備忘録

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『江戸は燃えているか』

2018-03-04 12:16:00 | 国内ストプレ
三谷幸喜作品まとめはコチラ

勝の家。

開場か開戦かで、揺れる江戸市中。

勝の家の中でも、それは例外でなく、
庭で腰掛ける勝の後ろ姿に、
娘・ゆめや姉・順はヤキモキしている。

そこに、勝本人が帰宅。

実は、腰掛けていたのは、
庭師の平次で、影武者をしていた。

そこに、勝宅に西郷がやってくるという話しに。
勝はまだ、会えないと断るが、
江戸での開戦を望まないゆめは、
勝を外に追い出し、代役を立て、
開戦を防ごうと計画。

その白羽の矢がたったのは、平次。

まずは外見を似せ、協力者を得るが、
西郷サイドの人物や事情を知らない人が、
現れ、少しずつおかしな方向に。

西郷から開城とその条件を聞きだすが、
慶喜の薩摩での身柄拘束という条件を
伊勢謹慎という話まで、持って行き、
なんとかやり過ごす。

そこに勝が帰宅し、西郷と会い、
開城への段取りを始めると言い出す。

そこで、皆が考えたのが、西郷の影武者。
そして、それに白羽の矢が立ったのが、取的のデク。

二幕。
デクを西郷に見立てる。
デクにはゆめから、
父が会いたがっていると騙す。

そして、デク扮する西郷と勝の対面。
腰の低い西郷に気をよくする。
そして、話は終了。

と、そこに本物の西郷が戻ってくる。

急遽、平次が勝を演じ、
話を聞くと、慶喜の進退は切腹になった、と。

話が違うと息巻くが、
最初からそれが狙いと気づく。

そこに本物が勝が登場。
事情を理解した勝は
西郷に開城を約束する。

しかし、慶喜は水戸に謹慎と、
最初から渡す気は無いことだけは明言。

西郷もそれに納得し、
明日、改めて、薩摩藩邸で、
同じ説明をする事を依頼。

そして、色々と誤解が溶け、去っていく面々。

平次と”いと”だけが残るが、
平次には、”いと”にその気が無いことを伝える。

すると、背後から刺される平次。
そのまま去る”いと”。

そこに勝が『今年の桜は早かった』と言いに現れ、
それは毎年言ってると返し、負傷しながら退場する平次。

そして、火の粉の代わりに、
桜が舞う江戸、で幕。


獅童@勝
野田風味の江戸っ子。
ドシっとした体型なのに、
甲高い声で駄々をコネたり。

ヤるときはやるけど、
なかなか乗り気にならない
という典型的なパターン。


昌宏@平次
こちらは町人風。
やはり、江戸っ子っぽい。

状況を瞬時に見極め、イヤイヤ
言いながら、協力していく。

一幕で上手くいくと、
自分の値段を上げ、
更に調子に乗っていく。
それゆえ、最期には刺される。

映像と同じ印象で二枚目路線。
『ロスト〜』よりも、
より映像の印象通りに。
獅童が甲高い声なので、
そこまでは気にならないけど、
千秋楽まで声は持つのだろうか。


松岡@ゆめ
長女。
替え玉を思いつく、騒動の発端。
江戸で開戦したくない、
その思いで始めたのに、
自分が犠牲になるには、
(デクにやる気にさせる)
ちょっと抵抗。

若さだけで突っ走る。
そもそも舞台よりは映像の人かな。


高田@かね
古株の女中にして、勝の愛人。
ただ、そこまで深い関係ではない。

問題を起こす方のキャラかと思ったら、
問題を解決する方のキャラ。
そうか、三谷脚本だとコッチの役回りか。
戸田恵子さんポジションだけど、
戸田さんが演じるとどうなるか観てみたい。


八木@たみ
マイペースキャラ。
これは何時も通りの八木さんだけど、
もう、こういう位置づけなんだろうか。


飯尾@山岡
マジメな家臣。
空気を読まないキャラから、
後半は空気を読むことで、ドつぼに。

お笑いの人にマジメな役を振るという王道だけど、
ラジオ時代(ずん)からを知っていると、
こんな俳優さんだったのかと。


磯山@いと
平次に思いを寄せる。
しかし、勝に扮している事を
知らないために、ヤヤコシくなる。
そして、最後はオイシい処を。

三谷作品にあまり馴染みが無いので、
無難な役回り。宮地さんポジションかな。
あまり、発声とか関係なかったし。


妃海@順
勝の妹。
武家の娘、そして賑やかし。

元娘役に男勝りな役という、
王道と言えば、王道な配役。
でも、関西ノリで、瀬戸カトさんが過ぎる。

途中、歌うけど、
かなり謎な展開だった。
そもそも、その歌詞内容と
それまでの展開が有ってるのかも謎。


中村@たえ
一番古い女中。
平次とデクの判別が可能だけに、
勘違いを一番に発揮。

この手の女形キャラだと、
浅野氏の専売特許かと思ったけど、
歌舞伎界には人材が豊富らしい。


吉田@半次郎
人切りとして有名だけど、
チェストを連呼するお笑い要員。

稽古場レポでは良く名前を観ていたが、
実際の舞台で観るのはハジメて。
実はイケメン路線かも。


藤本@西郷
肉襦袢を着て、
かなり着膨れ状態。

その一方で、
デクの時の気弱の雰囲気。
でも、庭師の一人らしい。

声の通りが良い。
二枚目なのに、若干のお笑い要員に。
西郷隆盛を演じるのに、体型は関係ない事を証明。


田中@村上俊五郎
この中では一人、冷静。
それでいて、熱い思いを持っている
勝の門下生。

キャスト的には〆にくる。
普段だと、筒井氏かな、と。
映像の人だけど、セリフに違和感が無い。


三谷脚本、演出。
史実をメインに、人が入れ替われる。
勘違いとなりすましというコメディの王道。

ただ、勝だけでなく、
西郷も替え玉という路線で、
更にヤヤコシくなるかと思いきや、
(『啄木』みたいに別目線かと思いきや)
そこはスッキリな脚本に。

メインの勝の役者が違うので、
分かりにくい事もなく、
最後まで齟齬がなく観られた。

ただ、お江戸ござる用の脚本と聞いたとき、
ちょっと、伊東氏で観てみたいかも、と。
もっと、スッキリしたコメディになりそう。


音楽が栗コーダーカルテット。
童謡というか、ほんわか路線の音楽で、
ノンビリしているけど、結構、切羽詰まった状況のハズ。
そして、謎のミュージカルも同じ作曲だとは思うが、
内容が江戸の人口を教える系なので、
ちょっと、Eテレ系なノリも。

このところ、ずっと清野さんだったけど、
路線を変えたのだろうか?
それとも、忙しかったから?

幕末モノということで、
映像、舞台を含めた過去の
三谷作品キャストを色々と思い出した。

その中でも、勝は内藤氏よりも
野田氏の甲高い優男な印象が強いことを再確認。

また、今回、三谷作品(舞台)に
馴染みの無いキャストが多かったが、
既存のキャストで色々と想像できる。

それが良いのか、悪いのか。
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