遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

宣徳銅?三足香炉花器

2023年01月24日 | 花道具

先回の銅花活けと非常によく似た品が出てきました。

径 12.2㎝、高 6.0㎝、重 1.1㎏。中国清朝?

三足の銅器です。先回の品より一回り小振りです。やはり、非常に重いです。

底に、「大明宣徳年製」の銘があります。このような銘は、陶磁器でおなじみの「大明成化年製」と同じように、一種のブランド銘として使われてきました。オリジナルは中国明の宣徳年間(1426-1435)鋳造の銅器、それを後世になって模したのです。

先回と今回の品、二種の銅器を較べてみます。

先回の品(右)が、少し赤みがかった艶のある茶褐色(宣徳色)であるのに対して、今回の品(左)は、少し黒みがかった茶褐色です。右の品のように、ピカピカした艶はありません。

現在、宣徳銅といえば、右のような品を指します。しかし、私たちが目にする宣徳銅のほとんどは、明治以降に日本で製作された物です。ひと昔前までは、どこの家にも、宣徳銅の火鉢がごろごろ転がっていました。これらの品は、真鍮に表面処理を行ったもので、今でも、宣徳色に美しく輝いています。しかし、中国製の宣徳銅が、600年の時を経て、どのような色調になっているか、私は本歌を見たことがないのでわかりません。すくなくとも、現在我々が目にする宣徳色でないことは、深い青色が当たり前だと思っている青銅器でさえ、当初は黄金色に輝いていたことからもうかがえるでしょう。

先回の品と較べると、今回の品では、年月を経た様子がうかがえます。明の時代の品は望めないかもしれませんが、中国では、清朝期にも「大明宣徳年製」銘の銅器が作られているので、その時代の品ではないかと思っています。

また、内側は荒れていて、花活け以外の物であった可能性が高いです。

先回の品は、周りに鍔状の縁が付いています。これは薄端花器ですね。縁に落ちた水が内側の溝に溜り、穴を通じて本体の花活け部分に戻るようになっています(下写真)。

一方、今回の品には、外向きの鍔はありません。

どうやら、これは香炉ですね。

品物が入っていた古箱には、「古銅火入型花器」とありますが、もともと香炉であった物を花器に転用したのだと思います。

花留めは、一方向にしか外せません。

古い香炉を花器に見立てた先人に敬意を表して、またまた松をいけました(ワンパターンもいいとこ(^^;)

時代をへた香炉のおかげで、様になりました。

 

松ばかりでは、あまりに芸がないので、

中国、宣徳帝もよろこんでくれるよう、

ニンニクスプラウト(ジャンボ)を入れてみました(^.^)

 

コメント (6)
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