八年後―二〇二二年のメモ    １　  　「二〇三〇年、あなたは何をしていますか」―そんな問いかけで始まる自動車のコマーシャルを見た。　―二〇三〇年...

愛（いと）しいひとが亡くなるたびに     １ 愛しいひとが亡くなる そのたびにぼくは 次の世界へ近づいていくようだ　 死の次にある...

愛（いと）しいひとが亡くなるたびに②     １   　先日、キリスト教の信徒であるご婦人が亡くなりました。コロナ禍なので、ご家族とご...

最期はひとりで     １    二十歳のとき、アルバイトで草刈りをしたことがあった。耕運機ほどの大型機械で土手の草を刈った。作業員はわたしひとり。その作業...

最期はひとりで②   １ 伴(とも)にとか寄り添うとかも岸辺まで   双児にも後先がある死ぬときも ...

サイレン     １ 遠くでサイレンが鳴っている サイレンはいつも ちょっと遠くから聞こえる ...

十歳の同級生の死   １ 　死は突然にやってくるのだ―そう知ったのは、小学四年のときだった。地方の分教場の同級生が、とつぜん夜の間に亡くなったのだ。　翌日、担...

死者の眸（め）②   死へ向かう道透きとおり彼が行く   　彼がこれまでどう歩いてきたか、私が知っているのはほんの一部分、断面に...

わたしが死んだら      １ わたしが死んだら この詩を読む人はいなくなるだろう 妻も息子たちも読まないだろう ...

顔顔     そのひとの時間が終わろうとしている   ベッドのまわりで顔顔がのぞきこんでいる ...