遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

長崎螺鈿手元箪笥

2019年11月04日 | 漆器・木製品

ここしばらく、古陶磁の紹介が続きましたので、少し趣向を変えます。

 

長崎螺鈿の小箪笥です。

このサイズの箪笥をどう呼んだらいいのかわからないので、ここでは手元箪笥としておきます。

長崎螺鈿は、幕末、長崎において造られた工芸品です。

通常の螺鈿に比べて、華麗に彩られた色彩の豊かさが特徴です。

多くの長崎螺鈿が輸出されました。

 

           18㎝x18㎝x22.5㎝

この品も、全面に彩色螺鈿細工が施されています。

前面と背面が蓋になっています。

 

             前面

 

                上面

 

 

               背面

 

               左面

 

                右面

  

 

 

蓋をとってみると、

 

引き出しが4段あります。

この中には、何を入れたのでしょうか。


螺鈿の漆器は、夜行貝やアワビなどの殻を薄く研いで漆で貼り付けます。

長崎螺鈿の場合、非常に薄く削った青貝の裏側に彩色を施した物を貼り付けます。色が透けるので、鮮やかな色彩が黒漆の地に浮かび上がります。花鳥風月のデザインが多く、中国風ティストと和の雰囲気がミックスされて、独特の趣をもった漆器となります。

長崎螺鈿は、短期間に相当数製作されたらしく、その気になって探せば見つけることができます。

同じ時代に作られた輪島や東北地方の漆器に比べ、漆器としての品質は劣るように思えます。螺鈿や漆がはがれやすく、あまり実用的ではありません。華麗な装飾を施したエキゾチックな品物であったため、輸出品や長崎土産として人気を博したのでしょう。

コメント (6)
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