どうせ地球のチリだからな。

生き方を変えたから、ブログも変えようと思った。
企画屋の日記です。

おばあちゃん。

2012-07-17 15:40:14 | Weblog
名古屋駅。
おばあちゃんが階段でカートと格闘してた。
「任せろ。」
と言って立ってたら仰天した顔で見られたけど、ニッコリ笑って、
「お願いします。あなたも重そうね~!」
「軽いです。」
カートを持って階段を駆け上がって、おばあちゃんを待ってた。
「ふ~。えらい階段ね。あなた、すごい荷物、どちらから?」
「仙台からです。」
「あらあら!それは大変でした!遠路遥々ありがとう。」
「暑くて大変でした。ねぇ、ウナギ屋さん知ってる?」
「時間があるなら一緒に並びましょうか?色々あるけど一番混んでる美味しいお店があるのよ。空いてるお店はダメよ。」
そう言って、一緒に並んでくれた。
「蒸したウナギは食べられないわ。名古屋のウナギは美味しいのよ。香ばしくて。一緒に食べてもいいかしら?お友達も呼ぼうかな?呼んでもいいかしら?」
「もちろんです。」
「お友達はやっぱりやめましょうね。あなたにご迷惑だから。若いのかな?学生さんかしら?」
「若くないし学生じゃないです。」
「日本一周?それとも世界一周?」
「日本一周です。一周?ジグザグです。日本ジグザグ。」
「あら。それで正解!」
そんな風にして、出会ったおばあちゃん。
正解だって。

「一番高くて、量の多いのにしなさい。」
ひつまぶしをご馳走になっちゃった。
「目が優しいわね。鋭くて優しいおメメ。あはははは。誤解されちゃうね、それじゃあ。何かあったんだね、あなたにはね。」
年末に亡くなった洋子ばあちゃんに似てる人だと思った。
旦那さんが亡くなって、17年間社長として頑張ってきたこと。
息子さんに会社を譲る前に世界一周をしたけどギリシャには行けなかったこと。
ウナギが大好きで、毎日だって食べられるってこと。
「だってね、いっぺんしかない人生よ」
って笑ってくれたこと。
僕はずっと忘れない。

お礼に熊野古道を歩いて本宮大社で買って来たお守りを差し上げた。
「大変だったから、ご利益あると思うんだけど。」
名乗ったかどうかも分からないのに、
「了ちゃん、どうもありがとう。これ、ずぅっと大事にしますからね。」
って喜んでくれたのだ。
了ちゃんって呼ばれた事が嬉しくて、ビックリして、さらに、
「はい来たよ。召し上がれ?」
って言う笑顔と声がばあちゃんにそっくりでボロボロ泣いてしまった。
少し曲がった指先も同じ。
あんなに美味しかったのに、あんなに泣くなんてね。
「世界を知る前に、先ずは日本のことを知ると素敵だと思うわよ。」
下を向いて食べてたけど、話しかけてくるから、
「そのつもりで間もなく一ヶ月です。」
その言葉にも胸がいっぱいになって、涙が止まらなかった。
「あら!あなた泣いてるの?あらま、どうしよう。」
そう言って、おしぼりやらハンカチやらを出してくれればくれるほど涙が止まらなくて困った。
胸がギューってなるのだ。
「了ちゃんには何かあったのね。仙台からですものね。さっき大変でしたでしょうなんて言ったのは道中のこと。去年のことは大変だねなんて言わないし、聞かないわ。やせてるわね、いっぱい食べなさい。楽しかった場所とか旅のお話しを聞かせてくれる?」
波照間島、与那国島、石垣島、ずっと順番通りに昨日の夜までのことを話した。
「素敵だなぁ。私は70歳だから出来ないなぁ。」
と言うので、
「僕が知ってる80歳のおばあちゃんは、私があと10歳若かったら何でも出来るって言ってました。だから、大丈夫です。人はいつでも、そう思うものなんだと教わりました。」
「確かに、10歳若かったら私は何だってするかも。」
穏やかでゆっくりな時間だったなぁ。
亡くなった旦那さんに、毎年手紙を書いていて、ある日ね返事が来たそうです。
「書斎を片付けていたらね、【何年後かの君へ】という手紙を見つけたの。癌で亡くなったから遺書を書いていた訳ね。私のことをどれだけ愛してるか、どれだけ愛していたのかを知ってるかい?って書いてあってね。そして、お金が入ってたのよ。好きなモノを買うといい。って。だから、指輪を買って頂きました。」
花火のことを思い出しながら聞いていた。
花火のことは、なんか話せなかった。
おばあちゃんは最後に、
「最初驚いたんだけど、この人は素晴らしい青年って目を見て分かったから。私にとっても大冒険だったよ?私の荷物を持って走って行っちゃうんだもの。でも、信じてたからね。追いついて、了ちゃんが階段の最後に手を差し伸べてくれたから嬉しかったの。やっぱりねって思ったよ。」

