日本年金機構の年金記録照合業務の入札情報漏洩(ろうえい)事件で、機構参事役の高沢信一容疑者(46)=官製談合防止法違反容疑で逮捕=が、入札参加各社の提案内容を採点する評価委員会の委員を情報処理会社「NTTソルコ」側に引き合わせていたことが警視庁への取材でわかった。同社の営業担当部長山本一郎容疑者(43)=競売入札妨害容疑で逮捕=が評価委員に入札前に面会していた。警視庁は山本容疑者が自社の評価について委員に働きかけた疑いもあるとみて調べている。
機構などによると、評価委員会は職員数人で構成し、メンバーは非公開。入札参加各社が提出した提案書について、委員がそれぞれ採点し、5月20日の委員会で各社の最終的な技術評価点を決めたという。
捜査関係者によると、山本容疑者は4月ごろ、東京都杉並区の機構本部で評価委員の一人と面会した。
5月下旬の入札は、技術評価点と応札価格の総合評価で行われ、ソルコ社は2拠点分を計約12億5千万円で落札した。ただ、この面会が入札に影響したかどうかは不明という。
山本容疑者は入札に先立ち、高沢容疑者に参加予定各社の評価点を一覧にした文書の作成を依頼。高沢容疑者が作った一覧を、委員会が開催された当日に受け取っていた。山本容疑者は一覧を基に各社の評価点について上司に報告。ソルコ社はこの情報を活用して応札額を決めていたという。
山本容疑者は捜査2課の調べに「一覧を高沢容疑者からもらったことを上司に伝えた」と話しているという。ソルコ社は朝日新聞の取材に、入札情報が山本容疑者から上司に渡っていたかについて「肯定も否定もできない。捜査に協力しており、ノーコメント」としている。
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