祈りうた(原爆 峠三吉『原爆詩集』序)
峠三吉『原爆詩集』序 二〇二三年の八月六日が来た。必ず思い浮かべるのが、峠三吉『原爆詩集』の初めに置かれたこの詩である。ご存知の方も多いだろうと...
祈りうた(病み記 フ・ウ、ザ・深呼吸)
フ・ウ 1 病んだひとがフウと言う フーではなく フ・ウと言う 体のだるさ・重さを吐きだす息でもない という 心のせつなさを嘆く声でもない という 病に降参...
祈りうた(病み記 がんだって)
がんだって 1 病の告知を受けた日に 長男の妻が熱を出して苦しんでいた ―たいへん、可哀想に うずくまってなんかいられない! 妻は立って台所へ行...
祈りうた(原爆 二〇二三年八月九日・ナガサキ)
二〇二三年八月九日・ナガサキ 黒焦げになった少年の写真を見た 長崎の少年 原爆に焼き殺された少年 ...
祈りうた(メメント・モリ 八年後ー二〇二二年のメモ)
八年後―二〇二二年のメモ 1 「二〇三〇年、あなたは何をしていますか」―そんな問いかけで始まる自動車のコマーシャルを見た。 ―二〇三〇年...
祈りうた(メメント・モリ 愛しいひとが亡くなるたびに)
愛(いと)しいひとが亡くなるたびに 1 愛しいひとが亡くなる そのたびにぼくは 次の世界へ近づいていくようだ 死の次にある...
祈りうた(メメント・モリ 愛しいひとが亡くなるたびに②)
愛(いと)しいひとが亡くなるたびに② 1 先日、キリスト教の信徒であるご婦人が亡くなりました。コロナ禍なので、ご家族とご...
祈りうた(メメント・モリ 最期はひとりで)
最期はひとりで 1 二十歳のとき、アルバイトで草刈りをしたことがあった。耕運機ほどの大型機械で土手の草を刈った。作業員はわたしひとり。その作業...
祈りうた(メメント・モリ 最期はひとりで②)
最期はひとりで② 1 伴(とも)にとか寄り添うとかも岸辺まで 双児にも後先がある死ぬときも ...
祈りうた(でくのぼう 灰色人)
灰色人 1 善人のなかに善が住むのはあたりまえ しかし じつは悪も忍び込んでいるのだ 私はオール善人などと思い上がるわけにはいかぬ ...