遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

トイレ美術館26 珍品 花柳章太郎『エナメル画 ヨーロッパの街角(仮題)』

2023年12月30日 | 絵画

大変珍しい品です。

花柳章太郎『ヨーロッパの町角(仮題)』16.1㎝x23.1㎝。エナメル。昭和。

花柳章太郎(はなやぎしょうたろう、明治二七(1894)年~昭和四〇(1965)年):東京生れ。劇団新派の統率者、女形として活躍。演劇の他に、俳句、随筆、作陶、絵画など多方面に才能を発揮した。

私は、この品を、ずっと陶板画だとばかり思っていました。今回のブログを書き始めるまで、例によって、品物をしっかりと見た事がなかったからです(^^;

触ってみるとヒンヤリしますが、どうも陶磁器とは違う・・・

よく見ると、陶板ではなく、真鍮板の上に、風景が分厚く描かれています。

これは、エナメル(色ガラス釉)焼付けですね。

有名画家の陶板画は、ほとんどが原画を陶板に焼き付けた数物ですが、今回の品は、作者が描いた一品物です。

エナメル(エマーユ)画は七宝の一種で、ヨーロッパで数多くつくられてきました。ほとんどが、人物を精細に描いた物です。

ところが、今回の品は、油絵の風景画に近い雰囲気の作品です。

木の幹など、よく見ると、複雑な色使いがなされています。

雪のようにふんわりした白釉の質感が、独特の雰囲気をだしています。

右下に「花」のサイン。

花柳章太郎は、文字通り、multi talent な芸人さんだったのですね。

 

コメント (6)
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