弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

悪あがきは続くよ、どこまでも

2008年05月18日 | 環境と文明
 15日、グリーンピース・ジャパンが発表した“調査捕鯨”調査団による鯨肉横領については、新聞・TVおよびネットでも方々で既に取上げられている。肉の横領以前に“調査捕鯨”そのものがトンデモない話なのだが、それはさておいてもこのたびの発覚は、「誰のための捕鯨なのか」を日本の“調査捕鯨”があらためて考えさせられる。つまり、既得権益を守りたい人達のためにあるのだ。
 16日から17日にかけて、グリーンピースが入手した証拠の鯨肉は「盗まれた」ものだと、運送会社の西濃運輸が被害届けを出したという記事がぼちぼち現れ始めた。小学生に「盗人猛々しい」という言葉の意味を教えるには、格好の素材である。西濃運輸がその告発をどこからか指示を受けてやっているとは断定できないが、結果的に盗賊団の親分の意に沿っていることは一目瞭然。まあ、ともども自滅に向かってはずみをつけるだけのことだから、大いにやればよろしかろう。(5/19修正。下記コメント参照のこと)
 その「被害届け」の記事を僕は読売新聞でたまたま読んだのだけど、少し前の記事との扱いの落差には思わず頬がゆるんでしまった。つまり少し前、一般の国民には実質何の影響もない反捕鯨団体の妨害行為については、社会欄のほぼ半分を使って報じていた。対して、明らかに国民の税金を食い物にした事件についてはベタ記事でお茶を濁す。読売って、なんて素直なんだろう(他紙も似たようなものだろうか・・・未確認だが)。さらにそれを「窃盗事件」のカテゴリーで報じるヤフーって。

 http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m=m20080516-029&e=theft(近日中に消えます)

 みずから入手物を犯罪告発の証拠として検察に提出するという時点で、すでに入手経路の違法性の問題はクリアしているはず。いや、仮にこれが違法スレスレだとしても、いやいや、厳密に法的には「窃盗」に当たるとしてさえも、僕はグリーンピースの行動を支持する。これは非暴力直接行動の一環である。問題を明るみに出し、社会に貢献するために、あえて泥をかぶってでも直接行動を選ばねばならない場面があるとしたら、まさにこの証拠物品・鯨肉の入手はそれに当たる(実際、法的にはそんなに“泥”はかぶってないんだろうけれど)。
 あらためて、グリーンピース・ジャパンより15日に送られてきたメルマガ・号外を転載する。メディアの「構造」を露出させるためと、「調査捕鯨の構造」をそれぞれ露出させるきっかけとして、少しでもこうした記事の露出が多い方がいい。個人的にはこの「号外」を初めて読んだ時、我が国のいわゆる“テロリスト”は、盗賊団の片棒をかつぐ警察よりも国民の役に立つんだなあ、と実感した。

転送歓迎
ス┃ク┃ー┃プ┃!!┃
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グリーンピースは、調査捕鯨鯨肉の組織的な横領を発見し、本日、横領の証拠品とともに東京地検にこの横領を告発しました。
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グリーンピースは、日本の調査捕鯨母船・日新丸の調査団が今年、南極海で捕獲した鯨肉を組織的に横領している証拠を、独自の調査で確認しました。本日午後1時、東京地方検察庁にこの横領を告発し、調査過程において証拠として確保した鯨肉1箱の検分を受けたうえで、告発状を提出しました。

すでに本日の朝日新聞朝刊や各局TVニュースでも報道されたとおり、グリーンピースが東京地検に持ち込んだ証拠品は、共同船舶株式会社の社員である日新丸の乗組員たちが今年4月15日、南極海より帰港した東京港大井水産ふ頭から個人宅に送った宅配物で、箱の中には塩漬けの「畝須(うねす)」と呼ばれる部位の鯨肉23.5キロが入っています。「畝須」は鯨肉の部位の中でも高級品とされるもので、箱の中には切り身が全部で10本詰められ、この箱1箱で市場価値は11万から35万円とみられています。

