ミュージカルな日々

ミュージカル好きの私が、観劇・映画・ドラマ・音楽・本の感想を書きつづるブログ、になる予定。

『GOLD~カミーユとロダン~』  感想

2011-12-13 | ミュージカル観劇記
公式HPに動画がアップされていました

『GOLD~カミーユとロダン~』ダイジェスト映像


そして、昨日、昼公演を見てきました
久しぶりの東宝ミュージカル、1列目で堪能致しました

作品の内容は、女流彫刻家でロダンの愛人だったカミーユ・クローデルの生涯を描いています。
以前、Wikipediaで、カミーユ・クローデルを調べたことがあるので、
悲惨な人生であったことは知っており、舞台としてもつらい内容であることは覚悟していましたが、
思った以上に、彼女の人生の過酷さが胸に迫ってきて、後半は泣きっぱなしでした
特に、新妻さんが最後に「GOLD」を歌うところでは、もうぼろぼろ泣けちゃって
大変でした。

舞台を見ていてとても印象に残ったのは、
カミーユ・クローデル自身も才能溢れる彫刻家であり、
にもかかわらず女性と言うだけで画壇から排除され、パリでは個展すら開けなかったという事実です。

この点は、Wikipediaの情報だけではぴんと来ていませんでしたが、
舞台で演じられると、その理不尽さと、その拒絶の姿勢があまりにも強いことに、衝撃を受けました。
「天才を持つ女性」を奇妙な生き物でも見るように扱う社会。
そんな時代があったことに愕然としました。

今の私は、男性と全く同じ資格を持って、昔なら女性がなるとは考えられていなかったであろう職業に当然のように就こうとしているので、
こういう時代があったことすら忘れてしまいそうですが、
ついこの間まで、もしくは、今でも、女性への差別や蔑視があったということは事実なんだと改めて思い知らされました。

彼女の人生は、過酷だったと思いますが、
それがロダンと出会ったことだけが原因なら、それは「GOLD」で歌われるように不幸なことではなかったといえると思うのです。
二人の芸術家の出会いは奇跡的ともいえると思いますし、苦しみや葛藤があったとしても、
そこには悔いはないと思うのです。

でも、彼女が精神を病んだのは、むしろ才能ある女性を認めなかった社会・時代背景に原因があるわけで、
その中で、なすすべなく狂っていく彼女の姿が本当につらく、救いがなく感じてしまいました。

…とはいえ、舞台としては、本当に充実したものだったと思います
主演の新妻聖子さんは、歌はもちろん、演技の点でも素晴らしくて、
一幕最後の決断とロダンのもとを去っていくシーンや、二幕最後の「GOLD」は、本当に迫力があって、圧倒されました。

そして、石丸幹二さんも素晴らしかったです
才能も地位も名誉もある時代のロダンなのに、何だかすごく人間臭くて。
ただ、カミーユに感情移入して見ていたので、途中からロダンの優柔不断な態度には腹を立てていましたが(笑)

伊礼彼方さんはたぶん舞台で拝見するのは初めてでした。
彼は本当にフランス人に見えます(笑)、当然ながら。
特に、子ども時代のおかっぱヘアがすごくキュートです

歌もお上手ですし、特に「Field of Angel」がよかったです

クローデルについては、あまりよく知らないのですが、「繻子の靴」を書いた作家ですよね。
確かWikipediaによると、熱心なカトリック信者だったはず…くらいの知識で見ていたのですが、
この歌は、そんなクローデルのカトリック信仰を強く反映した歌です。

醜聞を重ねる姉に心から洗礼をすすめるクローデルのピュアな感じがすごくよく出ていて、胸を打たれました。

最後に、演出について。
これはすごく面白かったです
1列目ではなく、5,6列目でもう一度見直したいくらいです。

二人の彫刻家の話と言うことで、身体表現がとにかく凝っているんです。
ロダンが考えている姿が、ロダン作の「考える人」そのもの、というのはすごくわかりやすい例ですが、
他にも、精神を病んだカミーユが見る幻覚が、カミーユ作の「波」の三人の女の動きをしていたり。

二人の作品をぱっと思いつかなくても、座席に作品の写真がカラーで印刷されたパンフが用意してあるので、これを見れば色んな発見ができる仕掛けになっています

特に印象的なのは、二人の作品のうち、
カミーユ作の「シャクンタラー」や「ワルツ」、ロダンの「接吻」を、
二人のラブシーンに使っているところです

「ワルツ」の体勢をとったロダンが本当にカミーユの首筋にキスをして…
というシーンには、こっちまでどきどきしました(笑)

白井晃さんの演出はたぶん初めてでしたが、こうした身体表現もよかったですし、
アンサンブルの人たちの動かし方も独特で、
帝国劇場でやるようなグランド・ミュージカルとは違う、
芝居的なミュージカルとしてすごく楽しめました

ということで、大満足の感激でした
もう一回くらい行きたいなぁ。


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