新・仏像ワンダフル!

千年の時を超えて仏像との新しい出会い
いやいや街を見渡せばよく似た人がいたような・・

四臂(しひ)菩薩立像-2 タイ東部ブラコーンチャイ出土 800年頃

2012-09-16 11:11:19 | 旧仏像ワンダフル
じゃーん、こんなん出ましたけど~ と
すくっと立つお姿は、顔に似合わず繊細です。

身体は青銅で緑ががっていますが、
青い少年のようなみずみずしさを放ちます。

ボディコンシャスも極めれば
こんな感じになりにけり、
メタボのおやじ仏には真似できませんわ~
後姿も小尻ですねん。

四臂(しひ)菩薩立像 タイ東部ブラコーンチャイ出土 800年頃

2012-09-15 08:22:54 | 旧仏像ワンダフル
立像なのですが、まずはその強烈な頭部に注目です。

タイの前アンコール時代青銅像の最高傑作と
いわれていて、ロックフェラー・コレクションの
中でもっとも著名な四臂菩薩だそうです。

1964年に廃寺の地下室が発見され沢山の青銅像が
発掘されたのですが、研究者の調査を受けないまま
欧米の収集家の手に渡ってしまい、今確認できるのは
24体のみでその中の貴重なひとつなんですね。

クメール人独特の鋭い眼光、厚い唇、
完璧なプロポーション、
まるでタイ版阿修羅のようですよ。

といっても全身像がないから次回につづく。

触地印坐仏  ミャンマー(ビルマ) 12世紀

2012-09-12 06:05:23 | 旧仏像ワンダフル
砂岩に金箔のこの像は、本当はレリーフのように
釈迦の生涯の八大事蹟を現した大河ドラマ風
なのです。

が、中央の釈迦誕生後1週間と思われる像を
クローズアップしてみました。

日本ではあまり見られない、
手をだらんと地面につけた触地印を結び
目を閉じた表情は渋いですよ。

なにか苦虫を噛んでいるようにも見えますが
おでこと左右の張り出した頭の形が
宇宙人のようでもありますね。

菩薩坐像 ネパール 13世紀(初期マッラ時代)

2012-09-07 08:48:05 | 旧仏像ワンダフル
前出のほとんど丸腰に近い弥勒菩薩さんから一転、
全身に宝飾をちりばめた金箔の塗料もかなり残る
華やかな像です。

丁度ネパールがタークリー朝からマッラ朝へ交代して
イスラム教の進攻を受け、インドからの影響を受けていた
文化が中断し、独自の様式が模索された時期とされています。

身体を少しくねらせて、豪華な装飾を身に着け
やわらかい表情で迎える感じは、
とっても親しみと親近感がありますね。

ちょっと「かいーの?」なんて聞いてみたい
気もします。





弥勒仏倚座像  ネパール  12世紀(ダークリー時代)

2012-09-03 11:09:52 | 旧仏像ワンダフル

インドに比べて馴染みが少ないネパールの 弥勒如来像です。 

南はインド、北はチベットに囲まれ、 すぐ近くにあの幸せ指数の国ブータン

もあり、世界最高峰のエベレストを擁した ヒマラヤ山脈のある国です。

23cmの青銅製のこの像は でも日本でも見たことがあるような

気がしませんでしたか?

中宮寺の弥勒菩薩半跏思惟像にとても似ている印象を受けます。

インドは動的な仏像が多かったのですが こちらはより深い想念に

軸を置いた 静かな世界です。

 両足を椅子に座ったように前に伸ばす 倚座像も

日本ではあまり見られませんね。

薄衣のシンプルさがそのあっけらかんとした 所作を際立たせて、

ちょっと急所に対して 無防備ではないかと気になるところが

異国情緒ですね。


シヴァ神 インド・タミルナードゥ州  12世紀(チョーラ時代)

2012-09-01 15:14:44 | 旧仏像ワンダフル
破壊と創造で知られるちょっと怖いイメージの
シヴァ神ですが、本当は舞踏の名手でナタラージャ
すなわち舞踏王とも呼ばれていたんですね。

青銅のこの像は渋く深緑に光っていてこんな
彩色ではもちろんありません。

が、この躍動する手足をみておくんなまし、
右手には創造を象徴する太鼓を持ち、
左手には人間の過ちを焼き尽くす
火炎をもっています。

何よりも目を見張るのは、踊る空気を含んで
左右にたなびく髪の毛でしょう。
ここが雲でないところがいいですね。
異国情緒です。

そして言われないとわからない、向かって左側の
髪の毛の中には飛天のように手を合掌した
小さな仏様がいるんですよ。

おおらかなのに芸が細かいですね~

施無畏印仏立像 インド・ビハール州? 6世紀前期(グプタ時代)

2012-08-30 08:29:55 | 旧仏像ワンダフル
青銅で作られたこの像はかなり時代を遡ります。

手の印相の表現が素晴らしく、右手を上げ手のひらを
こちら側に見せる形の、説法を聞く人の畏れを取り去る
「施無畏印」(せむいいん)、
左手をたらして手のひらを開きこちら側に見せる形で、
人々のさまざまな願い聞き入れかなえることを示す
「与願印」(よがんいん)を結んでいます。
なんともありがたい感じですね。

大きめの頭部とがっしりした上半身、
それに比べてスマートで長い脚、
金属でのうす衣の表現が特徴的です。

装飾物の一切ない潔いお姿で、
観ていてすがすがしいですね。


ラーマ神/背面 インド・タミルナードゥ州 11世紀(チョーラ時代)

2012-08-27 05:32:39 | 旧仏像ワンダフル
ラーマ神はヒンドゥー教の叙事詩「ラーマヤナ」
の主人公のラーマ王子(ヴィシュヌの化身の一人)
と美しい妻のシーター妃の壮大な物語があり、
その神話から来ているようです。

今でもインドではとても人気があるそうです。

でも、ちょっとマーガリンを思い出したりもします、
日本では。

後姿もポップで、軽やかな感じですね~


ラーマ神 インド・タミルナードゥ州 11世紀(チョーラ時代)

2012-08-26 08:35:36 | 旧仏像ワンダフル
終戦記念日も過ぎて過去を振り返った後は
少し広い世界の仏像を見ていきたいと思います。

ニューヨークのアジア・ソサエティ所蔵の
ロックフェラー三世夫妻コレクションより
仏教の源流に近いインドから。

いきなりご機嫌ですよ、
青銅の金属的な硬さはなく、上半身のしっかりした
スタイル抜群の像ですね。

眼は大きく、鼻は通っていて、手足は長い。
衣装も装飾品以外は簡素で体の露出が多いです。

日本にあるという肩こりとは一体なんぞや?
こんなふうにゆるめてみたらいかがかな?
するとこんな顔になっちゃうよ~
なんて言いそうですね。

木造聖観音立像  天台寺・岩手 平安時代

2012-08-25 08:24:50 | 旧仏像ワンダフル
別名、桂清水観音といって紅カツラ材の
一木彫像で116.5cmの小柄な像です。

このところ筋肉系の方々が続いたので
素朴な姿が落ち着きますね。

特徴がある横縞模様の刀跡を残し
無駄なものが何もない簡略なフォルムで
安らかな表情が引き立っています。

東北のどことな朴訥でおおらかな
土地柄の滲み出た像ですね。