ミュージカルな日々

ミュージカル好きの私が、観劇・映画・ドラマ・音楽・本の感想を書きつづるブログ、になる予定。

「RENT」 感想

2010-11-03 | ミュージカル観劇記
シアタークリエで上演中の「RENT」を観てきました
11月2日のマチネ、中央の通路すぐ後ろの12列8・9番でした

キャストは、(敬称略、はダブルキャスト)
 マーク:福士誠治
ロジャー:藤岡正明
 コリンズ:米倉利紀
ミミ:ソニン
エンジェル:田中ロウマ
 ジョアンヌ:Shiho
モーリーン:キタキマユ
 ベニー:白川裕二郎

前に書いたとおり、藤岡さんが代役で出演されると知って、慌てて購入した回です

ストーリーは映画で観ていたので、だいたい頭に入っていたのですが、
不覚にも結構泣いてしまいました

特に、エンジェルのお葬式のシーンで完全に決壊

そもそも人が死ぬのがダメで、回想談とかやられてしまうと、泣いてしまうのはいつものことではあるのですが、
エンジェル役の田中ロウマさんの好演もあって、本当に彼女の人柄の良さ・純粋さが身に沁みていたので、
余計に泣けて泣けて仕方がありませんでした

それから、もちろん、ミミとロジャーのシーンも泣けました
こちらは、一回泣いてしまうと、あとは涙流れ放題、というところがあるので、強いて堪えませんでした

というわけで、このミュージカルでこんなに泣くと思わなかったというくらい泣けました
やはり、名作と言われるだけのことはあります

もちろん、HIVや両性愛、ドラッグなどマイノリティや社会問題への視点が重要なテーマですが、それを超えて、
人が出会って別れる、という普遍的なテーマがストレートに描かれているからこそなんだろうなぁと思います

さて、作品全体についてはこのくらいにして、
この素晴らしい作品を迫力いっぱいに表現して下さったキャストの皆さまについて

福士くん、見直しました すごくよかったです
ストーリーテラーとしてしっかり舞台を引っ張っていて、歌もなかなか

台詞の通りもすごくよくて、
他のキャストがともすると何を言っているのか分かりづらい中で、彼の滑舌は完璧

他のキャストと毛色が違うのも、「傍観者」というマークの性質と合っている部分もあって、腑に落ちました。

そして、お目当て藤岡ロジャー
素敵でした 短期間でよくぞここまでっというハイクオリティでした
歌がきちんと入っているだけでもすごいのに、きちんと演技でロジャーという人物を見せていました

しかも、改めて見ると、ロジャーって歌が多いんですね
メインで歌っているナンバーも多いし、群で一緒に歌っている時も結構目立つパートを歌っているし。

いつもの朗々系のいい声を封印して、若干荒らした声で歌っています
それでも、素晴らしい声には変わりないですし、声量もあって、迫力のある「密度のある」声に惚れ直しました

福士くんとの声の相性もばっちり
期待していた二人の「WHAT YOU OWN」は本当に素晴らしかったです
東宝さま、この二人の動画をアップしてください 切実に

それにしても、あのカンパニーの中に入ると、藤岡さんは立派なミュージカル・スターだなぁと逆に思いました(笑)
もちろん、彼自身が「歌手」でもあるので、他の人たちと似た匂いも漂わせていますが、
それでも時々出てしまうミュージカル節、っというか、オペラティックな美声は覆いようがありません
ま、それもひっくるめて大好きなんですけどね

あと、最後のミミとのシーンでは、
どうしても「レ・ミゼラブル」の「恵みの雨」と「ミス・サイゴン」のラストシーンが頭をよぎっちゃって

こうして、彼には今までのキャリアによる「色」が付いてしまっているから、
最初はキャスティングされなかったのかなぁとは思いました。

それでも、なんでも、藤岡さん大好きの私としては大満足で、帰って参りました
彼がまだまだ出演するなら、もう一回くらい観に行きたいなぁと思うくらいです

他のキャストについてもざっくりと。

ミミのソニンさん、体当たりって感じでミミを熱演されてました
刹那的・享楽的に生きながら、すごく脆くて危ういミミをしっかり感じさせてくれました。

ただし、ロジャーを誘惑しにくる「OUT TONIGHT」が何を言っているかまったく分からず、
熱演にもいまいちのりきれなかったのが、かなり残念

最後のシーンに至るまで、演技でしっかり魅せてくれたので、歌と滑舌は今後に期待、ということで

モーリーンも、肝心の「OVER THE MOON」で、時々何を言っているのか分からなくて、
若干白けてしまったのが、やっぱり残念でした

彼女のせいだけではありませんが、それに続く「LA VIE BOHEME」も皆さんが何を言っているのか分からず
適宜、舞台上に字幕を出す、とか演出上の工夫をした方がいいかも、と思いました

ジョアンヌは、もうちょっと演技ができるといいかな、と
歌は文句ありませんが、残念ながら弁護士には見えません
あのボヘミアンの中にあって、異質の存在であることをしっかり表現してほしかったです

コリンズの米倉さんの美声・歌唱力は想像通り、素晴らしかったです
でも、演技もすごくよかったエンジェルには叶わないですね

田中ロウマさんは、歌だけじゃなくて、
エンジェルとこの作品を十分に理解したうえでの演技、ということが感じられて、本当に素晴らしかったです

さて、最後にまた作品について。
今、オリジナル・キャスト版CDを聴きながら書いているのですが、楽曲の素晴らしさもすごいなぁと思います
一つ一つがキラキラしていて、実はメロディアスで美しい曲も多いんです

大音量のオープニング・チューンに度肝を抜かれるのは確かですが(笑)、
じっくり聞けば聞くほど、いい曲がたくさん これも名作たる所以ですね

今回の観劇で、
ジョナサン・ラーソンって本当にすごかったんだなぁというのが最大の感想かもしれません。


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