備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

山田和也×石川禅が語るミュージカル『ジキル&ハイド』

2016-02-04 02:30:52 | イベント・その他
※A4のレポート用紙5枚分のレポ。
単語で記録しているため、結構、脳内保管してます。
なので、その辺のところを組んで読んでもらうと助かります。

バックにプロジェクター。
左手に山田氏、右手に石川氏の椅子配置。

5分前になるとプロジェクターに、
『ジキハイ』の約5分間PVが流れる。

その後、司会の方により、
講師の二人が登壇。

最初、どっちに座るか分からず、
山田氏にお伺いをたてるが、
机に張ってある名前の書いてある張り紙に気づく石川氏。
(以下、石川氏の話が”石”、山田氏の話を”山”)

石『大きく、名前が書いてあった』
と嬉しそうに話す。
で、それぞれが名前を言ってから、着席。

山『それぞれの自己紹介を…』
と、台本を読むが

石『今、名乗ったし、
(参加する人で)知らない人はいないでしょ』
と、その進行を跳ばす。

懲りずに
山『出会いは何時か?』
と、台本を進行。

石『初対面はジキハイ初演の時で、場所は
今は無いけれど、帝劇楽屋前にあった喫茶店。
スタッフの人から、演出家が自分に会いたがっている、
と言われて面接を受けに行った』

それに対し、
山『状況は同じだけど、禅さんが
会いたがっている。と、スタッフに言われた』

石『そんな真実を今、知った。
コワいわー、東宝さん』
と問題発言。

なお、
山『(役者との)面接なんかしたことない』


で、その時のお互いの印象について。
石『演出家は気難しい人が多い、灰皿を投げる人もいる』
と、最初はぼかしていたけど、蜷川氏の実名を出したあと、
石『三文オペラで、蜷川さんの演出を受けた。
その時は鹿賀さんがマック、村井さんが……
タイガー…、タイガー…、えーと、警視総監、
違うブラウンだ、何だタイガー…って』
と、セルフツッコミをする石川氏。

石『自分はその子分で参加。
初日の本読みで、即、立ち稽古に。
その時は客席通路を使った演出。

この前の市村さんの時もあったけど、
(ここで昨年上演したマクベスの名前がすぐに出てこない)
とにかく、通路を使った演出が多い。

そのシーンの立ち稽古をした時、
右往左往していたら、怒鳴られた。

あとは、”かなづち”が飛ぶ演出家とか。
青年座の鈴木さんという演出家なんだけど。

そういう演出家が多いので、
その面接を緊張して受けに行ったら、
あまりに(山田氏が)普通の方だった』

ここで、山田氏から石川氏の印象はなく、
そのまま、石川氏のミュージカルの仕事について。

石『プロになってはミス・サイゴン…あれ』
と中断してから

石『違う、初舞台のミュージカルは
青年座のスタジオ公演だ』
とその作品(シューベルトがテーマの作品)の解説。
また、この時のドライアイスの演出について、失敗談を語る。
(ラストで使うが、セットの床が金網のため、
全く舞台に残らない。そのため、ラストだけ、
ビニールを貼って、煙が残るようにした)

石『そのあと、ミス・サイゴンに出て、レミゼのアンサンブル、
回転木馬のビリー、レミゼのマリウス、ジキハイ初演の順』
(これが、すんなり出てこず、山田氏から、
『頑張れー』という51歳に言う台詞じゃない励まし方)

その話を受けて、

山『鹿賀さんがジキハイ初演で、
一緒にやりたいという役者が数人いた。
その中の1人が、自分と会いたがっている』

という話になって、出会いの話とつながる。
この時には、鹿賀氏はバルジャンのみで、
石川氏は鹿賀氏のジャベでの共演は無いとか。


唐突に話題は『ダンス・オブ・ヴァンパイア』の話に。

山『先日、千秋楽を終えたDOVについて述べよ』
と、突然、試験問題口調に。

石『やべー、やべー、演出家の前で言うの、やべー』
と、『ちかえもん』な松尾スズキ氏に似たトーンで、困惑する石川氏。

石『この作品は観るより、演る方が楽しい。
客席で観ていても、踊りたくならない?』
と、フィナーレ振り付けを片手で。

石『最初、教授がアルフにとってヒーローである
と言われた時、スーパーマンと勘違いしていた』
と、ここで、スーパーマンが飛ぶ時のように、片手だけ、ピーンと伸ばす。

石『しかし、そのヒーローとはベイブ・ルースみたいに、
実在するヒーロー。一点のみに秀でているけど、
他はダメ。リアルなヒーロー』
と、更にコアな話題へと。

石『初演三ヶ月を続けるのは、ノドへの負担が大変と気づく。
それを軽減するためには、高い声を出してオーバーにやってた。』
ここで、高いの説明をする際、
人差し指をピンとたてるジェスチャー。

