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アムステルダムに居を移したレンブラントの筆頭弟子となったフリンクの代表的な肖像画ないしトローニーのひとつ.このモティーフには数枚のコピーがあるが,この作品は最高のクウォリティでオリジナルと考えられている.たしかカンヴァスを板に張っていた作品ではなかったかと思う. 子犬を抱いた少女の愛らしさが,その凝視する瞳と微かな微笑で表現されている.頬にさした紅色が目立つのはフリンクの特徴の一つである. 拡大してみるとハイライトの部分の状態は比較的良いが,顔の左の影の部分には補彩が目立ち髪の部分は下地と絵の具層が薄いためカンヴァスの目地が現れている.頬の紅色の部分も上塗りにより亀裂が隠されている. 鼻や唇の描き方もフリンク的であり,眼の光点も右が横長,左が縦に白い絵の具が置かれているのはまさにフリンクの筆遣いである. |
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飾り物やさらさらっと衣の襞などにも才能を感じるが,衣の部分の顔料はかなり落ちてしまっており,犬の鼻の周囲は不明瞭になってしまっているのは残念である.不思議なことにこれだけの作品に署名や年記が無いが,当館にある1640年の年記のある「シャボン玉を吹く少年」の仕上げに近い部分とレンブラント様式の中間のように思われるので,推定されている1630年代後半は妥当と思われる. |
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レンブラント最後の弟子ヘルデルの傑作「ダビデとナタン」 ヘルデルの作品は厚塗りの下地に問題があるのか亀裂も大きく,顔料落ちが目だってコンディションの悪いものがかなりあるが,残念ながら,たとえばダビデのひげの部分や左目の周りなど,本作もそれに含まれている. |
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しかしながら,ダビデのマントの房などにはヘルデルが好んで用いたパレットナイフによるスクラッチ技法が見事に残っているし,なにより全体から受ける強い印象はレンブラントの残照を感じることが出来よう. |
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ハルスの作品の展示は日本では唯一だろう.Sliveは真筆と認めているが,Grimmは周辺画家の作としている.小生は浅学にして判断はつかない.1984年頃になされた修復は極めて巧みである |
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ホイエンの河口の風景の大作である.画面の下1/4に水平線を低く置いて河岸を端に寄せ淡色調で描くのは1640年代の半ばの特徴で右のボートのへりにある年記も1644年となっている.遠景の建物を照合すればマース河などの河口かどうかわかるかもしれない.この作品のニスは褐色に変色したままなので上の写真は色調を補正してある |
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サロモン・ファン・ライスダールの「宿の前での休息」.彼の作品も川の風景が多いが,それ以外としてはこの題材を好んで取り上げている.1645年の製作で隣のホイエンの作品と同時代だが,二重対角線の構図でより色彩に富んでいる.木の葉は筆先を思わせる左上から斜めの短い線をたたきながら描かれているので彼は右利きだったに違いない |
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対面の壁にはフランス絵画がロココへと続いている |
![]() 第3室 カナレットの横はゴヤらしい |
![]() 第6室 現代絵画の冒険:多彩な表現の旗手たち(20世紀) |
![]() 第5室は19世紀絵画 バルビゾン派の対面は光と色彩の交響曲と題して印象派の展示 |
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![]() 第4室はロダンの「青銅時代」一点 |
![]() 第8室は闇に浮かび上がる「皇后ジョゼフィーヌのティアラ」 心霊写真風 |
![]() 同館を出て左手に下ってゆくと徒歩15分ほどで村内家具センターにでます.その3階に村内美術館があり,バルビゾン派から印象派を中心にフランス現代物まで展示されていますが,なんといっても見所はミレー・コロー・クールベでしょう.それぞれの重要作をお持ちです. |