これまでの私たちの調査で、鯨肉横領は大規模であることがわかりました。これは、管理会社の共同船舶と日本鯨類研究所の黙認のうえで行われていた組織的犯罪です。

グリーンピースは、東京地検への告発状提出に先立って、東京都内で記者会見を開きました。記者会見で発表した内容は下記のURLからご覧いただくことができます。

▼2008年5月15日付けプレスリリース
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20080515oc_html?gv
▼告発レポート
「奪われた鯨肉と信頼――『調査捕鯨母船・日新丸』での鯨肉横領行為の全貌」
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/cyberaction/pdf
▼今年3月6日発表の「鯨肉販売動向調査結果」
http://www.whalelove.org/news/1813782

同時に、グリーンピース・ジャパンは、公然の秘密として黙認されてきた鯨肉横領のさらなる情報を求めて内部告発の募集と、鯨肉横領の全貌究明を求めるメッセージの募集を開始しました。寄せられたメッセージは福田首相と町村官房長官に送られる予定です。グリーンピースの本部、グリーンピース・インターナショナルをはじめ、各国のグリーンピース事務所でもこの鯨肉横領の告発を大きく取り上げ、それぞれの国の政府や国際捕鯨委員会代表に向けたオンラインアクションを開始します。ぜひ、ご参加ください。

▼オンラインアクション「福田首相に伝えよう――鯨肉横領の全貌究明を!」
https://www.greenpeace.or.jp/ssl/oceans/cyberaction/kyumei/?gv


 というわけで、さらに詳しくは上記グリーンピース・ジャパンのホームページより。内部告発者の証言ビデオもなかなか面白かったが、告発レポート(pdfファイル)の方にはもっとくわしく情報提供者とのやりとりが掲載されていて、圧巻である(ちなみに、情報流通促進計画の最近の2つの記事でも重要な部分を解説している)。

 調査が必要なのは南氷洋のクジラじゃなくて、“調査捕鯨”に執着する身内の人間どもであるという、今さらサラサラな認識が、頭をはたかれてもなかなか気がつかない知的で善良な愛国者の皆さんにもいい加減浸透してくれるといいなあ(捕鯨に限った話でもないけど)。まあ、これにて日本の捕鯨政策が転換するわけでもなく、アブク銭に群がる変な人達の悪あがきはまだまだ続くんだろうけど。ただ実態の怪しい“調査捕鯨”の周辺が、少しは風通しが良くなるんじゃないかな。
 蛇足ながら、当ブログではもう一歩踏み込んで(?)、調査捕鯨をやめて調査“捕鴉(カラス)”に切り替えるという代案も、真剣に推奨しております。


注:グリーンピースの告発レポート(P21)によれば、
「当初は、箱の中身を調べた後に、その箱を西濃運輸の配送所に戻す予定だったが、この箱の中身が重大な横領行為の証拠であると判断し、このダンボールを確保することに決めた。その後、市場での調査などを行なった上で、この箱を証拠として検察に提出し、共同船舶株式会社社員による横領として告発することにした。」とある。

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15 コメント

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テロを正当化する論理 (ミュンヒハウゼン)
2008-05-18 17:45:14
西濃運輸は料金をもらって荷物を運搬する仕事をしてるだけなのに、なんで西濃運輸が盗人になるのか全くわかりません。
説明をお願いします。
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Unknown (ひろゆき)
2008-05-18 22:07:52
このブログは小学生に「うそはうそであると見抜けない人には(ネットを使うのは)難しい」という言葉の意味を教えるには、格好の素材である。
返信する
これは流石に (所沢の人)
2008-05-19 01:16:07
こんばんは。

今回のグリーンピースの行動ですが、個人的には賛成できません。グリーンピースの行動が窃盗かどうかは捜査の進展を見なければ断定することはできませんが、目的遂行のためなら違法行為も厭わないという姿勢には一般人の感覚として疑問を感じます。

山を愛する人間として登山道整備(木段設置だけでなくケルンの取り壊しや標識の取り外しなどもあります)などのボランティアに参加したことが何度かありますが、こうした環境保護活動ですら文句を言う人は多いのです(ベテランと見られるようなハイカーですら文句を言う有様です)。
地道に環境保護活動に取り組む人にとってお前らも信用できない団体じゃないのかと一般人から疑問の目で見られることはやはり鬱陶しいです。おまけにこれを機に行政の中小団体に対する嫌がらせ(国立公園内での活動への不許可やNPO団体の認証に対するいちゃもんとか)の可能性もあるかもしれません。

