中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

星野ジャパンに言い訳無用

2008-08-22 15:52:02 | Weblog
 星野ジャパンの「夢」は、北京の空に霧消した。日本野球界8年越しの夢が粉々

に飛び散ったと言い換えてもいい。2000年にプロ・アマ混成チームで臨んだシ

ドニー五輪。ここでメダルなしに終わったことから、長く果てしない「金メダル奪

取への旅」が始まった。04年アテネでは長嶋ジャパン、そして08年北京は星野

ジャパン。共にプロだけの純粋なチームを編成して臨みながら、いずれも準決勝で

涙を飲んだ。前回のアテネは脳梗塞で倒れた長嶋監督の代わりに、中畑コーチが代

行を務めるという緊急事態となったが、今回は違う。満を持して登板した星野監督

で完敗したのである。この事実は、経過にどんな出来事があったとしても、動かし

難い。敗北を素直に受け入れるしかない。

 冷静にこの日の日韓戦を振り返ると、多くのファンが思うように、なぜ2-2の

8回裏に好調とはいえない岩瀬を投入したか、という疑問が残る。岩瀬は予選の韓

国戦でも9回に打たれ、先日のアメリカ戦でも決勝点を奪われている。どうみても

本調子とは思えなかったのに、あえて1点奪われたら負け、とも言える大事な局面

で送り出した。7回に藤川が同点にされ、嫌なムードが漂う中だっただけに、余計

「?」がついた。想像だが、岩瀬の経験に星野監督は賭けたのだと思う。だが、こ

れが裏目に出た。

 前にも指摘したが、今大会における星野監督のさい配には、首をかしげることが

多かった。あくまでブラウン管越しに見ているだけだから、はっきりしたことはわ

からないので断言はできないが、阪神監督当時と比べて「勝負カン」が鈍っていた

のでは?と思った。投手リレーもそうだし、攻撃面のバリエーションの少なさにも

それを感じた。何でもできる選手を揃えていたにもかからわず…。

 短期決戦は「時の運」だと思うが、予選全勝の韓国は運だけで勝ってきたのでは

ない。やはり、ここ一番の力がある。打撃絶不調のイ・スンヨプに決勝2ランが飛

び出すのだから、底知れぬものを感じる。予選、準決勝と2度負けた日本は、もは

や「06年WBC優勝」を忘れた方がいいかもしれない。

 北京で取材を続けている本紙の担当記者をはじめ、多くの関係者が落胆している

のは容易に想像できる。無理もない。しかし、選手は責められない。個人的には、

早く大会が終わり、それぞれが所属するチームに帰還してまた日本の野球ファンを

楽しませてくれるのを望む。ただそれだけである。