石『しかし、今回の再演では、オーバーでなく、
リアルを出す方向に転換しようと決めた。
そのことを今回の再演稽古の最初で、
山田さんに話したら、最初からそれは言っていた。』
というオチに。

石『なぜ、今回の再演で、そう思ったのか。
それは、この前に出演していた、貴婦人の訪問という作品で、
ラスト、アルフレッドが、返事をするシーンがあった。
はい、っと言ったあと、今井キヨさんが演じる市長が…』
はい、石川氏は今井氏のことを、
”今井キヨさん”と言うんだ、と。

石『もっと、大きな声でという。
それを受けて、アルフレッドは、もう一度、
はい、と言うけど、それは大声ではない。
でも、気持ちがこもっている。

台詞は心のカス、という言葉があり、
言葉は気持ちをストレートに出す。
これが頭にこびり付いている』

ここで、手を後頭部に当て叩く。
石川氏にとって、記憶に残るというジェスチャーは、
後頭部の海馬辺りを指すことらしい。

石『今回の再演は、吸血鬼のリアルさを
出すために、自分がリアルの演技をするようにした。

そうしたら、声帯に負担にかからなかった。
人は真実を言うと、自然に話せる』

山『確かに、塔の上で、
あれはオリオンだ、というシーンが、
大変に良かった記憶がある』

と、ここまではマジメな話。

石『あれは良い作品だった。またやりたい。』
山『これは再演されるでしょ。って、自分は保証できませんけど』
石『(年齢的に)キツくなる前にやりたい』
山『カツラ無し(白髪)で演じれば?』
と、オチたところで、

先ほど話題にでも出た『貴婦人の訪問』について。

山『貴婦人の訪問については?』
石『これは台本がドロドロな展開。
これは、リピートできるのか?』
と、片手を本に見立てるジェスチャー。

石『今の世の中、
リピーターがミュージカルを支えている。
この作品が生き残るには、
如何にリピーターを獲得できるか、否か』
と、若干の内情を吐露。

石『そんな内容を緩和するのが、音楽とダンス。
音楽一つで、ここまで変わるのか、と、ビックリした』

山『いつもと違う点は?』
石『オープニングのナンバーが大変。
この一曲で、現状説明とクレアへの要望を、
すべて詰め込むので、それが大変』
この時、オープニングの旗を振るシーン説明で、
何故か、立ち上がり、実際のクレアを
出迎えるシーンをジミに再現。

そこから、『遠い夏の日のゴッホ』ネタに。

石『この作品もト書きが多かった。
それも、登場人物がすべて虫で、
その虫の動きがト書きに書かれていた。
とにかく、マイムで演じたら、
観客は想像力で補ってみてくれた。

このことから、役者が全力でやれば、
お客さんはそういう風に観てくれる。

そういう意味で、あの貴婦人の訪問の
オープニングは全力で演じ、楽しかった。

山『教授とは違う楽しさ?』
石『教授は誰よりも強い。
大変にポジティブな役で、
演じ終わっても疲れがない。

逆にマリウスやジャベなど、
精神的に悩む役は、演じ終わると疲れる。

クラウスも悩む役だったので、
精神的には疲れるけど、
ダンスナンバーに救われた』

と、ここで、
山『ランダムに話しているようですが、
すべて自分の演出作品です。
で、次の最新作品がシスターアクト』
ジキハイは飛ばすのか…。


山『これは初演は観たことありますか?』
石『役代わりで、両方観ました。
実は、瀬奈さんの回を観に行ったら、
終演後の森さんに出会い、慌てて、
次に観るから。と言ってしまった。
もちろん、二回観るつもりでしたけど。

この作品はダブルキャストの良い点ですね。
一粒で二度、オイシい(byグリコ)』
と、片手で顔を隠す、反省ジェスチャーで、
石『歳がバレますね。』

山『カーティスの印象は?』
石『まだ、そこまで入ってない。
何より、1/17がヴァンパイアの大千秋楽。
1/18にシスターアクトの制作発表。

そこで、”あいつを見つけたら”を披露。
今回、ヴァンパイアの東京公演後、
1ヶ月間空いたから、練習出来た。

どう歌ったら、良く見せられるか、とか、
まで考えるようになり、
カーティスは歌から入る役になってしまった。

むしろ、今、悩んでいるのが、
最後、エディに撃たれ、イテっ、というシーン。

ここをコミカルに落とすか、
あるいは、どう言おうか考えている』

山『そこを楽しみに(観客に)待ってろという話ですね』
石『違います、本当にお悩み相談室です』
山『カーティスは他者の痛みに鈍感。
自分の痛みには繊細な役である』
石『いいヒント、ありがとうございました』

