遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

長崎螺鈿菓子箪笥

2019年11月28日 | 漆器・木製品

長崎螺鈿の菓子箪笥です。

最初見た時は、中国の品かと思ったのですが、中国にはこのような形式の箪笥はないので唐物ではなく、幕末に長崎で作られた長崎螺鈿とするのが妥当でしょう。

           13㎝x13㎝x15.5㎝

 

                                             正面

 日本的な花鳥風月からは少し外れているように見えますが、やはり和物でしょう。


 

波や囲み模様には、極薄の青貝が使われています。

遠くの山や岩、太古石などは、細かく砕いた青貝を蒔いてあります。

 

               上面

 

              背面

 

               右面

 

 

               左面

 

抽斗は3段です。

先に紹介した枝垂れ柳に燕紋の菓子箪笥のように、窓のあいた凝った造りではありません。後ろに窓がないので、抽斗を引き出すための取っ手がついています。

 

この長崎螺鈿を最初に見た時は、和物とも唐物ともつかない中途半端な品だと思いました。

しかし、詳しく見てみると、随所に趣向を凝らした細工がなされており、小さな品の中に、雄大な風景を描いているのです。

長崎螺鈿は一般に、平板な絵柄が多いのですが、この品は奥行きをもって描かれ、漆黒の闇の中に、楼閣山水図がボヤッと浮かび上がってきます。

やはり菓子箪笥はちがいます。小さな品ですが、その中に、キラリと光るものが含まれているのですね。     

コメント (6)
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