中央広場からカイザーブルクに向かう上り道の左手にフェンボーハウス市立博物館がある.聖母教会の仕掛け時計をみるため,時間調整として入館したが,ここはニュルンベルクに現存する唯一の後期ルネサンス様式の商家で,1590年代に立てられ,1735~1852年には地図で有名なHomannの印刷工房が置かれていた.HomannはDoppelmayrと協力して地球儀・天球儀も製作した.19世紀にGeorg Christoph Franz Femboがこの建物を所有したことからその名が残るが,現在は市が所管している.展示の解説パネルは全て独語.英語の音声ガイドの貸し出しはある.リンク先のOrientationを開くと各階の展示内容が把握できる.
ここでは,中世からの同市の歴史が地図や模型で俯瞰される.写真は5Fの1939年に作られた同市の精巧な木製模型.2Fの一室にはHomann工房で作られた地図が紹介されている.
同市はSigenaという女農奴が主人のRicholfと結婚するため神聖ローマ皇帝ハインリヒⅢ世から職を解かれたことを示す11世紀(950年前)の文書(4Fの展示品は複写)に初めて登場する.その頃に城が築かれ,帝国自由都市ながら,14世紀以後は市議会の統制の元に交易と工芸職人の町として発展して行く.
左の写真は4Fにある1521年に作られた市庁舎Rathausの皇帝玉座Kaiserthronであるが,立派に見えるものの椅子の背は騙絵風に描いたものであった.同階には貨幣鋳造・両替商,時計職人,ガラス職人,錠前職人などのパネルも展示されていた.
商家の豪華さは随所に認められる.3Fにある木彫の重厚な部屋は同市で17世紀初頭最も裕福な商人であったMartin Pellerが自宅にしつらえた天井画と木製パネルの美しい部屋をここに移築したもの.同階のホールの漆喰天井はバロック様式で1674年にCarlo Moretti Brentanoが製作している.
右上:4Fの「歴史的な台所」 右下:美しい無垢の木の色を生かした立体彫刻.この他,陶器,アクセサリー,帽子など現代職人の手工芸土産品が館内で販売されていた.
ここは2000年にリニューアルオープンしているが,手持ちのガイドブックでは紹介されていなかった.
逆にガイドブックで薦められていたおもちゃ博物館は,デューラーハウスからの帰りに雨宿りのため立ち寄ったが,館内撮影禁止だったし,鉄道模型と19世紀以降のドールハウスの膨大な展示以外はあまり関心が持てなかった.地下の売店は寄っていない.