ここで、40分経過。
山『その翌日1/19にジキハイの歌稽古』
と、本日のテーマのジキハイに軌道修正する山田氏。

石『アターソンの役作りは大変。
教授とカーティスは精神的に強く、上から目線の演技』
と、片手を上から下に落とすジェスチャー。
石『しかし、アターソンは普通の人で、大変』

山『ここで、ジキハイの役変遷の説明を。
初演と二演までは、ストライド、
三演からアターソンを演じてもらいました。』

石『魂を削る演技をする鹿賀さんを支えたい。
ストライドを演じながら、自分はどう演じるか考えていた。
でも、ストライドも快感。なぜなら、
鹿賀さんをやりこめる悪役ですから』
と、やりこめるでは、上から目線なジェスチャー。
また、この悪役ですから、は、なぜか立ち上がる石川氏。

石『悪役でも好きになる。
別な側面から見れば、悪役にも正当性がある。
そうしていくと、リアルさが出せる』

山『今回、歴代のストライドが揃う』
石『改めて、ストライドは面白い役。
アターソンを演じていると、ストライドを、
ストライドを演じていると、アターソンを演じたくなる』
山『では、日替わりで演じますか?(笑)』


山『今回、石丸さんの友達だけど、
鹿賀さんの時と何がちがうか?』
石『同時期に相手役が変われば
(ダブルキャストなら)演技を変えるが、
今回はリアルに演じるだけ』

山『最初にこの作品を見た印象は?』
石『音楽に隙が無い。無駄な曲がない。
塩田さんはこの作品に惚れ込んでおり、
オープニングで号泣出来るほど』
山『塩田さんがBWに研修に行ったときに、
上演しており、ピットにも入ってるはず。
そういえば、禅さんはBWには?』
石『WEはあるけど、BWはない。』

山『実際の舞台は見たことなく、
曲から入った作品ですか。』
石『ネットを見ると、ミュージカル俳優は
みんな、”時がきた”を歌っている。
もう、ミュージカル界の”My way”かって言う。
誰だっけ、初演で演じたのは?』
山『ロバートクチオリですね』
石『もう、ふざけんなっていう位、延びるし』
と、手を狐の形にして、前に伸ばすジェスチャー。

山『長年演じていて、何かエピソードとか、失敗談とか』
石『アターソンの時、ラスト、ジキルを銃で撃つ。
その際、銃を上着に隠すが、普通に隠すと目立つ。
そこで、ホルダーを後ろに持ってきて…』
と、立ち上がり、手をホルダーに見立て、後ろを向いて、説明。

石『ただ、そういう風に仕舞うと、
鳴ってはいけない時に、銃が鳴ってしまう。
ジキルがアターソンに懇願しているときに、
暴発してしまい、鹿賀さんの目が点になった』
山『引き金を甘くしておきます(笑)』

なお、終演後、鹿賀氏に謝りに行ったとき、
鹿賀氏から『いいよー、いいよー』と言われたらしいが、
その石川氏による鹿賀氏モノマネその1。
この言い方が、大変に似ている。

ここで、銃の暴発話に脱線。

石『ピーターパンのフック船長で、
銃は太股に仕舞う。しかし、
ある時、銃が抜けないことが。
銃を抜いてないのに、銃声がする事態に』
山『ファニーな作品で良かったですね』
石『まだ、面白い話があるんですよ』

と、更に脱線。それは『メトロに乗って』での話。

その時演じたのが、
女性下着メーカーの営業社員。
で、営業に行くというシーンで、
トランクが空いてしまうという設定。
しかし、ある日、トランクが空かない。
その時の衝撃を、変顔で表現する石川氏。

ここで、開始一時間経過。
山『では、この辺で、ジキハイの
チケットを買いたくなる良い話を』
と、本来の目的に軌道修正。

山『今回、相手役が変わるが、それで変えているか?』
石『今回は相手役のジキルが同年代。

鹿賀さんの時は、ストライドからやっていたので、
一回り以上、歳が離れていても、信頼関係があった。
具体的に、ストライド役者の前任者には頼んでいなかった、
ジキル化する際のカツラを留めるピンを外すことを頼まれた』

