以前書いたとおり,最近,和本にはまっています.なぜそうなったかというと,天球儀と星図からカルトグラフィー(製図)関連で,何点かのオランダや世界の地図の入手を始めた中で江戸時代の日本地図にも関心を持ったこと,天球儀を買った地図屋さんから中国の古地図を勧められたこと,蘭学と日本の天文学の関連で江戸時代の天文書籍を探し始めたこと,などが挙げられます.長久保赤水という茨城県高萩出身の江戸時代の蘭学者がいるのですが,以上の全てに関係するので,キーワードとして重要です.
コレクションにはまとまりが必要なので,基本的に17~18世紀であることが前提ですが,日本の地図というのは19世紀になって地誌的な正確さを持ってきたという事実もあり,この分野では江戸末期までをテリトリーとしましょう.地図の収集家は比較的沢山いらっしゃると思うので,審美性を選択のひとつの基準に置いたほうがよさそうですが,和本自体はキレイかどうかは別にしてあまり清潔には見えませんね....
そんなことを考えながら,とりあえず最近購入した江戸時代の和物のリストを作り始めました.手始めに以下に一部を掲載してみます.
ところで,前回万年時計で紹介した「あっぱれ!江戸のテクノロジー」のNHKテレビテキストがあるというので入手しました.みてみると,これはびっくり!渋川春海の貞享暦と天球儀,国友一貫斎の反射望遠鏡が載っているではありませんか.当館のコレクションと和洋を別にすればそのままです.
時計の項では江戸の日時計も掲載されているし,渋川のところに掲載されている「天経或問」「天文分野之図」「天文図解」は今回収蔵した品々,最後は伊能忠敬の日本地図とのこと.
7/26が最終回だそうです.再放送も期待したいですが,関心のある方はお見逃しなく.
(1)天文・暦関係で最近購入したもの
・天文分野之図 渋川 春海(1639-1715) 延寳5年(1677)・後印 106×55cm
・〈運気暦術〉天文図解 井口常範 元禄元年(1689) 3冊(5冊の合本) 25cm
・天経或問(序圖・天・地) 游子六(輯)の和刻 西川正休(訓点) 享保15年(1730) 3冊(付録の「大略天学名目鈔」欠) 26cm 松葉軒 跋 (江戸)嵩山房・小林新兵衛 刊
・天象管闚鈔 長久保 赤水 安永3年(1774) 1冊 11×16cm 左々木総四郎(平安・京都)北田清左衛門(浪華)
これは日本初の星座早見盤です.
・日土圭・潮汐時 高井蘭山(晒我)(1762-1838)跋 寛政年間(1790年頃) 下谷・花屋久治郎
これは文字通り,日時計と月の満ち欠けの早見盤です.
・1845~1873年の天保暦:伊勢暦や江戸暦,明治六年の旧暦頒暦もあります.明治5年12月3日が明治6年の1月1日となり,同6年から太陽暦に改暦されたので変更が間に合わなかったためか,市場に出回ったものらしい.
・太陽略暦(明治七年[1874]東京領暦商社)
近いうちに写真付きで公開していきます.