遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

唐物螺鈿文箱

2019年11月26日 | 漆器・木製品

中国製の螺鈿漆器の文箱です。

いわゆる唐物螺鈿の上手品です。

          20cm x 24.8cm x 5.2㎝

 

内側にはトレーがあります。

硯箱かもしれません。

 

 

 

非常に細かい細工がなされています。

 

人物の表情も生き生きとしています。

 

しかし、全体に、相当傷んでいます。

このままでは、螺鈿がどんどん剥がれてしまいます。

やむをえず、黒と透明のカシューで私が止めました(^^;)

 

内トレーは良い状態です。

この手の唐物螺鈿の特徴は、虹色の光沢です。

非常に薄い螺鈿が貼り付けてあります。

光沢には透明感があります。これが、以前紹介した、長崎螺鈿との違いです。

 

文箱を横から見ると

上から見た時(最初の写真)に比べ、赤く光る部分が増えます。

角度によって、見える色が変わるのです。

これは、光の反射を意味しています。

長崎螺鈿の色は、貝の裏側に彩色した絵具であるのに対して、唐物螺鈿では、非常に薄い青貝の反射光によるものなのです。

だから、見る角度によって色が変わるし、透明感のある神秘的な色合いが得られるのです。

この色の妙を、絵具で簡単に作りだし、量産化をはかったのが、長崎螺鈿だったのですね。ただ、その色は少しくすんでいます。

 

箱の側面には、草花の模様がデザイン化されています。

このような模様は、琉球漆器にも多く見られます。琉球漆器も、中国の漆器を倣って作られたのです。

長崎螺鈿といい、琉球漆器といい、唐物の影響は大変大きいのですね。

 

 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅生さんへ (Dr.K)
2019-11-27 14:39:41
実に細かな仕事をしていますね。
人物には、それぞれの表情まで表現しているんですね。
まさに「良い仕事していますね~」ですね。

長崎螺鈿と唐物螺鈿との違いが分かりました。
一見、同じ様に見えますが、やはり、唐物螺鈿の方が上手なわけですね。仕事の質が違いますものね。
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Dr.kさんへ (遅生)
2019-11-27 14:52:37
これは私の品の中では例外中の例外で、東京の名のある骨董屋で入手したものです(^.^)
日本文化への大陸の影響力をひしひしと感じますね。
多少手抜きでも、そこそこの物を量産化。マーケティング的には成功です。何だか、その後の日本を象徴しています(^^;)
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螺鈿 (ことじ)
2019-11-27 22:02:12
この中国の螺鈿は綺麗ですね。
状態も良くすばらしい品です。
こういう螺鈿に出会いたいですね。
大変参考になりました。
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ことじさんへ (遅生)
2019-11-27 22:19:06
きれいなことは、確かにきれいなんですが、下手に触るとポロポロ取れるんですよ。長崎螺鈿でもおなじですが(^^;)
その点、陶磁器は気が楽です(^.^)
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