これまで、馬上盃を紹介してきましたが、今回は、さらに小さな赤絵盃です。
径 6.0㎝、底径 3.6㎝、高 4.6㎝。幕末。
小さな器体に濃密な絵付けがなされています。
最初、これも馬上杯かと思ったのですが、ステム部が太く、杯も小さいので、高盃とするのが妥当でしょう。
東洋と西洋がミックスされたような不思議な絵付けです。この様な図柄は、萬古焼に多いのですが・・・・
底に、赤字で「嘉永年製」と書かれています。
また、非常にわかりずらいですが、高台の9時方向に、「有節」と読める押印があります(加藤藤九郎『原色陶器大辞典』(下写真)参照)。
加藤藤九郎『原色陶器大辞典』、左上の「有節」印
この小品は、萬古焼中興の祖、初代森有節の作品と考えてよさそうです。
高台内の「嘉永年製」の表記は、萬古焼として珍しく、製作時期がわかる資料的意味も大きいです。
満身創痍の小品ではありますが、よくぞここまで生きのびてくれました。
どうやら、正月の主役に躍り出そうです(^.^)
ホント、よくぞここまで生き延びてくれましたね。
もっとも、出自が良いですから、それだけに大切にされてきたからなのでしょうね(^-^*)
正月の主役争いは熾烈を極めそうですね(^-^*)
こういうエキゾチックな品が、どうして、三重県の片田舎(失礼(^^;)で生れたのか不思議です。
骨董屋がゆずってくれと言ってきましたが、疵が多すぎて買い手がつかないからやめとき、と言ってやりました。こちらが業者になった気分でした(^.^)
思っていたより随分と小さな品で驚いています。
こういった小品もしっかりと収集し、さらにちゃんと出自を調べておられる
さすがに故玩館ですね!。
この品など、小品ですから、ブログで取り上げようがありません。必死で眺め透かして、何かないか探しました。
窮すれば通じる、です(^.^)
有節の銘のリストの横に福島勇七が載っているのには驚きました。大川内から逃げ~地元の砥部にやってきた人なんですが、後日連れ戻され処刑されたとか!
伊万里では劇になるくらい有名なんですが何故か砥部では表面には出て来なく不思議です。
福島勇七の事は知りませんでした。外から秘かに技を盗みに来る人は幾人かいたようですが、内部から外の窯へ出た陶工は珍しいですね。砥部焼にとっては恩人でしょう。劇的な人生ですからドラマにもなるのですね。