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ツリオヤジのダイアリシスな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

けものたちは故郷をめざす - 安部公房 (新潮文庫)

2025-01-12 05:29:36 | 読書メモ

未読だった安部公房作品。
最初に読んだ安部公房作品は『壁~Sカルマ氏の犯罪』で、それから初期の短篇を読みはじめ、不条理文学の面白さを学んだのですが、それから『砂の女』や『他人の顔』などの失踪文学(?)に触れ、それだが安部公房に対するだいたいのイメージとなっていました。

なので、『榎本武揚』を読んだときは、へえ、こういう小説を書くこともあるんだと意外に思ってました。しかし、その後『終りし道の標べに』や本作『けものたちは故郷をめざす』を読み、ああなるほど、戦中戦後の満州体験が、これらの作品の軸になっているということを理解しました。

人間そっくり』や『飛ぶ男(未完作品)』のようなSF文学も書いていますし、数多くの戯曲も残しています。安部公房は多才な小説家だということを改めて感じました。

こちら内容紹介。

日本の敗戦に伴い、久三がいた満州はソ連に占領されます。日本人は満州から追い出され、日本へと引き揚げますが、久三は母親の負傷のため仲間に置いてきぼりにされ、ソ連将校の保護下に暮らします。その数年後、ソ連軍が帰還するタイミングで脱出のチャンスが訪れ、日本へ向けての厳しく長い旅が始まります。

国府軍(国民党)と八路軍(共産党)との戦闘、極寒の満州、果てしなく続く荒野の中での極限状態にある久三を、安部公房の文体は力強く(バベルの狸が笑うといったシーンは皆無)描き、一気に読み進めてしまいました。

目次はこちら。四章立てになっています、どの章のタイトルも、読み終えたあとに改めて眺めてみると味わい深いタイトルです。

著者プロファイル。

書誌事項。

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p.s. 王将戦七番勝負始まる。今期で毎日は主催を降りる。


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