さかな

魚屋さんの店先のささやかな素話...。

トマトおじさん。

2005年06月03日 | 店先から
 「とまとちゃんは、いないかなぁ~

去年の今頃からだろうか・・・
妙な節をつけながらトマトを買いに来る。値段の高い時は買わないが安い時には必ず買っていく。
身なりは裸に薄汚れたシャツを一枚はおっているが黒くて丸いお腹はだしっぱなし。

 「今日はこれで一杯だぁ~はいはい~

他のお客さんがいようがいまいが節をつけて歌っている。
義母などは完全に警戒している。

我が家では彼を『トマトおじさん』と呼ぶ。

トマトおじさんの身元は間もなくわかった。店の駐車場に車を止めたとき中を覗き込んだ。車の中には、毛布、ガスボンベ、鍋、衣類、ダンボール、新聞紙・・・。
そう、トマトおじさんは車の中で生活をしている・・・つまりホームレス。いつも橋の下にいるらしい。仕事はしている。毎朝大きなトラックが土手に迎えに来る。鉄くずを運搬しているようだ。
仕事帰りには洋服が錆だらけ。あれだけの鉄くずを運び疲れている様子だが、トマトおじさんの
「とまと節」は止まらない。

 「あれっ、今日はトマトないの?ありゃま~と~まとちゃんはいないのか~い

初めのうちは、あまり話さないようにした。怖かったし、あまり歓迎できるお客さんとは思えなかった。義母はトマトおじさんが見えると店の奥に消えてしまった。

去年の夏、この地域の夏祭りのこと・・・お囃子の太鼓が夜空に響く。私は市街地の華美なお祭りよりもこっちのお祭りが好き。みんなで屋台を引いていた。ふと前を見ると、屋台を引く人の中に
トマトおじさんがいた!いつものように丸いお腹を出して、草履を履いて綱を引いている。
きっとお囃子の音色が橋の下まで響いてきたのだろう。その姿は少年の様にも私は思えた。
(トマトおじさんの生まれ育ったところにもお祭りがあったのかなぁ・・・今はホームレスでも昔は家もあったし、親や兄弟もいたんだろうな・・・)そんなことを思いながら私はトマトおじさんのうしろ姿を見ていた。

最近トマトおじさんを見ていない。トマトは甘くてしかも安いのに・・・。住む家が見つかったのかな?そうであってほしいと願います・・・

とうもろこし。

2005年06月03日 | 料理&お弁当
宮崎県産のとうもろこし。我が家では今年初。まるごと茹でてそのまま一人一本食べる。長女は端から、次女は真ん中からまわしながら。旦那はあちこちから。義母は一粒づつ手でほぐしながら。私はきらい…(^^ゞ