中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

五輪の傷あと…新井骨折

2008-08-26 17:07:13 | Weblog
 東京から新幹線で移動し、ようよう甲子園に着いたこのおっさん記者を待ってい

たのは「新井疲労骨折」というバッドニュースだった。球場記者席で前夜の試合の

記録を整理し、一塁側ベンチに降りていくと、何だか騒々しい。顔見知りの記者を

つかまえて聞いてみると「練習前に発表がありまして…」とのこと。それが新井の

診断結果だった。声にならなかった。きょうの試合から五輪組が合流し、ようやく

態勢が整うと思っていたのに、いきなりこれだよ。「骨折や!」と吐き捨てた岡田

監督も無念の表情で話したそうだが、一番残念なのは、当の新井に違いない。

 7月中旬に腰の張りを訴え、何試合か欠場した。そこから治療に努め、何とか球

宴は出られたのだが、やはり五輪が影響したと言わざるをえない。ましては日本チ

ームの4番を任され、金メダル奪取が至上命題とされる中でのプレッシャーと戦い

ながら最後まで耐え抜いた。おそらく、星野監督やチーム関係者には一言も腰の具

合を話してはいなかったのだろう。もし言っていて、それで起用され続けたのなら

ば「労災」であるが、新井はそういう男ではない。ただ懸命に耐えていた、と勝手

に想像する。

 もう五輪の話はすまいと思っていたが、新井まで骨折となれば、もう一度蒸し返

さざるをえない。ソフトバンクの川崎も疲労骨折でシーズンはほぼ絶望的だとい

う。みんなが五体満足で戦った結果がメダルなしでもそれは仕方ない。ただ、こう

まで故障者が続出すると、一体何のための五輪なの、と言いたくもなる。

 おそらく、新井は驚異的な回復を見せ、クライマックスシリーズには戻ってくる

と思う。この約2カ月間で、懸命のリハビリをするはずだ。だが、それに間に合わ

さなくていい。ゆっくりと完治させること。新井のプロ野球人生は今年で終わるわ

けじゃないんだから…。来年があり、再来年がある。無念だろうが、ここは阪神の

将来をも考えて、完ぺきに治すべきだろう。その間は、みんなが何とかする。兄貴

が何とかするさ。岡田監督胴上げの日を、まずは楽しみに待っていてほしい。