遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

祝ブログ4周年!『小鼓型蒔絵野弁当』

2023年01月08日 | 能楽ー実技

気が付いてみれば、Yahooブログ以来、4年が経ちました。相変わらずブログネタ探しに汲々しています。で、毎度のことですが、節目にはらしい物をと考え、浮かんだのがこの品です(賀状は予告編(^^;)

上径 20.1㎝、底径 20.2㎝、高 27.5㎝。江戸中期ー後期。

煌びやかな蒔絵が施された小鼓型の野弁当です。

普通の野弁当箱には、上部に把手がついていますが、今回の品はなにもありません。運搬用の箱が失われたのか、それとも、はじめから、お座敷用野弁当として作られたのかはわかりません。

四段重箱と取り皿5枚が組み込まれています。

 

幅 19.2㎝、奥行 17.1㎝、高 20.2㎝。

四段重、各箱の高さは、下から、6.0㎝、5.1㎝、4.4㎝、4.0㎝と順に小さくなっています。これまで多くの重箱を紹介してきましたが、これほどはっきりと大きさに違いのある品は初めてです。

一方、皿の方は、

幅 18.9㎝、奥行 16.8㎝、高 1.0㎝。

5枚とも同じ大きさです。

重箱の蓋の横(箱側面も)と皿の表には、金で似た模様が描かれています。

本体はどうでしょうか。

もちろん、木製ですが、本体の上面は小鼓の皮、側面は小鼓の胴の形になっていて、かなりリアルに漆蒔絵で小鼓が表現されています。

蒔絵は、すべて梨地です。

たとえば、本体の底面は、

 

金を主体に、銀が撒かれています。

本体の内側や皿の底は、

銀を主体に銀が撒かれています。

ハイライト部の小鼓胴は、

ギッシリと詰まった金が見事です。

似た品物が、シーボルトコレクションにありました(2016年展示)。

こちらの方は、把手が付いています。錫の徳利もついていますから、本当の野弁当箱です。大型にするため、鼓をもう一個増やしています。ですが、なぜか片一方の鼓胴は蒔絵がほどこされていません(写真では見えない)。手抜き?それとも仕様か?上部の鼓皮もリアルには描かれていません。小鼓道楽の遅生としては、今回の品をとりますね(^.^)

小鼓意匠を取り入れた当時の職人さんに敬意を表して、実際の小鼓と並べてみました。

左は、琵琶蒔絵小鼓(江戸中期)。

鼓の皮は、大きさも全く同じ。驚くほどの出来栄えですね(^.^)

 

 

コメント (10)
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