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【参加報告】「オスプレイ横田配備反対緊急院内集会」に参加した。(寄稿)

2018-06-11 20:29:56 | 参加報告

「オスプレイ横田配備反対緊急院内集会」に参加した。



 本日(4月16日)、衆議院第一議員会館地下大会議室にて300名の参加者で開催された「オスプレイ横田配備反対緊急院内集会」に参加した。この院内集会では、映画:「大和(カルフォルニア)」が15分程実写紹介された。カルフォルニア州に属するとの都市伝説をもつ「基地厚木」で生きる十代のラッパー:長崎サクラの生き様を描き、基地となにかを抉る作品である。参加された厚木基地近くで生まれた映画監督はその爆音で飛来機種を判別した経験から、これまでの機種と全く異なるオスプレイの重爆音はすぐ分かると語っていた。この映画は、4月21日まで新宿で、その後池袋で上映されると案内された。

本日、この集会に参加して分かったことを紹介したい。

1)オスプレイの米キャノン空軍基地における訓練運営基準が明らかにされた。
a)夜間及び超低空飛行(100メートル)で訓練する。
b)同じ場所の定期的な上空通過は回避する。(異なるルート飛行による訓練)
c)人口密集地、移動の激しい活動量の多い地域などは除外する。(横田はこれに該当しないのか)
などが明らかにされたが、米国では、訓練に当たり、この運用基準を住民に説明しなければならないが、理解を得ることができず、訓練実施が困難であるという。

2)オスプレイが何故「欠陥機」と言われるのかが明らかにされた。
 オスプレイは、米連邦航空局の「耐空証明」を受けていない。(耐空証明とは、自動車の「車検」に相当する)。
a)オスプレイは、回転翼の長さがヘリコプターの六割程度しかない半面、自重が二倍近くあるので、「オートローテーション」で着陸する構造ではなく、事故時の安全性が最初から期待できないこと。
b)そのためMV22は配備後、事故率が1.93から3.24に倍増した。
c)CV22は、その激しい訓練環境(夜間・低空)を必須として10万飛行時間の換算で事故率が4.05となった。

3)日本の基地訴訟による判例と日本政府の対処の実態が明らかにされた。 
a)基地訴訟は「基地差し止め」と「損害賠償」である。基地差し止め訴訟では、「米軍は日本政府の管理の及ばない存在」であり、審理対象にならず、訴因にならない。」と門前払い。治外法権である。
b)騒音に関する損賠訴訟は原告(住民)が勝訴する。日本政府は一審結審で262億円の損賠を、二審結審では延滞費用を含めた損賠費用として73億円を支払っている。   
c)日米地域協定では、米軍に起因する基地訴訟の損賠は、日本側が25%、米国側が75%と規定されている。しかし、米国は75%の負担分を支払ったことがない。(日本が肩代わり)

4)オスプレイ横田基地配備で懸念されることが明らかにされた。

a)横田基地周辺の自治体域内に、保育園、幼稚園、小中高学校が90以上の公的施設があること。
b)3月10日のパラシュート訓練で小学校にパラシュート付属物が落下したが、もし国道16号上に落下したら、複合的な対面衝突事故が誘発され、大惨事になる恐れがあった。
c)埼玉の「ピースキャラバン」活動を通じて、埼玉県の61自治体の内、30自治体が、米軍軍用機が上空通過したことが確認された。
d)オスプレイ横田基地配備に伴い、10機のオスプレイ機兵士の450名と家族1000名を受け入れることになる。基地内に収まらない可能性がある。
e)現状の横田基地内の住宅は、日本政府負担であり、住宅建設費用(土地は日本が無償提供)で一戸当たり6000万円を超えるという。各戸3つのトイレとバスタブをもつ戸建て住宅という。
f)地位協定では、いつでもどこでも米軍の訓練と移動は自由であり、横田以外でも落下事故を含む危険が常態化する。

