弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

福岡事件のイベント2つ

2008年10月28日 | 死刑制度廃止
 今日10月28日、また2人の死刑が執行された。これで、今年に入ってすでに14人目、15人目の執行ということになる(参考資料:無限回廊/死刑の現状http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/sikeisikkou.htmより)。尋常でないペースである。
 僕は処刑された2人の訴因となった事件について、ほとんど何も知らない。ただ、2人のうち、福岡拘置所で処刑された久間三千年死刑囚については、客観的に見て冤罪の疑いが捨てきれないケースであったことが、アムネスティほかの声明から伺い知れる。新聞やwebサイトのニュースのベタ記事からでは、そんなことまで見当はつかないだろうが──ということは、33年前に福岡事件の西死刑囚が処刑された時も、日本中のほとんどの人が「悪いことをしたから死刑なんだろ」という調子で、無感動にニュースを聞き流していたのだろうか、今と同じく。

 今週末、福岡事件に関するイベントが神奈川県で2つある。
 一つは11月1日(土)、小田原の関東学院大学の学園祭で、法学部・宮本弘典教授のゼミが主催する「誤判わが怒りを天に雪つぶて―誤った裁きと処刑・福岡事件の真実」と題されたイベント。関東学院のホームページより、実施要綱のページを参照のこと。

 http://hougaku.kanto-gakuin.ac.jp/modules/news/article.php?storyid=194



 もう一つは翌2日(日)、横浜のフェリス女学院(ときめく響きですたい)のボランティア・センターが主催するものだが、ホームページにも載っていないので、学園祭の一部と言っていいのか、情報不足でよくわからない。あまり外部に向けて宣伝しているわけではないらしいが、一般の人が参加できるものであることは確かである。午前中からパネル展のようなものを公開していて、午後1時過ぎから、再審請求運動の代表、生命山シュバイツァー寺の古川住職が講演を行なう、ということを聞いている。

 どちらのイベントも古川さんがメイン・スピーカーではあるけれど、主役は主催する学生達と言うべきだろう。今年6月の東京・横浜での福岡事件キャンペーン「叫びたし寒満月の割れるほど2008」に参加し、応援してくれたのが、この両大学の学生達なのである(関東学院の宮本教授は、東京開催の司会も務めていただいた)。
 その彼らが今度は自分達で会を主催し・運営するイベント。関心のある方はぜひ駆けつけて、激励してあげてほしいと思う。もちろん、それでなくても死刑の問題、裁判員制度について関心や憂慮を抱く人にとって、様々に得るところのあるイベントになるはず。

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11 コメント

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人間が死刑判決を下すのは不可能 (死刑制度に反対する一市民)
2008-10-29 22:04:44
10月28日、2名に対して死刑の執行が行われました。
死刑執行された久間さんは、冤罪の可能性があります。
高塩さんは、一審は無期懲役の判決で、量刑に疑問のあるケースでした。
森法相が言うように「慎重な検討を加えた上で、法の求めに従って粛々と執行した。間隔や人数は意識していない」とはお世辞にも言えません。国連規約人権委員会の勧告を意識した、ベルトコンベア式による恣意的な執行だったことは明らかです。
死刑制度は、後から冤罪であることが判明しても取り返しがつきません。
また、同じ事件でも裁判官によって無罪だったり、無期懲役だったり、死刑だったりと判断が分かれるケースが多々あります。人間の下す判断に絶対がない以上、人間が取り返しのつかない死刑判決を下すのは不可能なはずです。
この2点だけを見ても死刑制度が間違った制度であることは明らかです。
ちなみに、英国は死刑を廃止した理由の一つに無実の人を死刑にしてしまったことを挙げています。
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おひさしぶりです (ルナ)
2008-10-30 23:27:33
こんばんは、レイランダーさん。先月中旬にネットに帰ってきました。

冤罪を生むのは、警察による思い込み捜査がまず第一で、取調べの閉鎖性、検察の機能不全、サラリーマン化した裁判官、といった絶望的な制度疲労がみられるせいだということがわたしにもわかりました。

そしてもうひとつ、わたしたち国民がステレオタイプで事件を見て、内実を詳しく知ろうとしないことも、冤罪を生む原因となっていることを知りました。原因を早く知りたい不安耐性の低さと、責任を自分から遠ざけて起きたい無責任な傍観者的精神態度のために、「犯人逮捕」の報道があれば、それ以上考えることをしなくなる、私たちの浅ましい性根が冤罪を生む重要な原因であることをわたしたち日本人は知るべきです。

「罪のない穏かな市民」の命を奪うことが死を以って償うべき重大な犯罪であるというのなら、無実の人間に罪を着せて処刑してしまうことは重大な罪じゃないのでしょうか。

被害者の処罰感情に乗じて、感情的に死刑に賛成する人たちは自分の無知と、人権感覚の幼稚さを恥じるべきだとわたしは主張します。
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Unknown (レイランダー)
2008-10-31 10:57:34
死刑制度に反対する一市民さん