おばあちゃんは桃をくれた。
「高島屋さんで買った美味しい桃をあげるわね。
あなたは男の子だから、どこでもかぶりつけるでしょ?」
桃、いつ食べようかな。

名古屋も大好きになった。
どうかお元気で。
いつまでもお元気で。
一期一会という言葉の重さと、同時になんだか切なさも感じました。

しかし、一瞬でもひったくりに思われていたのか…。
ははははは。

金沢を目指す。
そして、なんとか富山まで行くぜ。
おばあちゃん、ありがとうございました。
それと、天国のばあちゃん。
俺は…僕は元気です。


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31 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うぅっ(泣) (望月(嫁))
2012-07-17 15:51:52

やさしいおばあちゃんだ…うぅっ(泣)

愛知の次はいよいよ静岡か?!って
ちょっとドキドキしてたけど残念。

道中気をつけて。

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素敵な日記を (goobel)
2012-07-17 15:55:14
ありがとうございます。
なぜだかわからないけど胸がいっぱいで涙がとまりません。
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もう! (ちえ)
2012-07-17 16:20:44
泣いちゃった。。。
了ちゃん、おばあちゃん、の旦那さんに泣かされちったよ。
素敵な出会いいっぱいしてください。
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Unknown (中山)
2012-07-17 16:36:12
君はおじさんをこんなに泣かせてどうする気だ~い?
仕事にならん。

破壊力グーね!
とってもグーね!

更新する時間を考えてね!
それでも僕ぁ、君が好き!
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きっと (KANA@横浜)
2012-07-17 17:00:59
洋子おばあちゃんがそろそろ心配になって
一緒にうなぎを食べに来てくれたんですね。

梅雨明け猛暑の職場(渋谷)で、大量のゴキブリが
目を攻撃してきました。

道中、尚、気をつけて。。。
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もう帰ろう (さら)
2012-07-17 17:36:27
もう、仕事にならないので帰ろう。
会社で読む私が悪いのだ。
そうそう、私が悪いの。
メイクがひどい事になってるよと同僚の男に言われたって結果として仕事中に団長の行き先を気にしてる私がいけないのだ。
何かあったのか?上司に心配されて、帰るといいとまで言わせる私が悪いのだ。
団長は悪くない。むしろいい。超いいと思うわよ。
この映画泣くよ?と言われて彼氏と見に行ったのに泣けなくて、無理して泣こうとしたらガマガエルみたいな顔してどうしたの?と言われ別れるほど泣かない私が、こんなに泣いたのは、仕事中に読んだせいよ!!
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ぎゃー (ゆさぽん)
2012-07-17 17:39:22
今日もう、おうち帰るぅ!
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号泣 (Unknown)
2012-07-17 17:54:38
私もいつか、こんなふうに若者にご飯をご馳走してあげられる素敵なおばあちゃんになりたいです。
どうかこれからの道中お気をつけて。
岐阜の空の下から祈っています。
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Unknown (キャプテン。)
2012-07-17 17:59:22
だから仕事中に…。


俺も日曜日、鰻食べてから東京に戻ったんだよ。

愛知県出身だから、関東風の蒸した鰻は食べられないから。
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三回読んで。 (もとみや)
2012-07-17 18:15:15
三回読んで、三回撃沈。

団長!
本宮、残り一機です!
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