ちーろぐ

今日の出逢いに感謝を込めて

命がお金に換わる時

2006-09-05 13:43:08 | 税金ウオッチャー
金融庁が自民党に提出した
『貸金業制度の改革案』を見て、仰天しました。

年20%~15%に定められている「利息制限法」と
年29.2%を超えると刑事罰の対象になる「出資法」との
間にあるグレーゾーンが、以前から問題にされていました。

本来は認められないのだが、一定の条件付で暗黙のうちにサラ金業界では
用いられていました。
その結果、返しても返しても返済が終わらない人たちが増え、
さらに彼らは多重債務者となって、人生をただひたすら借金返済のためだけに
生きている実態、を重く見てこのグレーゾーンを撤廃するために
この度、制度改正がなされるではなかったでしょうか。

しかし、実際には
「金利を下げると信用力の低い顧客には貸せなくなる。
 業者も、借り手も両者が困る」
という理由で、新制度においても『特例』で上限を超える金利を
認めるという内容でありました。



個人向けは、「返済期限1年以内で50万円まで」
または、「同半年以内で30万円まで」の範囲なら同時に3社まで
年28%の金利で貸せるようにする。
最長5年程度の時限措置にするというのです。

これは、なんと言うことでしょうか?!

そして一方で金融庁は先日、大手サラ金業者が去年自殺者の保険金で
弁済を行った事例が、約3600件あったということを発表しています。
1年間の自殺者が約3万人と言われていますから、自殺者のうち10%
を超える方が、サラ金の餌食になっている実態があるのではないでしょうか?

サラ金は、貸し付けた人から取れるだけの金利を取り、
返せなくなった人がやむなく選んでしまった死によって、
「命」が「お金」に換わるのを待っているのです。

多くの人は、「そんな高利で借りるからだ」
      「借りたものは返すさなければならない」
そして『自己責任』と言うでしょう。

しかし、金利15%以上は違法であり、知らずに支払っていた場合、
本来は、元金に充当されると最高裁で判決が下っています。

しかし、自民党の一部の議員は業者も困るが、借りれなくなる借り手が
困る。というのです。
誰が、「高い金利で借りたいと思うのでしょうか」

サラ金業者への融資は、大手銀行から行われ、今や大きな顔で
都市銀行の中に「サラ金コーナー」があります。

都銀は不良債権を抱えた時、巨額の公的資金を投入されています。
この公的資金はもちろん『税金』であります。
この流れをもっと私達は、目を凝らして見なければいけないと思います。

「よ~く考えよう。お金は大事だよ~」もちろんそうです。
しかし、「命」に変えうる「お金」などありません。
またその逆もありません。

『自己責任』様々な場面で安易に使われているように思います。
己の『利』のために、人が死ぬことすら厭わない業界の存続など
本当に必要なのでしょうか?