夜間頻尿（やかん　ひんにょう）     二時間で迫る放流 小（ち）さきダム 　時計を見ると体が排尿時間を覚えてしまうときいたので、なるべく見...

草取り     草草の寝起きを襲う 十の指 　年寄りは朝起きである。生やしっ放しの草をいよいよ抜かねばと、裏庭へ。寝てるとこをごめんねと詫びつつ、指全部で容赦なく引...

十二人のひと   わたしをいじめてきた人をかぞえた 六人いた　 ぜんぶで　 全員会社のひと　上司、先輩、そして後輩も ...

壷井栄「二十四の瞳」の灯り   　壷井栄「二十四の瞳」を読んだ。映画で観たこともある。　生涯にひとりでも、強い影響を受け、長い間慕いつづける「先生」と...

重松清『せんせい。』ー「白髪のニール」、先生とロックと   　重松清の『せんせい。』の中に収められた「白髪のニール」によっ...

寂しさを知らないさびしい人間になるなー中学の先生の言葉     　そのとき僕は、中学校の図書室の片隅で、担任の先生から諭...

敗戦忌   窓開けて赤子泣きたる 敗戦忌 　戦時中、敵兵から味方を守るため、防空壕で泣いた赤ちゃんを母が自ら殺した、という話をきいたことがある。　戦後七十七年の町の朝...

手のぬくもりのなかで     たくさんの我慢をされている そう知ったから たくさんの我慢をしよう ...

善人の祈り     その善人はいった わたしには少しの蓄えがある 出会ったひと、別れたひと　人間の蓄えがある 食べた物、飲んだ物　身体の蓄えがある 家庭をも...

墓の話     五歳の墓があの村にある。 母と一緒に埋められた。 夫に棄てられた母が 僕を道連れにした。 ...