備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『イニシュマン島のビリー』

2016-04-09 12:14:13 | 国内ストプレ
ネタバレなアラスジ。

場所はある島の雑貨店。

そこでは、アイリーンとケイトという
二人の叔母が、甥のビリーの帰りを待っていた。

しかし、来店するのは、情報屋・ジョニーパティーンマイク
や姉のヘレンと弟のバートリーというビリーの友達の姉弟ばかり。

やっと、ビリーが帰宅するが、
医者から何か言われたかと、更に心配する二人。

一方、ジョニーの自宅では、ジョニーの
母親・マミーが医者・マクシャリーの往診を受けていた。
ジョニーがマクシャリーを呼んだのだが、
実は、ビリーの病状を聞くべく、呼んだのだった。
守秘義務が有るからと言うマクシャリーに、
必要に食いつくジョニーに、病気は無いと断言する。

ある日、ジョニーから隣の島で、
映画の撮影が行われると聞き、
バビーボビーの船に乗って、隣の島に向かう姉弟。
映画の撮影を観たいビリーは、ボビーに、
余命3ヶ月という嘘の診断書をみせ、
一緒に、隣の島へ乗り込む。

それから、数日。
なかなか戻らない4人。
そこに、ボビーの船が戻ってきたという知らせが。
しかし、乗っていたのはボビーと姉弟だけ。

ボビーが雑貨屋に着くと、
ビリーがアメリカへオーディションを
受けに行ったと二人の叔母に伝える。

2幕。
ビリーがアメリカに渡ってから四ヶ月後。

ビリーからの便りはなく、
島の皆は死んだと思っていた。
というのも、バビーには、
余命3ヶ月という診断書を見せていたので、
叔母二人以外は皆、死んだと思っていた。

そこで、ビリーのモノローグ。
その内容は、島を出たことの後悔と、
ヘレンに会いたいという内容で、
最後には絶命して暗転。


隣の島で、撮影した映画の上映会。
そこにビリーが戻ってくる。
叔母二人には、オーディションを辞退したと告げるが、
実際にはオーディションに落ちたのだった。

そこにバビーと鉢合わせするビリー。
余命3ヶ月と、騙されたことから、
ビリーを徹底的に痛めつける。

ビリーの自宅で、マクシャリーによる手当を
受けていると、喘息が悪化し、吐血するビリー。
結核に犯されている可能性を示唆するマクシャリー。

これで最後かと、ビリーは
ヘレンをデートに誘うが断られる。

ショックを受けているビリーは、
更に、両親の死は自分の入院費のために、
保険金目当てで、自殺したことを知る。
(しかし、実際にはビリーを殺そうとして
誤って、両親が死んだということも明らかに)

そこで、ビリーが自殺しようとしたその時、
先ほど出て行ったヘレンが戻ってきて、
デートの誘いを受けるという返事をする。

ビリーに、少しの希望が見えた時、吐血をし、退場。


古川@ビリー
ビジュアルはほとんど見えないが、声は良い。
ただ、通る声ではないので、既に、嗄れている。

行動に制限のあるメイクで大変なのだが、
そこはなんとか、こなす主役。


鈴木杏@ヘレン
男勝りな幼なじみ。
ビリーを全く異性と見ていない。
しかし、最後にはビリーの気持ちに気づき応える。

このぶっきらぼうなカンジが、
マクドナー作品の女性キャラかな、と。
いわゆる、ヒロイン路線の
女優なのに、そこは裏切らない。


柄本時生@バートリー
ちょっと、マヌケな弟。
お人好しな役で、映像のイメージ通り。

ただ、役としての存在感が薄い。
なぜ、この役があるのか?、と。
今回、役自体が少ないだけに、
必要性があまり感じられない。


山西@ジョニーパティーンマイク
島の情報屋。
ストーリーを整理する役
だけど、変な処で話を盛る。

この作品の一番のコメディ要員。
ただし、ブラックなコメディ。

ここまでくると、山西氏が選ばれたのが分かる。


峯村@ケイト
喋るだけで笑いが取れる、
二人の叔母の内のボケのほう。

ナイロンとか、ケラ演出だと、
もっと扱いがヒドいので、
結構、控えめな、ヒドさ。


平田@アイリーン
居るだけで笑いが取れるけど、
二人の叔母の内のツッコミのほう。

意識して観たのは、ハジメてかも。
こんなに飛び道具な女優さんだったとは。
同系統としては、片桐ハイリさん。
そんな認識。


藤木@マクシャリー
この島で唯一の常識人。
裏が有るかと思いきや、普通に良い人キャラ過ぎて。
こんな常識人がマクドナー作品に登場するなんて。

独特な滑舌で、独特の抑揚の台詞廻し。
通る声とは言えないが、聞いていて耳に残る。
安定の藤木氏の発声。


江波@マザー
アル中という設定で、
オイシいポジションだけど、
一番、ストーリーに絡まず。

最近、映像で観たのが、
江村教授の下宿先のオバチャンなのだが、
そのイメージの延長上なオバチャンキャラ。
なのに、舞台でも、あの通る声というのがスゴい。


演出は盆舞台を使った舞台転換。
それと、上半分がなく、
シーンによって色が付く。

途中、音楽に合わせて、
盆が回転し、そのシーンでの登場人物の
停止芝居が入ってくるのが印象的。
そういえば、『十二夜』や『四谷怪談』も、
似たような場面転換があったような。

また、その場面転換で、ダミーのビリーが登場し、
ついさっき居たのに、いつの間にか、違うセットに居たり。


そして、コメディ要素を入れてくるのだが、
その笑いのツボがちょっと、自分とズレる。

シュールな笑いにしては、中途半端。
(特に、ジョニーのコメディシーンが、
自分の笑いのツボと合わない。)

また、そこをコメディにするのかという不快感。
(卵を割るシーンが、特に。
作り物でグロテスクにやられるのは問題ないのだが、
実際の食べ物を無駄に使われると。
ま、賞味期限が切れている可能性も有るか。)

マクドナー作品は、長塚演出を立て続けに二本観て、
その路線のグロさや笑いは気にならなかったし、
その後に、小川演出で二本、物質的なグロさを
舞台上で観てきたが、この二人とは、ちょっと違う演出。

単に初期の作品なために、作品のカラーが違う可能性も。
普通にストーリーが進んでいるけれど、
何か隠された事実があるのでは?
と、複線が張られる。でも、
その複線はストーリー中ではさほど、重要でない。

この肩すかし感が最後まで残った。


なお、チラシに新訳で上演とあったので、何故かと思ったら、
『ビリーとヘレン』というタイトルで上演していたらしい。

マクドナー作品の場合、最悪な結果の中にも、
報われるオチがあり、今回もヘレンの最後の行動がソレ。

今回は、ビリーの思い通りにいかない人生が
全面に出ていたけど、これが恋愛をテーマに
した作品に変えた場合、また印象が変わるのかも。

ま、観てないので、どんな演出だったかは知らないのだけれど。
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