ここで、『ピンをハズしてくれるー?』
という石川氏による鹿賀氏モノマネその2。
この微妙な脱力感のある言い方が、
やはり、ポイントを押さえ、似ている。

石『今回は色々、意見を言いながら進める。

(石丸氏とは)
エリザベートでは、段差があり、絡みがなかった。
モンテクリストで少し、近づく。
そして、レディベスで、面白いヤツだな、と。

今回、友人役なのは楽しい。
如何に、自分の役をドラマティックに出来るか、と』
山『明日から、ジキルとのシーンが続くので、
(今週は)ずっと楽しんで稽古して下さい』
石『鹿賀さんとのアターソンと、
石丸さんとのアターソンは違うので、
その違いを楽しんで下さい』
山『では、今回だけ見てる人は楽しめない、と』
石『見て、損はさせません』
と、ここで
決め顔を作る石川氏
山『あとは、銃のシーンが成功するかどうか
楽しみながら、観てください。
演出家としては(失敗するのは)残念ですけど』


ここで、開始1時間15分。
山『役作りのポイントは?』
石『俯瞰視点。一歩、引いてから、見てみる。
また、相手がどう演じるかで、変わる』

ここで、質問コーナーへ。
山『お二人に別人格はあるか?』
石『オフの時はあります。
スタッフには”はー?”って思われることも。
人は皆、多面体。』

山『B級ホラーになりがちなので、
面白くなるようにしてることはあるか?』
石『そもそも、B級の定義がむずかしい。』
山『確かに』
石『台本をどう解いていくかによる。』
ここで、改めて質問を読み、
原作と比較しているのかも、という結論に。
石『原作と違う、というのは良くありますね』
と、この”違う”と言うとき、立ち上がり、
半オクターブ上げた声で、”違う”と感情をこめる石川氏。


ここだけの話ということで、
『自由にしてくれ』という最後の台詞について。

石『これは、ジキルの台詞かハイドの台詞か?』
と、ここで若干グレーな話題に。
でも、この話は聞いたことがあるので、
そこまで内密にする必要もないような。

石『台本にはハイドの台詞として描かれる。

そして、このジキルの二重人格が、
多重人格症からくるものでなく、
(普通は、幼少の虐待の記憶は直ぐに抹消するが、
それが上手く出来ず残ると、それが別人格になる)
薬で分離したことに意味がある。

つまり、ジキルが苦しいから殺してくれ、でなく、
ハイドが言うことによって、ハイドの中にジキルの部分が有る、
薬で人格が分かれたので有って、完全に分かれたのでは無い。

ある学者が父親のために作った薬を
実験のため、服用し起こった悲しい物語だと思う。』

山『”自由だ”と叫びながら誕生し、
最後には”自由にしてくれ”と叫でますね。』


山『観客がこの作品に求めているものは?』
石『エンターテイメントかな。
って、お客さんじゃないから分からない』
山『チャーミングな禅さんを魅せること。』
石『頑張ります』


山『原作は参考にするか?』
石『参考にはならない。
というと、話が終わってしまうので。

この作品は切り裂きジャックが元になっているので、
その時代設定を参考にすることはある。』
ここで、切り裂きジャックをスマホで検索すると
画像がいっぱい出てくると話し、スマホを指で、
なぞるジェスチャーがなんかツボった。

石『しかし、レミゼラブルのように、
長い原作を意識したら、ミュージカルの役は出来ない。

なので、原作よりも、
相手役とのキャッチボールを重視する』

と、上手く纏めた処でセミナー終了。


朝日カルチャーセンター企画のトークショー。
一応、登壇者は二人だけど、石川氏の独壇場。
演出も役者に委ねる感がある山田氏だけあって、
こういうトークショーも、石川氏に委ねつつ、
最低限の司会進行はこなしていく。

対談相手が指揮者の塩田氏だと、
更に暴走しそうなので、
対談相手にこれ以上、最適な方はいない。


で、肝心の石川氏。
喋っている時、マイクを持っていない手を
常に使って、話を進行していく。
それが、結構、ツボで、可能な限り、
書いてはいるが、それ以上に色々やっている。

普通に話せば良いのに、
と思いつつ、そういう処が”役者”なのかな、と。

また、こんなに、手は動いているのに、
両足は、常にスツールに、キッチリのせる。
(時々は足を伸ばすけど、基本は揃えている)

更に、ポイントは、
七分丈のパンツを履いており、ちょうど、
裾が靴下までという、オシャレ上級者。

話している時に、思い出す際、
上を見上げるという大変にベタなジェスチャー。

前半は具体的な作品の話や、
エピソードを話していたので、
レポとして書きやすいが、
最後の質疑応答になると、
結構、抽象的な話になるので、
その辺は書きようがない状態。


参加者は、ほぼ、女性。
そこまで、注意はしてないけど、
男性の姿を見かけなかった、意外にも。
このテーマなら、男性参加者も居るかと思ったが。
むしろ、石川氏ファンしか参加しないのか、このテーマだと。
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