5)今後の活動について
a)6月5日日比谷野音にて「CV-22オスプレイ横田基地配備反対集会」を開催する。
b)防衛省・外務省・東京都・各自治体への要請行動を実施する。
c)横田基地前座り込み活動(毎月第3日曜日午後1時半、福生フレンドパーク)への参加
d)稲嶺知事交流企画:「沖縄はあきらめない」5月12日午後2時〜文京区民センター)への参加
e)横田市民交流集会:映画「ザ・思いやり」と講演会(末浪靖司):5月19日「福生市市民会館」への参加。

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追記(1)(2018.4.17)
米キャノン空軍基地におけるオスプレイの訓練に関する資料は以下の通りである。
「ニューメキシコ州キャノン空軍基地における低空飛行訓練実施のための環境評価書」案
「1-1 はじめに
 ニューメキシコ州キャノン空軍基地は、2007年10月1日まで空軍戦闘指令部(ACC)の本拠地であり、第27戦闘飛行団(27FW)が配置されていたが、その後空軍特殊作戦(AFSOC)の拠点となった。27FWは第27特殊作戦航空団(27SOW)に改組された。この配備部隊の変更により、航空訓練、装備、及び特殊作戦部隊としての新しい任務が与えられた。第27特殊作戦航空団は、さまざまな地形、脅威レベル、気象条件、昼夜の時間帯、空域の航空機の結集など、様々な環境下で、飛行熟練度を維持する必要があり、そのような「グローバル」任務に関する訓練を実施する。乗務員のサバイバル能力維持の為に実際の戦闘条件と地形を厳密にシュミレートする厳しい環境下で、乗務員の適応能力を絶えず訓練することが必要である。」と記されている。

追記(2)(2018.4.17)
「2.11公衆と代行機関への広報活動」
 第27特殊作戦航空団は、ニューメキシコ州及びコロラド州で空軍の目的を説明する8回の公聴会を開催する。そこでは、低高度の訓練地域がどのような状況になるのかを明確にし、一般からの質問に答えることができる。空軍は、環境分析の期間中に公衆または他の組織からの意見を受け入れるように提案したが、空軍の行為に対する一般人の懸念を明らかにするために75日間のコメント受入期間を設けた。
75日間のコメント期間中、第27特殊作戦航空団は、国民及び様々な州政府および連邦政府機関から数多くのコメントを受けた。これらのコメントは、懸案事項を特定し、提案された行動の分析に適切な焦点を提供するために再検討された。以下にコメント期間中に受け取ったコメントの概要を示す。

コメントの項目               項目の詳細
【騒音の影響】     人々、家畜、野生生物、絶滅危惧種、構造的被害、生活の質
【社会・経済への影響】 資産価値の減少、観光への影響、風力エネルギー開発への障害、商業開発の制限、軍事飛行コスト(燃料、夜間滞在、航空従業員コストなど)
【安全性】       墜落の可能性、レスキュー能力、火災の危険性の増加、雪崩リスクの増加
【環境】        大気汚染、土壌汚染、水質汚染、環境への悪影響
【文化】        部族地域と部族の宗教的な慣行に関する影響
【空域】        一般及び商業航空との衝突回避のための軍用機の空域使用の制限
【代替案】       より適切な場所、シュミレータの使用
【環境影響評価】    環境評価(EA)より完璧な「環境影響評価」(EIS)への移行が必要。

とある。
このコメントに対する第27特殊作戦航空団側の回答はここには示されていないが、注目すべき点は以下のことである。
1)訓練開始にあたり、公聴会を8回開催し、75日間に渡るコメント受入期間を設定したこと
2)コメントは、訓練実施に伴う環境への影響について極めて詳細な検証を指摘しており、騒音だけでななく、経済的価値や様々な商業活動、飛行コストなどの経済性とともに、環境汚染への影響や、部族慣習への影響など総合的であること。
3)日本ではこのような公聴会やパブリックコメント設定などしかるべき対応が全く為されていないことである。

記:大久保 厚


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