同感です。死刑を廃止すべき根拠はいくつもあるんですが(対して存続すべき根拠は薄弱なんですが)、中でも冤罪の可能性というのは、最重要かどうかは異論があるにしても、重要ですね。
日本は明治維新以来、「英国式」を始めとする欧州式をやり過ぎなくらい取り入れてきたのに、死刑に関してはなぜ欧州に倣おうとしないのか。根が深い問題があると思います。


ルナさん

お久しぶりです。お帰りなさいというにはちょっとタイミングを逸しましたか。

>原因を早く知りたい不安耐性の低さと、責任を自分から遠ざけて起きたい無責任な傍観者的精神態度のために、「犯人逮捕」の報道があれば、それ以上考えることをしなくなる

確かに。ただ、それは日本人の元々持っている特性とまでは言えないかも知れなくて、たとえば現在死刑を廃止している諸外国の人だって似たようなものかも知れない、と思うんです。だから、日本人の心性が変わるのを待っていたら廃止はいつまでも実現できないだろうし、逆に廃止という現実が先に実現してしまえば、多くの人は「なんだ、廃止してもさして変わらないじゃないか」ということを実感できるはずだと。で、そうなることを恐れている勢力がいるということも確かなんでしょうね。
そういう意味でも、日本政府が国連の自由権規約委員会で「ウチは世論の支持が強いから死刑存続してます」とか言って、ものすごい反発を受けたらしいこと、これも相当に恥ずかしい話です。
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TBありがとうございました (うろこ)
2008-11-01 17:27:16
こんにちは、TBありがとうございました。

>日本政府が国連の自由権規約委員会で「ウチは世論の支持が強いから死刑存続してます」

…マジですか…なんか、もう…絶句というか…;
恥ずかし過ぎます;
でも、これがどれだけ恥ずかしい事か、分かる日本国民も少なそうな気がして…それも、また悲しいです。
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Unknown (ジバゴ)
2008-11-01 19:58:31
冤罪と死刑はまた別問題だと思う。無実の人を有罪としてはならない。当たり前の事だ。人を殺したら死刑になる。これも当たり前の事だ。単純明快な事だ。何も難しい屁理屈こねる必要無し。
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Unknown (レイランダー)
2008-11-01 23:56:07
うろこさん

日本の文化は「恥」を知る文化だ、って言われてたはずなんですけどね。どうも最近の日本はその真逆というか、「鈍感は美徳だ」くらいに思ってる、一種の器質障害みたいな人が多く見受けられます。


ジバゴさん

こちらの書いてることが難しい屁理屈だと感じるなら、何も無理して読む必要なし。当たり前の人生を当たり前に突き進んで行くがよろし。
ジバゴさんよりもう少し理屈に明るい人は参考までに、以下の拙文もどうぞ。
「殺したら殺される」
http://blog.goo.ne.jp/civil_faible/e/feedb646548221260b4fb4ebc70f83d2
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これも単純明解 (うろこ)
2008-11-04 09:15:23
「死刑肯定派」の人は
『人間は完璧な生き物ではない。必ず間違いを犯す』
という基本を忘れてらっしゃるのではないでしょうか?

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Unknown (hijo)
2008-11-05 03:21:40
「ウチは世論の支持が強いから軍事力存続してます」っていう
恥ずかしい国なら世界中にあるけどね。
世界どこの国も9条の理念も解らんアホばかりで、
そんな国が死刑を廃止したからといってでかい面してるのは一体
何なんだ?
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>hijoくんへ (レイランダー)
2008-11-05 12:12:33
おまえさんやおまえさんの同類の幼稚なところはさ、そうやって「○○だって悪いことしてる」=「だからこっちは悪くない」って短絡できるところなんだよ。そういう幼稚さを引きずってることが、死刑廃止国が「でかい面してる」なんていう、内容不在の被害妄想にもつながるんだけど。ほんと、ヘタレらしいわ。
批判する側にも批判されるべき点があってさえ、批判それ自体の有効性がいささかも失せるわけじゃないっていう、基本中の基本くらい踏まえた方がいいな。いつもの同類同士のコミュニケーションでは問題ないんだろうが、ここは外の世界だからな、おまえさんにとって。
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追加で。。。 (ところ)
2008-11-05 22:20:39
どうでもいい話かもしれませんが、
「殺したら殺される」の記事にある「三宝寺池」の写真を拝見していると、美しいのだけれども何か自然の怖さを感じます。これが都会の真ん中にあるんですか。。。
人間は元々自然に対する畏怖を持っていたんでしょうけれど、今はすっかり忘れてしまっているんですね。
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