中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

星野ジャパンのカナダ戦

2008-08-18 15:39:06 | Weblog
 稲葉が決勝アーチを放って投手陣が完封リレー。当面のライバル・カナダに勝っ

て、よしッ!と言いたいところなれど、へそ曲がりなこのおっさん記者は素直に喜

ばないのである。テレビを見ていて不愉快になった。あのゲームのどこに「日本野

球の真髄」があるのか。確かに、成瀬、藤川、上原の3投手はよく投げたし、バッ

クの守備もよかった。カナダは敗れたとはいえ、キューバ、韓国、アメリカに対し

て1点差の接戦をしてきたチームもある。だが、わずか4安打(5安打だったっ

け?)の1得点はなかろう。「1-0で守り勝つのが日本野球」というなら別だが

そうじゃないはずだ。

 この前も書いたが、相手は明らかに“格下”のチームである。何人かメジャー経

験のある選手が混じっていたが、この試合の先発投手などは1A所属。考えてもご

らんなさい。日本の球団が、マイナーの1A投手を獲りにいきますか?そんな投手

に大苦戦するジャパンの攻撃陣は、一体どうしてしまったのか。変なものを食べて

いないか、ほんと心配になる。確かに1敗もできない厳しい状況にあるが、それで

も余裕がなさすぎ。普通に戦えば普通の結果(大差かコールド勝ち)が出るはずな

のに、まだ選手個々は緊張感でコチコチになっている感じがする。

 試合後、星野監督は第一声で「俺を殺す気か!」と言った。苦笑いまじりだった

が、おそらく本音だっただろう。終了直後のベンチをジッと見たが、監督は両目を

押さえて拭う仕草をした。勝った安堵感か、あの程度のカナダに辛勝しかできなか

った悔しさかは知らないが、あれは確かに涙だった。予選リーグのこの段階で、指

揮官が涙を見せているようでは、決勝トーナメントが思いやられる。この試合、作

戦面で何度か首をかしげるシーンがあった。星野監督の勝負カンが鈍っているので

は?とも思った。しかし、ここでは触れない。

 ジャパン悲願の金。このフレーズに、星野監督以下選手全員が縛られているよう

な気がしてならない。個人的には、五輪での金メダルなど、どうでもいい。そんな

ものより、五輪出場選手には「日本野球のレベルの高さ」を全世界に見せつけてほ

しいのだ。キューバ選手が身体能力の高さを誇示するのであれば、日本は組織とい

ての緻密なプレーを誇示してもらいたい。そうして世界に「さすが日本だ」と言わ

せたら、別にメダルがなくったっていい。

 カナダ戦の後、チャンネルを高校野球にスイッチしたら、大阪桐蔭が打ちまくっ

ていた。これも強打の常葉菊川を圧倒、何と17-0で優勝。大阪勢が夏を制した

ことは、夏バテ気味の虎さんチームにも励みになる。
 
 球児たちの夏が終わっても、ジャパンの夏はまだ続く。戦士たちよ、誇りを持っ

て堂々と戦え。結果など全く気にする必要はない。