季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

曼荼羅を巡る旅

2015-11-10 22:13:45 | ハンドワーククラブ HandworkClub
クリニックの秋の遠足。
夏の終わりくらいから「どこに行くんやろう?」なんて話が出るほど、むしろ一年前から言ってる人も居るくらいみんなが楽しみにしている遠足。
今年は京都。東寺と大原三千院。

クリニックに集まって投薬や診察など済ませて集まった人たち。
この日のために説明会も受けて、体調を整えて来ます。

みんなでバスに乗り込んで京都に向かう。
1時間半ほどの間にトイレもタバコもなしというのが始めの関門。

まずは東寺へ。
紅葉は少し早いけれどもそれでもなんとも美しい。日本一高い五重塔に映える。
私は東寺はいつも見てるけど入った事なかった。
講堂を時間をかけて観ました。
これが立体曼荼羅と言われているらしい。大日如来を中心とした天国の世界と燃え盛る地獄の世界。そして十二神将と四天王。
ぐるりと周りを観る事が出来ます。
これがすごかった。

もちろん天の部は美しく神々しい。大日如来を観た時にはハッと息が止まるくらい感動する。目がうるんで見えて胸の底までグーッと慈悲の心が降りてくる。
宗教によっては偶像崇拝を禁じているところがあるけれど、偶像が存在する意味ってやっぱりあるよなあと確信する。観てわかる事、あります。
左の方に行って、不動明王とそれを取り巻く炎の神達。その迫力がすごい。京都を良く知っている患者さんが「不動さんがええねん!」って言っていた。
その形相や火の後背など観ているとわかった、煩悩や負の感情を焼き払ってくれる彼らこそ救いの主かもと。
重く硬くつらいものこそ、炎で焼く必要があるのかと。

その一番左の端におわせられたお姿。帝釈天。
ふっと二度見三度見するほどの美しさ。丹精な顔立ち。白象の上に半跏で居られるその姿勢の美しさ。
どの角度から観てもそこから立ち上る清さが息をのむほど。
すごいもの観ちゃった!
調べてみたら仏教界随一のイケメンと有名らしい。さすが!

その後、特別拝観の五重塔と金堂を観てバスに帰る。庭の池の鯉も見事で紅葉も満喫。

豪華な美味しいお昼を食べる。懐石膳。湯豆腐や湯葉など日本料理。クリニックの遠足でこれはすごいとだと思う。
でも実はここにも関門が。患者さん達はお酒の影響で胃腸を患っている人が多いです。食べないでお酒を大量に飲むことで炎症になったり、癌になりやすかったりするようです。それでご馳走も彼らにとっては試練にもなる。
それをクリアできると言う自身のある人だけが申し込みをすることが出来ると話している人が居ました。
実際に揚げ物を他の人に頼んで食べて貰っている人も。

お土産をゆっくり観て再びバスへ。そして北へ向かう。
道すがらの景色も奥山の清流に変わる。

三千院。美しいところです。
駐車場に降りたら看板に「ビール、日本酒」の文字が。店の人も「どうぞ!」と言ってくる。
そこでの我慢、並大抵ではないだろう。でもここで飲んだらアカンなあと、冗談のように話しながら本気で我慢する。
参道を登りながら、美しい紅葉を観る。
拝観の前に階段で並んで記念撮影。これが大事。
もう何年も遠足に行ってるけど、その写真を見返すとあの人もこの人も居なくなっているのがわかる。
遠足の始めに相談員さんが「このメンバーで行く事は二度とないと思いますので」って言ってたのは本当です。
それぞれの体調や健康の変化があるから、一回一回が貴重。その記録としての写真です。

境内に「往生極楽院」と言うのがある。ここでは阿弥陀如来と観音菩薩、大勢至菩薩。この菩薩様が好きです。
それはその座り姿勢。他の所ではこれは見られない。少し前傾の大和座りと言うのをしているそう。それは少し前傾で腰を浮かせた状態で、いつ何時でも衆生を助けに行けるようにと備える姿勢です。それに感動した。

美しい紅葉と苔の境内を巡りながらみんなと写真を撮ったり眺めたり歩いたり。それが幸せ感を増幅させる。
心配していた天気もほど良く日が差し、ほど良く風が吹き、暑過ぎず寒すぎずちょうど良い気温で散策にはもってこい。
今日も院長先生のお力のすごさがみんなに知れる。いつもどんな時でも遠足は晴れます。院長が神様に電話して頼むらしい。このレジェンド。

今日も一日、みんな無事にちゃんと係員の指示に従って動いて、誰もお酒を飲む事も倒れる事もなく神戸に帰ってこられた。
当たり前のようなこの奇跡。飲んでいた時にこんな日が来ると誰が想像もしただろう?
健康な人には当たり前かもしれないこの遠足と言う行事が、どれほどの大切な意味のあるものか。何年も行ってようやくわかってきた私です。
断酒を続けて養生して来年の遠足も一緒に行きましょう!





三宮でバスを降りて、いつもお世話になるフリータイムと言うお店に寄る。お目当ての買い物があったので。
そこで店主と話しているうちにひょんなことから曼荼羅があるよと言う話に。それで奥から丸めてある紙の束を出してきた。
それがこの前須磨寺で観たネパールの細密極彩色の西方曼荼羅そのものだった。
いろんなバージョンのものがここに目の前に手の触れるところにある。そのすごさ。
次々と出てくる天界の地界の景色に心奪われる。ついさっき観て来た立体の曼荼羅との相似形。
こんな所にこんなものがこんなにもあって良いのか?と思うほど。店主も言ってた。
須磨寺、東寺、三千院、そしてこの曼荼羅。が偶然だけど繋がっている事に怖いほどの感動を覚える。
近いうちに一つ手に入れたいなあと思いながら、店主に感謝の意を現して店を後にした。

曼荼羅つながりのこの頃。不思議な縁。



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