また違法行為(であるとした場合)により収集された物の証拠能力をどの程度まで認めるのか微妙な状況になってしまったのではないでしょうか。裁判所というのは役所のやることは大目に見ますが民間人のやることに対してはシビアに扱う傾向にあります。

私は調査捕鯨には賛成しません。しかし、グリーンピースのような大きな団体ならもっとマスコミを動かすなどの大人の対応も出来るのではないでしょうか。私が手伝ったことのある団体は標識の類を除去するのですら標識の所有者あるいは山林管理者の同意や許可を得るようにしています。そうでないと器物損壊で告訴やら損害賠償請求やらと五月蝿いのです。グリーンピースの活動そのものは応援したい部分も沢山あります。ですが大きな団体特有のある種の驕りがあるんじゃないかと感じてしまうのです。

環境保護活動を行っているのは何もグリーンピースだけではありません。中小の団体は行政やら地元の有力者やらとの付き合いなどドロドロとした大人の付き合いを避けられない関係にあります。奴らは真直ぐに活動できていいよね!といった皮肉を囁かれている事を彼らには知って欲しい。そうはいってもグリーンピースも結構ドロドロの部分があるって話はよく聞きますが。グリーンピースも自分たちの活動が一般人にどんな印象を持たれているのかをもう少し考えて活動してくれればと思うのです。

ロックなレイランダーさんには生温い考えだと思われるかもしれませんが現場で罵声を浴びせられるのはやはり辛いし仲間も辞めちゃうしツッパルのも大変なんです。活動の意味を一般人に理解してもらうには本当に時間が掛かります。今までは日本のグリーンピースはそんなに過激ではなかったと思うんですが。まあ今回の件で一般人への理解はぶち壊しになったんじゃないでしょうか。

愚痴ばかりですみません。でもやっぱり釈然としないんですよね・・・。
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お三方 (レイランダー)
2008-05-19 03:47:43
>ミュンヒハウゼンさん
確かに、西濃運輸と共同船舶らが共謀関係にあるという証拠があるわけでもないのに、「盗人」でひと括りにしてしまった部分はこちらの過ちです。被害届けを出したタイミングがグリーンピースの発表より後だったので、印象としてあたかも告発状に対抗する動きのように感じてしまったのです。とにかくこれは不適切かつ不必要な部分でした。修正します。

それとは別に、僕のここでの考えが「テロを正当化する論理」であるという考えには承服できません。僕が正当化しているのは上で書いたとおり、非暴力の直接行動です。目的のためにはどんな手荒なことをやってもいい、などとは主張していません。あるいはグリーンピースの今回の行動が「テロ」に当たるというのでしたら、それについてご説明願います。

>ひろゆきさん
反面教師としてお役立ていただけたら幸いです。どんどん言いふらしてください。

>所沢の人さん
とてもわかるお話です。ただ、全面的に同意するわけにもいかない。僕の書き方が雑だったせいもあると思うんですが・・・ちょっと長くなるかも知れないので、いったん仕切り直させてください。すいません。
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私見ではありますが。 (夏目あきら)
2008-05-19 23:20:38
>調査捕鯨”そのものがトンデモない話なのだが
調査捕鯨はIWCでも「権利」として認めてることだと思うのですが。

>みずから入手物を犯罪告発の証拠として検察に提出するという時点で、
>すでに入手経路の違法性の問題はクリアしているはず
自ら提出すればクリアできるものではないと思います。
要は「違法な手段によって得られた証拠に証拠能力は無い」のです。

>これは非暴力直接行動の一環である
そういった自力救済の肯定には同意しかねます。
「結果として正義である」は法治国家として
認められない思想だと思うのです。
確かに私も警察の不甲斐なさに憤慨する場面が多々ありますが
しかし公的手続きを経ないままの行動は、結果的に
コンセンサスの形成を妨げることにもなりませんか。

