四万十川レコード 公式ブログ

四万十と言う小さな町に生まれ、思春期に音楽に目覚めそして今も、長い長い音楽の旅をしています。

夏草や…

2013-08-25 00:04:52 | コラム
夏草や兵どもが夢の跡…ですか。

松尾芭蕉が奥州平泉の源平の古戦場に
生い茂った夏草を見て人の世の栄華の儚さを詠んだ句ですね。
まぁモチーフは中国の古典「邯鄲の夢」みたいな人生の無常観でしょうか?

お盆の高知行の時に空港から桂浜に向かうタクシーの中で
ホンヤさんが道端に生い茂る高知の雑草を見て
「わ~高知に来たって気がする~!!」と
急にハイテンションになっていました。

「…ホンヤさん、高知の雑草に感動しているんですか?」
「ええ、何かこの草と空を見ていたら帰って来た~!って気がします!」と。
「…貴方の生まれは北海道は帯広市でしょ(苦笑)」
「でも高知も故郷ですから!」「…そうすっか」

まぁこの人は四万十市生まれの僕よりも高知県内は詳しいし
高知県の観光特使でもあるので一応は僕も納得をしましたが(笑)

確かに高知の夏草はまぁ元気です(笑)
僕もくろしお鉄道でうねうねと曲がるレールのそばに
生えている力強い雑草を見ると「帰って来たなぁ…」
と思います。




今年の5月にホンヤさんのお供で僕は初めて韓国に行きました。
高知行と同じようにソウル空港から車で移動したのですが
なんかね色が薄いんですよ。

山の色も木の色も草の色も妙に薄い。
そして山並と空の色もなんか水彩画のようにぼやけて見えました。

「妙に淋しい木々の色をしていますね韓国は」と僕が言うと
ホンヤさんも納得をしていましたが。

あれはどうしてなんだろう?
緯度や経度が関係あるんですかね。

その昔コンサートツアーで見た日本海の海の色も暗くて重かったなぁ…
北海道の海岸線の風景も夏景色なのに色褪せていて寂寥としていたなぁ…

太陽の光量と関係がありそうだな木々や草の色って。
僕がふるさと高知に着いて色あせたコンビニの雑誌や
看板の色を見ると「おお、土佐の太陽は強いなぁ」と笑えます。




さてもう一度雑草、植物の生命力について考えてみたいと思います。
人の住まなくなった古くなった荒屋が雑草に食べられている景色を
貴方は見た事があるだろうしすぐ近所にも一軒くらいそう言う家はありませんか?

床下から畳を突き破って生える筍や屋根瓦の上に生えた草や
壁一面に生えた蔦が漆喰を食い尽くしている風景。

イギリスのとある新築住宅がイタドリによって破壊された
映像を見た事があります。
新築の住宅を地中から伸びたイタドリが侵食し
人が住めなくなってしまった例です。

実は植物のもつ繁殖力や破壊力はコンクリート文明でさえ
雑草の跡地に変えるまでに数十年程しか要しません。
植物達はコンクリートを砕いてその上を覆い尽くしてしまいます。
人間の居なくなった、人の住めなくなった土地を支配するのは植物です

ジャングルの中で突如発見されたアンコールワットなんか
まさにそう言う文明の痕跡ですよね。

伝説や神話の文明は植物によって覆われ地層の中に
消えてしまっているのかも知れないと思います。




植物の中には数百年数千年もの間、種子の発芽をせずに
じっと発芽環境を待っているものさえあります。

もの凄く気長に自分達の命が育つチャンスを待っている
そう言う不思議な生命力を植物は持っています。

人間が地上の支配者になったのは地球の歴史から言えば
ごく最近の事です。

もし人類が何らかの理由で滅びてしまってたら
地表は植物に覆われ文明の痕跡さえも消し去られて
しまうのではないかと思います。

夏草や人間どもが夢の跡

なんて言う日が何時かは来るのかも知れませんね…