頭部 南2号

寄れば寄るほどに官能的な表情の南2号さん。



浮き出る年輪も造形の一部として
目元を横切りながらも馴染んで
祈りの波紋のように広がります。

うまくいかなかった事や
結果による痛みの傷を刻んで
美しい形に再生して見せてくれるような
そんな菩薩さんに見えるのです。

頭部 北25号

雲中供養菩薩の中でも美しいと
誉れの高い北25号さんの頭部です。



塗料がほとんど剥落して木目が
浮き出て見えています。

口角の端の微妙な部分や
頬のふくらみに年輪をあてて
このままデザインとして充分に
品位のある像になっていると思います。

というか、万物に宿る神聖な形が
一本の木から削りだされて現れる様が
鮮明にわかる気がして
彩色しないほうが落ち着きますね。

どんどん朽ちてしまうのは無常の定めですが　

♪　どうぞ　このまま～
　　♪　どうぞ　このまま～
　　
　この風合いを残して欲しいですね～

雲中供養菩薩シリーズ 番外

鈸子（ばっし）を打つ番外さん。

何故に番外？
それは国宝指定された1904年（明治37年）時には無くて
直後に堂外から発見されたからだそうです。
気晴らしに散歩でもしてましたかね。

そんなわけで頭部は明治時代の作、
頭が無かったんですね～

他にも右ひざの外側に何かを削り取った後などもあり
満身創痍だったようです。

それでも全体の印象は穏やかで優雅な物腰、
ボリュームのある雲と大きくなびく尾が
とても印象的です。

対決も最後となりましたが、静かに躍動する北に軍配。

◆判定：北　11勝　－　南　15勝

意味は無いですが南の勝利～♪



永らくお世話になっている2000年に出版の
　　「国宝　平等院展」図録　朝日新聞社版

ですが、南北の菩薩さんの象徴的なお顔をクローズアップ
した写真もありましたので、次回からはそれを
見てみようと思います。

雲中供養菩薩シリーズ 北26号 2-2

手に持ったバチをはずした状態で
横からの北26号さん。

抑えつつもはじけた腕の振りが
躍動感に溢れています。

人物はほぼ丸彫りで
これを壁掛けにするのですから
技ありですね～

番号は便宜上ですけど
オーラスを飾るに相応しい
菩薩さんでした。

雲中供養菩薩シリーズ 北26号 2-1

　遂に最終号に到達、両手のバチでまさに
大太鼓を叩こうと構える北26号さん。

　キターー！！って感じのダイナミックさ、
大きな楽器もなんのその、華麗な雲の上に
据え付けます。
全立体と半立体の融合が見事です。

　この像も横位置からのものがあったので
次回に見てみようと思います。

　最後の菩薩さんに相応しく、顔の表情、
しなやかでしかも力強いしぐさ、
雲と楽器の構図、全体のバランス感、
もう、後作でもどうでも、言うことはありません。

もったいなくて3日位眺めていました。

い～な～　い～な～　それいいな～♪♪
頭の中でヘビーローテーションですね～

雲中供養菩薩シリーズ 南25号

とう（振りつづみ）を振る南25号さん。

歯車のようなものが鼓についていて
どんな音がするのでしょうね。
これも腕と共に後の作のようですが
そんなの関係なーい。

さらっとあっさりした表現で
定番の感があります。

25号対決は大差で北に軍配。

◆判定：北　10勝　－　南　15勝

雲中供養菩薩シリーズ 北25号 2-2

ということで、北25号さんの左右からの
側面です。できれば背面も見たかった。

壁に吊り下げるのですから背部は平らのほうが
よろしいわけで、立体を保ちつつ圧縮して
収めています。
正面から見ているだけではわかりません。

腕の継ぎ目が確認できます。
頭部の髪型もこうなっていたんですね～

資料としている「国宝　平等院展」
の表紙の、堂々と中央を飾っている25号さん
はすべての菩薩産を代表する方かも
しれないですね。

ダイナミックな構図と、見事な技術が
凝縮されているようですね。
ブラボー！！

雲中供養菩薩シリーズ 北25号 2-1

蓮華を持つ北25号さん、いよいよラストひとつ前
大詰めを迎えています。

何故か横左右の図もありましたので2回に分けて
見てみようと思います。

この像は両腕の修復が痛々しい感じです。
つじつまが合っていないのか、はたまた自分の力量か
両腕がしっくりこなくて苦労しました。

妄想供養菩薩シリーズで勝手に描いてしまい
たいと思いましたね。

雲の角も2本出しで複雑です。

なんか知り合いにとてもよく似た人物がいますよ。
お経を唱えると顔つきが似てくるのかも
しれないですね～

雲中供養菩薩シリーズ 南24号

右腕のひじから先が行方不明の南24号さん。

躍動感に溢れる雲の造形は、これまでのどの体の
形状とも違っていて見事です。
かなり横長の構図が力の入れ様を物語っています。

しかし、なぜに、なぜに？
切り口をぽっかりさらして修復しないのか。
きっと推測の決め手を欠いていて悩んだ末の
事だとは思うのですが。

知ってか知らずか、
　♪あ～あやんなっちゃった、
　　あ～あ、おどろいた♪　って表情してますね。

24号対決は謎めいた問いを残す南に軍配。


◆判定：北　9勝　－　南　15勝

雲中供養菩薩シリーズ 北24号

2本のバチで羯鼓（かっこ）を叩く北24号さん。

力みの無い穏やかな表現は毎度ですが
ずしりとした雲の重厚な感じが
打楽器の音の反響を現すように感じます。

決して手抜きではなくて
むしろパーツは折り重なって多いのですが
派手な演出が無くて凝縮し
質量が詰まった衛星のよう。

深く意識が内部に沈んで
無言の反響が静かに放出されています。