Le contrebassiste

コントラバス奏者ちんの日常。
趣味の音楽、フランス語、興味関心などを書き散らしています。

2005年06月12日 18時35分53秒 | 音楽
前に松脂ネタを書きました。
というわけで、楽器周辺のネタとして一度弓を取り上げておこうかと。

私が今使っている弓は「Marco Raposo」というところのフレンチボウ。
フレンチボウとは何ぞやということになるかと思いますが、コントラバスなのにチェロみたいなもち方をする弓です。


(出所:String Class at Ithaca College(http://www.ithaca.edu/music/strings/stringclass/pictures.html))

持つところである毛箱(日本語にするとちょっぴりダサめ)の部分が小さいことや、弓の長さが若干短いことなどが特徴。。。なのかな。


コントラバスの弓ってこう↓構えるんじゃないの?

(出所:String Class at Ithaca College(http://www.ithaca.edu/music/strings/stringclass/pictures.html))

これは「ジャーマンボウ」という弓で、日本では古くからこの弓が普及しています。
日本ではこちらの弓がまだまだメジャーだと思います。


私がコントラバスを始めた10歳の頃(18年前ですね。そんなに経っちゃったんだ・・・)、世の中にフレンチボウがあるということなぞ知りませんでした。
というより、コントラバスという楽器自体よくわからずに始めているので、当然です。
学校備え付けのジャーマンボウで始めました。

初めて弓を買ったのが高校2年生の時。
先輩がコントラバスを続けないということで、弓を安く譲り受けたのです。
定価65,000円の弓を5,000円で買い取りました。
この弓が、値段の割にパフォーマンスがよくて、実はいまだに使っています。
本当に掘り出し物を見つけた!という感じです。
同じオケの人だったら、私がジャーマンボウを弾いているところもよく見かけると思いますが、あの弓は実は安物。ふふふ。


ジャーマンボウ奏者の私に転機が訪れたのが数年前。
私の師匠が突然フレンチボウへ転向したのです。
私もかねてからフレンチボウに興味があったので、先生に相談したところ「じゃあ、君もフレンチボウ弾く?」と言われました。
まぁやるなら今のうちかなということで始めることにしました。

弓を買わないと始まらないので、コントラバスの弓業界で有名な方のもとへ。
先生に事前に弓を選定してもらったうえで出かけました。
先生がセレクトされていた弓が3本用意されていました。
私の演奏上の長所(あんまりない)、短所(たくさんある)をよく知っている先生に選んでいただいたので、この3本から選ぶことに。

私の当時の演奏の最大の欠点が、「弓の重みを生かした演奏が出来ていない」ということでした。
これは再三先生からも指摘されたところで、要は自分の体がガチガチになっていることと、奏法とに問題があったわけです(現在は前よりは幾分か改善されました)。
これを強制的に治すためにどうするか考えた上で、先生が1本だけあえて重めの弓をセレクトされていたので、その弓を弾いてみることにしました。

フレンチボウは弾きはじめがすごくしんどい弓です。
今までの持ち方とは違うため、長時間演奏できないのです(すぐになれます)。
プロでも最初のうちはシンフォニーを最後まで弾ききれない人もいると聞きます。
その弓は重さがしんどかったのですが、これは鍛えれば何とかなると思ったのと、他の弓に比べて重いだけあって、ちゃんと重さがかかります。
これをうまくコントロールできたら武器になると思ったので、この重い弓にすることにしました。

ちなみに重い弓は重心の関係で長めに作られていて、私の弓の毛の部分はジャーマンボウと長さが同じです。その点も気に入りました。

そこの弓屋のご主人から即席講習を受けて、2種類の持ち方を習いました。
自分の師匠にその話をした上で、現在の持ち方を採用することとなりました。


弓の値段について話題になることがよくあります。
私自身の意見ですが、「値段がいいから絶対にいい弓」という意見は、本当かなぁと首をかしげてしまいます。
私の知っているプロ奏者で、33,000円の弓で演奏会に出る人もいます(ちょっと極端な例)。
自分にフィットしていればいいので、それこそ5,000円の弓でも当たりはあります。

ただ、お金があればいいというのはこれまた正しいと思います。弓の選択肢が広がりますからね。
10万円持っているより、100万円持っているほうが、より自分の理想に近い弓を探す手助けになると思います。
選ぶのは自分自身なので、そこは値段で左右されるのではなく、自分の感覚を大事にしたいものです。
私のように、癖や長所、欠点を知っている第三者(自分の師匠)の意見を聞くのも重要です。


楽器と弓の値段のつりあいについて話をしたことがありました。
値段で全てを決めることは出来ないとは言っていますが、やはり少しは影響します。
楽器と弓が同じ値段だった場合、たいていの場合は楽器が弓に負けると思います。
弓がより自由な動きが出来ているのに、楽器がそれ相応の反応を示さないことがよく見られます。
バランスって難しいですよね。

いい楽器も重要、そしていい弓も重要。
宝くじが当たればいいのに、と他力本願な考えが芽生える今日この頃。

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1 コメント

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楽しく拝読させていただきました (うつみ)
2005-06-12 20:21:36
フレンチも奥深いですよね
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