにて、次のようなことをしゃべった。
この地震に対し何もしない、出来ない人間なのでつぶやくのは後ろめたい。
なので地震に対する最後のつぶやき。
被害が大きい地域は地方。ここ30年の社会経済政策が切り捨てて来た地域。
人災の側面を僕らはよく刻み込むべきだと思う。
しかし、よくよく考えてみると簡単に人災と言うべきではないのではないか。
そのような指摘を友人から受けた。
そして、次のような報道がある。
僕が人災の面を見なければならないと、いったのと同様、天災の面を見なければ、この災害への適切な対処は出来ないだろう。
ジャンボ機２５０機分の波、世界一の防波堤破壊
（読売新聞 - 03月21日 03:07）
太平洋沿岸を襲った大津波は、世界有数の規模を誇る三陸海岸の防波堤を軒並み破壊した。
早稲田大学の柴山知也教授（海岸工学）が１９日午後、本社機で上空から視察し、岩手・釜石湾入り口の「世界最深」の防波堤を破壊した津波について、「時速１０００キロ・メートルで飛行中のジャンボジェット２５０機分以上の運動量があった」と試算した。
釜石湾の入り口に南北からせり出した防波堤は、全長約２キロ・メートル。地震前は海上に高さ約８メートル、厚さ約２０メートルでそびえ、港湾を守っていた。しかし上空から見ると、北側の防波堤は約８００メートルにわたり大きく崩落し、かろうじて残った部分が海面に虫食い状に残っていた。海面に出た部分には、残ったコンクリートブロックが様々な方を向いて崩れた姿をさらしていた。
防波堤は、最深６３メートルの海底に東京ドームの７倍に当たる７００万立方メートルの巨大なコンクリート塊を沈め、その上部にコンクリート壁が構築され、２００９年に完成したばかりだった。
国土交通省によると、１８９６年（明治２９年）の明治三陸地震（マグニチュード８・５）の揺れや津波に耐えられるように設計され、「世界最深」としてギネス記録に認定されていた。
大船渡港（岩手県大船渡市）にある巨大な湾口防波堤（全長約７５０メートル、水深約４０メートル）も完全に崩壊し、水没していた。柴山教授は、「地震で破損した箇所に高い破壊力の津波がぶつかり、一気に崩壊した可能性がある。予想をはるかに超える威力だ」と指摘した。
防波堤内側の海岸沿いにある「最後の砦(とりで)」の防潮堤も多くがなぎ倒された。同県宮古市田老の高さ１０メートルの巨大防潮堤（全長約２・５キロ）は、住民らから信頼感を込めて「万里の長城」と呼ばれていたが、津波はそれを乗り越え、集落をのみこみ大きな泥沼を作っていた。
同県山田町の防潮堤も５０～６０メートルにわたり激しく倒壊し、灰色の泥をかぶった町には漁船や家々が、がれきと一緒に転がっていた。
柴山教授は、「全国的に防災対策を作り直す必要がある」と唇をかんだ。（金子靖志）
このレベル、最新鋭で数メートルにおよぶ高さの防潮堤を超える津波が襲ってきたこと。これは明らかな天災だと思う。
このことを無視し、「人災ではないか」と発言することは、自分の価値観やイデオロギーを正当化するために、この災害を利用することだ。
それは許されないことだ。この防災計画や防潮堤の設計や建築にかかわった人、その地域の人々、そして被災した人々を愚弄し、自分の考えを正当化し、世の中に浸透させるために利用するという卑怯なことだ。
今はそう考えている。
(しかも、何も傷つかない安全な場所から、愚痴を述べるに等しいのではないかと自問自答している)
原発に対する自分の発言にも身をつまされた。
ある友人は「いまはそもそも論をするべきではなく、この原発の事態の鎮静化に力がそそがれるべきだ」と聞かされ、深く同意していた。
しかし別の友人に、偉そうに地上波テレビ以上の原発情報を送った。
その友人には「なぜいまさら政府批判なんだ?無知は暴力なのは分かるが、偉そうに知識をまき散らして、何もできないというのはどういうことなのか?本当に必要なのは、自分たちが出来る事を教えてくれることだ」と厳しく、最もな指摘をもらった。
結局、安全な高みに立った批判にすぎなかったのだな。それを思い知らされた。
実際に危険なその場で生活している人々にとっての言葉。それはどうあるべきなのか。
言葉によって救われることもあれば、傷つくこともある。
その場にいる人間の境遇に自分を巻き込ますことは容易なことではない。
(その友人にはとりあえず謝罪したのだけど、改めてここで友人の気分を害したことを謝りたい)
