四万十川レコード 公式ブログ

四万十と言う小さな町に生まれ、思春期に音楽に目覚めそして今も、長い長い音楽の旅をしています。

鮪の捌き方

2012-04-21 00:52:23 | 音楽業界
ゴロンと転がった鮪を先ずは日本刀みたいな包丁で
3枚におろして今度は斧みたいな包丁で‥
違うね(笑)鮪は鮪でもちょっと違う。
鮪の解体ショーじゃなくてね人間の事なんです。
隠語、業界用語です。
ライブで酸欠になって担ぎ出した人間の事を僕等は
マグロと呼んでいました、チョッと酷い?




最近のライブハウス事情は知らないから何とも言えないけれど
あの頃のライブステージはある意味危険なもので有りました。
実際死人が出てるし、しかも知り合いのステージで。
業務上過失致死にはならなかったけれど死んだ人も出た。
そんな状況だったのでライブハウスに来たお客さんが
酸欠で倒れる位は想定内、危険を織り込みのステージは結構有りました。
「ああ、今日は××か‥マグロが出るからな!」なんてスタッフにね支持していた。
ライブステージで一番危険な状況は将棋倒しです。
オールスタンディングのライブだと人の流れを制限しないと将棋倒しが起こる。
暗闇の中で人が右に左にうねり、ボコッと穴が空いた様になるとアウトです。
すぐに演奏を中止させ照明を上げて倒れた人間を救い上げないと圧死します。
人が倒れた人間を踏みつけてしまいます、これは本当に恐い。




僕はライブハウスのブッキングマネジャーだったので
ステージに関する全権限と責任がありました。
なんせスケジュールを切ったのは僕ですから、全て承知の上ですから。
だから危ないな、と自分が思うステージはPAブースから
客席をずっと見ていました、嫌ですから刑事被告人になるのは‥
客席を見ながら危ないと思ったら本当にライブを中断しました。
客席の照明を上げて、バンドが気が付いていない時は無理矢理
PAの音を切りました、これは勇気が要りますよ。
ライブを中断させると言う事は簡単な事では無いんです。
バンドのマネージメントなんかはそう言う過激な事を売りにしている
馬鹿もいましたので、揉めた事は有ります。




でもね、やっぱり事件を起こしたバンドはつぶれます。
バンドの為にもスタッフの為にも、そしてお客さんの為にも
安全で有る事は大切なんです、一時のステージの興奮よりもね。
でも、酸欠で倒れる位は仕方ないんです、これ位は仕方ない。
ではそう言う人をどうするかと言うと、ストッパーと言う人間
これを用意して置きます。
ステージの最前列と中ほどに彼等を配置して何か異変があれば
すぐに人を掻き分けて救出します。
人の群れから救い出す為の人間、これを用意して置くのです。
人気があればある程危険度は高まりますので予めバイトや
知り合いの若いのを集めて置きます。
彼等は皆音楽が好きな奴らですから見たいんです、人気のあるステージは。




昔の事ですがJUN SKY WALKER(S)、ジュンスカがまだアマチュアだった頃
彼等はブルーハーツが好きで見たいけどお金がない。
だからVOの和弥君やGの純太君をストッパーとして
入れてあげた事が何回か有ります、一応はストッパーと言う名目なんですが
最前列でねブルーハーツのステージを見せてあげました。
勉強になるんですよ生のライブはね、彼等は凄く喜んでくれて可愛かったです。
でも僕の判断でステージを中断した為、機嫌を損ねてね
「もうやらない!」と縁切りになったバンドもいます。
当時はXと言っていました、ええあのバンドです(笑)
でもね僕は少しも後悔しませんでした、幾ら人気が有っても
僕のやりたくない事はやらないで済みました。
ライブハウスのブッキングと言う仕事はそれ程に絶対権限があります。




マグロになった女の子はね、とても重たいんです。
失神状態の人間って一人では運べない位重たいです。
でね、汗びっしょりです、絞れるくらいにね。
それをねバックヤード、楽屋の通路にどんどん並べて行くんです。
最高で十数人位が倒れたステージがありましたね、誰かは言いませんが。
でもね彼女達もライブが見たくて来ている訳ですから
少し休んで息を吹き返したら又ステージの中に帰って行くつわものもいます。
「ああ、これは不味いな‥」と言う方は救急車です。
何回も乗りましたよ僕は、救急車にね(笑)ホント、前科が付かなくて良かったです。
若いから出来たんですねあんな事、今は出来ないなぁ‥
あの頃にマグロになったおねーちゃん達は、
今はきっと良いお母さんになっていると思いますよ。
元気でねピチピチと跳ねまわる生きの良い女の子ばかりでしたからね(笑)

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