遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

古染付魁星点斗図煎茶碗(5客)

2023年03月05日 | 古陶磁ー中国

中国の煎茶碗5客です。

薄造りで小ぶりな茶碗です。

口径 6.8㎝、高台径 2.9㎝、高 4.3㎝。中国明末。

小さな高台ですが、内側は、放射状に削られています。すべての器に虫食いが見られ、中国明時代の品物の特徴を備えています。

くだけた筆致で奇妙な絵が描かれています。

この奇妙な怪人のようなものは一体何?

これは、魁星とよばれる中国の文房の神です。特に、科挙の神とされ、トップで合格した者を魁星とよぶようになりました。もともと魁星とは、北斗七星の先頭、魁の星をさします。さらに、4星、7星も加えて、柄杓(斗)形の北斗七星を表すようになりました。魁星の顔が醜く、恐ろしいのは、見かけで人の優秀さは計れないということを、人々に示すためだといわれています。

器には、3個の星の横で、右手に筆を持ち、

右足で斗(ます)を蹴り上げる鬼のような姿の魁星が描かれています。鬼に斗で、魁なのですね(^.^)

なお、科挙では五経を試験科目にしていたので、このような絵を五経図と呼ぶ場合もあります。

何が書かれているのかわかりません。五経にちなんだ文言かもしれません。

茶碗の縁には、典型的な虫食いがあります。他の古染付でも、爆発跡のような虫食いがリズミカルに見られることがしばしばあります。これまで、虫食いの原因をいろいろと考えてきましたが、この辺に手掛かりがありそうな気がしています。

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南京赤絵釣図四方中皿(5枚)

2022年11月09日 | 古陶磁ー中国

また、南京赤絵の皿が見つかりました。

南京赤絵の角皿です。5枚とも無疵、擦れ疵無し、虫食いもありません。

14.0㎝x14.0㎝、高台 9.3㎝x9.3㎝、高 2.8㎝。中国、明末ー清初。

少し歪んだ器体に、赤絵で中国風の絵付けがなされています。

雲がたなびく木の下で、男が一人、釣り糸を垂れています。

この光景、どこかで見たような・・・・・

そうです、以前紹介した南京赤絵漁師高士図四方中皿と構図が似ています。

 

そこで、二種類の南京赤絵を較べてみました。

角皿の大さ、形、造りはほぼ同じ、使われている色釉の色調も一緒です。

裏側の周縁を鉄釉で塗った口化粧も同じ。

構図だけでなく、

人物も同一ですね。

どうやら、この二つの南京赤絵は、同じ窯で同じ時期に焼かれた物と思われます。しかも、何かのお話しの連続模様(右が先、左が後)の可能性大です。

最大の違いは、虫食いです。

左の皿には、5枚とも虫食いがあります。

ところが、今回の品(右)は、虫食いをいくらさがしても見つかりません。

「明末になると、中国王朝の力が弱まり、世の中が乱れ、陶磁器生産も衰退して、粗悪な材料を使わざるを得なかったため、胎土と釉薬の収縮率が大きく違い、口縁に虫食いが生じた。」

というのがこれまでの通説でした。

ところが、同じ窯の同じような品でも、虫食いの有無が異なる!

虫食いの謎は深まるばかりです。

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古染付貝紋中皿

2022年11月05日 | 古陶磁ー中国

今回は、いわゆる白洲正子好みと言われる品です。

径 17.2㎝、高台径 7.0㎝、高 3.2㎝。中国、明末。

蛤と思われる貝が描かれています。

全体に薄造りです。

器体は歪んでいます。

高台は小さく、砂が付着しています。高台内には放射状の削り痕がみられます。

90度回すと落ち着きがありません。

白が砂浜、塗りつぶし部が海を表しているからでしょうか。

図柄としては単純なものですが、これを描こうとすると案外難しいのではないでしょうか。

自然や動植物を使って図柄を描く場合、同じコンポーネントを使って幾何学的なデザインをつくるのは比較的簡単です。一方、動植物をいくつか自然に配置するのは非常に難しい。どうしても人間の作為が入ってしまい、偏りが生じてしまうからです。

きちんと整列したり、きれいに散らばってしまっては面白みがありません。かといって、偏り(蛤の種類、向き、集まり具合)が強すぎてもダメ。そいう目で今回の皿を見ると、二種類の蛤が微妙な配置で描かれていると言えるのではないでしょうか。

その辺が、白洲女史のお気に召したところかも知れません。

ところが、この品には難点が(^^;