所沢の人さんがおっしゃっている
>目的遂行のためなら違法行為も厭わないという姿勢には一般人の感覚として疑問を感じます
という感想は極めて多くの人が感じているところではないでしょうか。
私はどうしても邪推してしまうのですが、
案外日本で捕鯨反対論が増えない理由として
こうしたグリーンピースの横暴な言動が原因だったり
するんじゃないかとすら思ってしまいます。
(所沢の人さんがおっしゃるような)
>もっとマスコミを動かすなどの大人の対応も出来るのではないでしょうか
を重ねたほうが、結果的にすんなり捕鯨反対論が
増えるのではないですか?
それを「結果的に正義だから良い」という態度の
捕鯨反対団体があまりに多い。
これでは積極的捕鯨賛成はしないまでも
積極的捕鯨反対(論者)に同意したくないがために
消極的ながらも捕鯨賛成論に傾く人が多くなるのも
仕方の無いことのような気がします。

ところで、レイランダーさんはIWCにおいて
捕鯨に肯定的である国は日本だけではなく
結構な数の国も賛同しており、
捕鯨において日本は決して国際的な孤立をしているわけでも「無く」
実際、他の白人国家でも結構な数の鯨が捕られていることに関しては
いかがお考えになりますか?
返信する
>夏目さん (レイランダー)
2008-05-20 02:03:12
さて、どうしたもんかな・・・・。夏目さんとやら、一見穏当なこと書いてるようで、あなたが僕の書いたこれまでの捕鯨にまつわるエントリーや、僕が捕鯨に関心を持つきかけになった星川淳氏の本や、それにグリーンピース・ジャパンのサイトなんかも、まったく読んでないことは明白ですね。
読まないのは人の自由ですよ。でも、それらを読んでない人の「私見」に、今ここで僕が反応しなければならない義務があるのかな?って、すごくやるせない、馬鹿馬鹿しい気分になるんですけど。
死刑の議論でもそうなんだけど・・・・一言で言うと、周回遅れのランナーに伴走させらてるような気分。いや、自分がトップランナーだというわけじゃ全然ないけどね、全然!しょせん俺がその程度の奴、ってことなんだろうね。

>調査捕鯨はIWCでも「権利」として認めてることだと思うのですが。

俺もそう思うし、グリーンピースの人も昔からそう思ってるよ。やれやれ・・・・。
俺の書き方が悪いのかな。言葉の使い方がヘタなのかな。なんか自信なくなってきた。

捕鯨云々の話とは別に、非暴力直接行動を直線的に「自力救済」に置き換える感覚には、正直びっくりなんだけど、それは置いとくとして、

>公的手続きを経ないままの行動は、結果的にコンセンサスの形成を妨げることにもなりませんか。

については、必ずしもそうじゃない、と言いたいね。もしそうしたコンセンサスの形成しか当てにできないのが世の中なら、俺なんか息苦しくて自殺するしかないだろうね。
少なくともそれは民主主義じゃない。手続き自体に対する異議申し立てもできる、ってことが民主主義の根幹条件じゃないのかな。ただし、手段を選ばず、が許されるってことでもない。
ガンジーの「塩の行進」は、イギリス植民地当局からすれば公的手続きの外にあったんだよ。そんな例は枚挙にいとまがないって。
返信する
長文になってしまい申し訳ありませんが (夏目あきら)
2008-05-20 03:39:22
>>調査捕鯨はIWCでも「権利」として認めてることだと思うのですが。
>俺もそう思うし、グリーンピースの人も昔からそう思ってるよ。
「“調査捕鯨”そのものがトンデモない話なのだが」
とのご発言がありましたので、それに対してのレスポンスのつもりでした。
これに関してのグリーンピースの見解は
「過剰捕獲」を批判していると認識しています。
ですからGPは必ずしも調査捕鯨自体を批判しているわけではない、
とのご指摘なのでしょうか? それとも「日本政府が
商業捕鯨を自ら拒否し、調査捕鯨を続けている」
ことへのご批判なのでしょうか?あまり推測に推測を重ねても
仕方がないと思ったので、繰り返しになりますが、あくまで
「“調査捕鯨”そのものがトンデモない話なのだが」
に対してのみのレスであるとお考え下さい。

