中国製の螺鈿漆器の文箱です。
いわゆる唐物螺鈿の上手品です。
20cm x 24.8cm x 5.2㎝
内側にはトレーがあります。
硯箱かもしれません。
非常に細かい細工がなされています。
人物の表情も生き生きとしています。
しかし、全体に、相当傷んでいます。
このままでは、螺鈿がどんどん剥がれてしまいます。
やむをえず、黒と透明のカシューで私が止めました(^^;)
内トレーは良い状態です。
この手の唐物螺鈿の特徴は、虹色の光沢です。
非常に薄い螺鈿が貼り付けてあります。
光沢には透明感があります。これが、以前紹介した、長崎螺鈿との違いです。
文箱を横から見ると
上から見た時(最初の写真)に比べ、赤く光る部分が増えます。
角度によって、見える色が変わるのです。
これは、光の反射を意味しています。
長崎螺鈿の色は、貝の裏側に彩色した絵具であるのに対して、唐物螺鈿では、非常に薄い青貝の反射光によるものなのです。
だから、見る角度によって色が変わるし、透明感のある神秘的な色合いが得られるのです。
この色の妙を、絵具で簡単に作りだし、量産化をはかったのが、長崎螺鈿だったのですね。ただ、その色は少しくすんでいます。
箱の側面には、草花の模様がデザイン化されています。
このような模様は、琉球漆器にも多く見られます。琉球漆器も、中国の漆器を倣って作られたのです。
長崎螺鈿といい、琉球漆器といい、唐物の影響は大変大きいのですね。
人物には、それぞれの表情まで表現しているんですね。
まさに「良い仕事していますね~」ですね。
長崎螺鈿と唐物螺鈿との違いが分かりました。
一見、同じ様に見えますが、やはり、唐物螺鈿の方が上手なわけですね。仕事の質が違いますものね。
日本文化への大陸の影響力をひしひしと感じますね。
多少手抜きでも、そこそこの物を量産化。マーケティング的には成功です。何だか、その後の日本を象徴しています(^^;)
状態も良くすばらしい品です。
こういう螺鈿に出会いたいですね。
大変参考になりました。
その点、陶磁器は気が楽です(^.^)