遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

初代森有節『萬古焼高盃』

2021年12月28日 | 古陶磁ー国焼

これまで、馬上盃を紹介してきましたが、今回は、さらに小さな赤絵盃です。

径 6.0㎝、底径 3.6㎝、高 4.6㎝。幕末。

小さな器体に濃密な絵付けがなされています。

最初、これも馬上杯かと思ったのですが、ステム部が太く、杯も小さいので、高盃とするのが妥当でしょう。

東洋と西洋がミックスされたような不思議な絵付けです。この様な図柄は、萬古焼に多いのですが・・・・

底に、赤字で「嘉永年製」と書かれています。

また、非常にわかりずらいですが、高台の9時方向に、「有節」と読める押印があります(加藤藤九郎『原色陶器大辞典』(下写真)参照)。

加藤藤九郎『原色陶器大辞典』、左上の「有節」印

この小品は、萬古焼中興の祖、初代森有節の作品と考えてよさそうです。

高台内の「嘉永年製」の表記は、萬古焼として珍しく、製作時期がわかる資料的意味も大きいです。

満身創痍の小品ではありますが、よくぞここまで生きのびてくれました。

どうやら、正月の主役に躍り出そうです(^.^)


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6 コメント

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遅生さんへ (Dr.K)
2021-12-28 09:35:16
製作者と製作年代が、これほど明確に分かるものも少ないですね(^_^)
ホント、よくぞここまで生き延びてくれましたね。
もっとも、出自が良いですから、それだけに大切にされてきたからなのでしょうね(^-^*)
正月の主役争いは熾烈を極めそうですね(^-^*)
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Dr.kさんへ (遅生)
2021-12-28 10:14:51
こんなに小さい物には、やはり箱を用意しておかないと、どこかへ迷子になってしまいそうです。
こういうエキゾチックな品が、どうして、三重県の片田舎(失礼(^^;)で生れたのか不思議です。
骨董屋がゆずってくれと言ってきましたが、疵が多すぎて買い手がつかないからやめとき、と言ってやりました。こちらが業者になった気分でした(^.^)
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遅生さんへ (酒田の人)
2021-12-28 21:50:41
馬上杯というのは骨董に興味を持ってから知りましたが
思っていたより随分と小さな品で驚いています。
こういった小品もしっかりと収集し、さらにちゃんと出自を調べておられる
さすがに故玩館ですね!。
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酒田の人さんへ (遅生)
2021-12-29 07:12:30
馬上杯は、文明開化時に流行ったのでしょうね。形がワイングラスですから、これで飲むと、ハイカラな気分になれると思います。ただ、本当に馬上で飲むために生まれたかは疑問です(^^;
この品など、小品ですから、ブログで取り上げようがありません。必死で眺め透かして、何かないか探しました。
窮すれば通じる、です(^.^)
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Unknown (pada)
2021-12-29 18:20:50
就職したのが四日市で、ここでは万古の祖、森有節は人気で高かったです。嘉永年製の銘が良いですね。
有節の銘のリストの横に福島勇七が載っているのには驚きました。大川内から逃げ~地元の砥部にやってきた人なんですが、後日連れ戻され処刑されたとか!
伊万里では劇になるくらい有名なんですが何故か砥部では表面には出て来なく不思議です。
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padaさんへ (遅生)
2021-12-29 19:37:31
四日市ですか。今では万古焼の本場ですね。万古焼が三重県で生れたのは不思議ですが、その後、県内の多くの万古、さらに東北の二本松万古、大垣の温故焼などへ枝分かれしていったのも不思議です。

福島勇七の事は知りませんでした。外から秘かに技を盗みに来る人は幾人かいたようですが、内部から外の窯へ出た陶工は珍しいですね。砥部焼にとっては恩人でしょう。劇的な人生ですからドラマにもなるのですね。
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