>俺の書き方が悪いのかな。言葉の使い方がヘタなのかな。なんか自信なくなってきた。
私も自信が無くなってきました。

>僕の書いたこれまでの捕鯨にまつわるエントリーや、
>僕が捕鯨に関心を持つきかけになった星川淳氏の本や、
>それにグリーンピース・ジャパンのサイトなんかも、
>まったく読んでないことは明白ですね。
とりあえず過去ログは遡って拝見しております。
グリーンピース・ジャパンのサイトも捕鯨に関しての
ページのついでに色々拝見しました。
ただ、星川氏の本に関しては、未読です。申し訳ありません。
残念ながらその内容に関してはなんとも申し上げられません。

とはいえ、過去ログとGPサイトは拝見しておりますから、
レイランダーさん「は」私「が」読んでいない
と思うくらい私の理解が足りないか、もしくは
私が勘違いしているのか、レイランダーさんの着眼点が
私と全く違うかのどれかだと思います。
ですから、
>読まないのは人の自由ですよ。
とおっしゃられても返答に困ります。

>一言で言うと、周回遅れのランナーに伴走させらてるような気分。
そこまで私の書き込みが重荷になってしまったことをお詫びいたします。
自信がなくなりました。

>もしそうしたコンセンサスの形成しか当てにできないのが世の中なら、俺なんか息苦しくて自殺するしかないだろうね
このブログは、レイランダーさんのブログですから
その価値観を否定する権限を私は持ち合わせておりません。
そういうお考えでしたら、そうなのでしょう。
ただそうしますと、少なくとも私は納得が出来ません。
私1人が納得しなかったところでどうとなるわけではないのですから
お気に無さなら無くても構いませんが・・・。

>手続き自体に対する異議申し立てもできる、ってことが民主主義の根幹条件じゃないのかな
その異議申し立ても公的手続きに則るべきではないのですか?

>ただし、手段を選ばず、が許されるってことでもない

>ガンジーの「塩の行進」は、イギリス植民地当局からすれば公的手続きの外にあったんだよ。
は矛盾しているように思います。
返信する
>夏目さん2 (レイランダー)
2008-05-21 23:15:04
ごめんなさいね。僕はこう見えても(どう見えるんだ)根がチンピラなんで、時に丁重な意見の述べ方をしてくる人に対してすら、回し蹴りで応じることがあるんで。口の悪い部分に関しては、「まあ、それがこの人の持ち味でもあるんだ」くらいに受け止めてもらえれば幸いです。
一応答える必要があるとこっちで勝手に判断した部分だけ、答えさせてもらいます。


・“調査捕鯨”について。

>これに関してのグリーンピースの見解は「過剰捕獲」を批判していると認識しています。

間違いです。
グリーンピースにしてもIWCのモラトリアムを守っている国々にしても、日本のそれが、本来の「調査」から大きく逸脱しているから批判しているのです。だから僕もしつこく“ ”をつけて書いているのです。
第一にIWCが定めた捕鯨禁止海域で行なっているということ。かつて調査捕鯨を行なったノルウェー、アイスランド、カナダなどは自国沿岸とその周辺でしか行なっていない。
第二に“調査”に要している捕殺頭数が異常に多いこと(年間約1000頭)。かつて上記の国々が行なった調査では、多くて数十頭のようです。しかも日本のように20年にも渡って延々続けている国はない。
第三に、現代科学の水準においては、鯨類を含め野生動物“調査”のために捕殺する必要はないこと。野生のパンダの生態を調べるのに、パンダを1000頭を殺す理由がないのと同じ。
第四に、“調査”の結果が誰にどう役立っているのか、まったく不明であること。

もう少し詳しい話はここにまとめてあります(pdfファイル)。すでに一度エントリーで紹介していますが。
http://www.whalelove.org/raw/content/fun/1653364.pdf

それに絡む話として、その前の「私見」コメントで、

>IWCにおいて捕鯨に肯定的である国は日本だけではなく結構な数の国も賛同しており、捕鯨において日本は決して国際的な孤立をしているわけでも「無く」
実際、他の白人国家でも結構な数の鯨が捕られていることに関してはいかがお考えになりますか?