この品は、25年程前、大阪老松の骨董店で求めた物です。当然、それなりのお値段。しかし、その時には気づかなかったのですが、よく見ると傷があります。下写真、左上の貝の右側に薄っすらと、釉薬の下に鋭い筋が走っています。何らかの原因で内部から傷が発生したのです。もう少し大きくなれば、ポコッと剥がれるでしょう。こういうハガレ疵のうち丸いものを、骨董界俗語でハマグリとよんでいます。

商魂たくましい大阪商人は、ハマグリも売るのか😠😡

こころやさしいモンスター君が、慰めてくれています!?(^.^)

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これぞ!南京赤絵!扇面図中皿(2枚)

2022年11月01日 | 古陶磁ー中国

南京赤絵の皿、2枚です。

径 13.9㎝、高台径 8.4㎝、高 3.7㎝。中国、明末。

非常に印象的な絵付けの皿です。

2枚の図柄、色は微妙に異なります。

この時代の中国陶磁器としては珍しく、両方の皿とも、裏側中央に、針支え跡が一個あります。縁に虫食いはありません。高台内の放射状削り跡もありません。

裏には、赤で圏線が4本引かれています。裏模様も控えめです。

しかし、表側は・・・

とにかく、にぎやかな絵であふれんばかりです。

扇面が4個、葉が2枚と梅?の花が散りばめられています。

扇面世界の中の2枚の葉、まるで唇のように官能的です(^^;

谷岡ヤスジのマンガ?

それとも、横尾忠則のポスター?

キッチュでハチャメチャな感じが何ともいえません(^^;

まさに、ゲージツはバクハツ。

お察しの通り、この2枚の南京皿は私の愛玩品です(^.^)

 

 

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天啓赤絵菊花紋中皿(5枚)

2022年10月30日 | 古陶磁ー中国

天啓赤絵の菊花紋中皿、5枚です。

 

径 16.0㎝、高台径 8.6㎝、高 3.1㎝。中国明末。

中央に菊紋、周囲に丸幾何学紋を配した皿です。

裏底には「天啓年製」の銘、高台内は放射状に削られています。

染付模様の地に、赤と緑の二色で上絵付がなされています。

南京赤絵、天啓赤絵、萬歴赤絵・・・似たような陶磁器に、色々な名称がついています。これまで紹介してきた南京赤絵とは、広義には明末清初の景徳鎮民窯の陶磁器を総称し、狭義には、天啓赤絵、萬歴赤絵、色絵祥瑞などを除いた物を指すようです。

今回の品は、天啓赤絵と呼ばれる明末民窯の皿です。

染付と赤絵の併用が、天啓赤絵の特徴であると言われています。

先に紹介した南京赤絵の皿と同じく、縁の虫食いを除いて、疵や擦れが全くありません。

「須知九日始若」の意味は不明です。

皿の縁には、きれい?な虫食いが見られます。

別の虫食いは・・・・おや!??!!

顕微拡大して見ると、

島のように取り残された上釉があるではありませんか。しかも、染付の跡もかすかに残っています。

この写真からは、胎土と上釉の収縮率の違いから釉薬が剥がれ落ちたとはとても思えません。虫食いは黒く焼け、疵口の釉薬が熔けていることからして、焼成の最中に小さな爆発のようなものが胎土の表面で起こって、熔融状態にある釉薬が吹き飛んだものと思われます。明末の呉須赤絵大皿に関しても、焼成中に同じような疵が生じる(皿の縁ではなく、色釉部に)ことを、以前のブログで報告しました。このような疵は、何かの微量成分が、熱によって急激にガス状物質を生ずるためと推定されますが、詳細は不明です。また、虫食いがどうして器物の縁だけに起こるのかもわかりません。

今回の品は、20年以上前、◯◯◯◯流通センターで入手した物です。観光地養老にあって、県外からも骨董好きな人が訪れる店です。それなりの物から珍妙な品まで、あらゆる品物が膨大にあります。その片隅に売れ残っていました。10枚揃いでした。そのうち5枚は行方知れず。誰かに差し上げたのかもしれません(^^;  というのも、一桁間違い?というくらい安価だったからです。まあ、図柄がパッとしないから売れ残っていたのかも、くらいに思っていたので、半分なくなってもさほど気に留めていませんでした。

ところが、この品の写しが、あの魯山人によって作られていたのです。

幾何学丸紋にかこまれた菊花紋。丸紋に多少の違いはありますが、今回の天啓赤絵皿の写しであることは疑いありません。私が購入した10枚の天啓赤絵皿の10倍出しても、この魯山人の写し皿1枚は購入できないでしょう(^^; お値打ち品天啓皿の100倍以上のプライス!

魯山人は、この地味な天啓赤絵皿のどこがいったいお気に召したのでしょうか?

あらためて、品物を眺めてみました。

なるほどー、菊花の間に、3人の子ども?が隠れている(^.^)

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