とお尋ねでしたね。これについては、
①その結構な数の国々は日本のODAで「票買い」された国々が多いということ
②日本の立場を支持するそれらの国々が、自分達では決して“調査捕鯨”に乗り出さないのはなぜかということ
などを、逆にいかがお考えですか?と聞きたい。彼らはIWCに加盟しているのだから、まさに“調査”の権利がある。なぜみんなして日本と同じように、1000頭捕まえて解体して箱詰めして国内に持ち帰らないんでしょう?貧乏なトジョー国だから捕鯨船が買えない、とか?

さらに後段の「他の白人国家でも結構な数の鯨が捕られていること」というのは、具体的にどこの国が「どこで」何頭くらい獲っているのか、教えてください。
(ちなみに、たとえばノルウェーを「白人国家」と呼んだら、少なからぬノルウェー人は不快な気分になるでしょう。有色人種のノルウェー人だっているんだし、日本を「黄人国家」と呼ぶのが適切なのかという話にもなる。)


・もう一度前回のコメントの方に戻って、異議申し立てと「公的手続き」の問題について。

一つ、今さらながら思い至ったので確認しておきたいのですが、僕はここでグリーンピース・ジャパンの今回の行動の意図を代弁したいわけではありません。それがそもそも公的手続きの外であったのかどうか、法的には僕も判然としないし、グリーンピースの人達にしてみれば、むしろ堂々と「公的手続き」に則っているつもりだろうから。
その上で、一般論として言っておきます。

>>手続き自体に対する異議申し立てもできる、ってことが民主主義の根幹条件じゃないのかな

に対して、

>その異議申し立ても公的手続きに則るべきではないのですか?

とくる。あるいは、

>>ただし、手段を選ばず、が許されるってことでもない
>と
>>ガンジーの「塩の行進」は、イギリス植民地当局からすれば公的手続きの外にあったんだよ。
>は矛盾しているように思います。

あっさりこういう見解が出てくるあたり、やっぱりそうなんだなあ・・・と感じいってしまいました。いや、夏目さんは少なくともこの国では多数派ですよ。ご安心を。
世の中、どんな問題も「公的手続き」に則って解決・改善できるという感覚(だとしたら、最初にその「公的手続き」を発明した人は神ですねえ)。
「手段を選ばず」は許されない=ならばちょっとでも強引な雰囲気のする直接行動は全部「暴力」「テロ」「サヨク」「欧米化」(笑)という「悪」ににつながるから許されないという感覚。
だけど「フリー・チベット」を叫ぶデモには同情を禁じえないという感覚──かどうかは知りませんが、このあたりの問題を中心に、仕切り直して別エントリーを書きたいと思っていたわけです。昔から気になっていたことなんで、自分の言葉でまとめてみたかったし。ただこのところ頭の中がいろいろとっちらかっていて、しかも問題の中に「グリーンピース」「捕鯨」を織り込んで書くと、ますますとっちらかりそうで・・・近々とは断言できませんが、そのうち書くでしょう。
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>夏目さん2・追記 (レイランダー)
2008-05-22 10:42:12
今回の「鯨肉確保」の手法についての法的見解は、すでにグリーンピース・ジャパンのサイトに載ってますね。僕も今日になって読みました。

http://www.greenpeace.or.jp/press/reports/rd20080520oc_html

ただ、法的にOKというだけで開き直っているはずもなく、西濃運輸に対しては謝罪と捜査協力を要請する文書を送っているそうです。

持ち出された鯨肉の何が問題なのかいまだに分からないという方には、記者会見にも登場した佐藤さんのブログでの説明がよみやすくておすすめです。

横領鯨肉 「土産」では済まさせない
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/sato/158
(この後2、3と続く)
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Unknown (ぶんぶく)
2008-05-22 13:59:13
初めまして。難しい事は解らないんですが,牛豚は食べていいのに何故鯨だけ食べてはいけないんですか?
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