Rスズキの毎日が大食い

おいしいものと食べることが好き。マンガもね。

赤マルジャンプ2006summer感想

2006年08月13日 | マンガ
赤マルジャンプ、もうでてました。

「彼女と僕と夏」オールカラーで河下水希センセの作品。中身はとくになく女の子のいろんなアングルのビキニ姿がおがめるという夏らしい一品。いちごの番外編かと思いましたがどうも名前が違うので別の作品らしい。

「ディスペンサー」<内水融>前作「フォレスト」が良かったので期待したいところです。おはなしはやや自己犠牲が強めの主人公としっかりもののおんなのこという内水色のストーリーですね。弱いと思われていたニコロが実は策士で強かった。サグ隊長の名誉回復などカタルシスもあってよいお話でした。

さて、主人公や女の子の服装で現代かと思えば、なんかちょっとちがうような。店のつくりや家の中が昔風です。ジャムが店頭に並んでおりますから保存食としての瓶詰めは1804年の発明ですので、19世紀以降といえるでしょう。また「火付け棒」と称して「マッチ」が登場します。ここでいう黄燐マッチは1831年に発明されました。これははなはだ危険なため1855年赤燐を使った安全マッチに取って代わられます。
ゲイル少尉の騎馬姿が中世騎士風ですが、近代軍服よりそっちの方がかっこいいですからねえ。

「バイオレンスマスク」<松田利幸>前作もプロレス物でしたな。作者のプロレスに対する愛がひしひしと伝わってきます。これからもこの路線で突き進んでください。おもしろかったです。

「外伝 太臓もて王サーガ」<大亜門>なんと荒木先生の手による8頭身太臓が見られるとは!こち亀の両さんもそうでしたが、なにかいても見事にアラーキー風になります。ネタとしては「がんばれ ワシのなかのジェバンニ!」2連発が良かったです。

「プルシャンブルー」<小倉裕也>熱血な主人公と病弱なヒロインって、ありきたりなような気がしませんか。絵柄は好印象。モップに乗って空を飛ぶとか、雲の上には水のオアシスがあって、水が詰まってたとか、とにかくファンタジーな作品でした。もうおばちゃん、こんな御伽噺にゃときめかないのよ。

「鉄と王のバスケットボール」<久米利昌>絵があまり進歩してないような。鉄がほんとにイタイやつにしか見えなかったので読むのがきつかったです。

「マジ・ヤツ」<普津澤画乃新>絵はうまいしきれいなんだけれど、デザイン的処理が効きすぎていて読みにくいし、あまり好きになれない絵でした。ストーリーというより、作者の作った設定をどんどん披露していくだけで、キャラクターが動いている感じがしませんでした。前の話も似たような感じだったような?ヤツに吸われた設計図は「おれの細胞に犯されちゃうのよ」というからには、主人公の頭脳の中にある設計図を吸い取ったら人間でなくなるのかと思いきやさにあらず。ほっぺにスジが入っただけなのでした。なんだか肩透かしでした。登場人物の口調が全て似通っていて、ずっと独り言を聞いてるみたいな気がします。もうすこし表現を差別化してはどうでしょうか。

「ルーム ストレンジャー」<松本直也>「ネコロマンサー」でデビューしたひとですね。今回も狼や猿が出てきますから動物好きなんでしょう。いきなりじいちゃんが昇天しますがこれはどういうことかと。次いでカンタ登場の後にコランが出てきますが、これが兄弟でカンタが弟だと分かるのに時間がかかりました。「ファントムピース」が「ツギハギ漂流作家」の「命具」そっくりでした。ブルブルッ、縁起でもない。影が狩られるのを防ぐには真っ暗闇にしたらええんでないかいと思わないでもないです。または無影灯とか。この町の人は警戒心がなさすぎです。しかしストーリーの方は兄弟が力をあわせて考え出し、「影盗りコローの影を自分に切り取らせてしまえばイイ」とはうまい作戦でした。でも読者にうまく伝わったのかな。結局影盗りは殺してしまったし、切り取った影が元の人間に戻るわけでもなく、おじいちゃんの影を見ることが出来ただけだったのでカタルシス不足。

「チミドロK」<小幡勇一>ちょっとごちゃごちゃした感じの絵ですが、個性的でよろしいんじゃないでしょうか。効果線の使い方を工夫してもっと絵に動きがあるようになればよいと思います。コマ割りもなかなかでデビュー作にしてはかなり見せてくれます。お話はなかなか感動的でしたし、次回作に期待。

「ベルモンドの拷問百景」<石岡ショウエイ>西洋の中世で、拷問係を生業(なりわい)にしているという一風変わった主人公。前作のサッカー漫画とは180度変わりましたよ。絵もすっきりしてきて読みやすくなりました。キャラクターの背景を作りこんであるのでセリフに深みがあってここは良いところでした。拷問が真に迫っているようでそのじつ夢のようなしろもので、すなおにビックリしたらいいんでしょうが、こんなの描いても大丈夫と要らぬ心配してしまったのでした。

「最凶(?)のクラスメート。」<小山 潤>魔法学校ならぬ「因」学校に転入学する双子の弟というストーリーで、これに『絶世の美少女』がからんでまいります。美少女と言い切るにはいまひとつでしたな。生まれながらに「因」を多くもっているものの、いまだその力を使う術を知らない主人公・・・はい、もうおなかいっぱいになるくらいの設定です。

「花咲か姫」<藍本松>非常に絵がきれい、ストーリーも良く出来ていて今回イチオシの新人です。もはや完成形。ただし少年ジャンプ向けかというとさにあらず、少女マンガか、アフタヌーンあたりなら違和感ないでしょう。

「牙になる」<附田 祐斗>このあいだからマンガ描いてみましたみたいな、いかにも描きなれていない絵でした。画力を補うのは物語のほうで、読みにくいのをこらえて最後まで読み進めると、父を尊敬する息子の姿がなかなか心地良かったりするのでした。主人公の向上心や正義感なども好もしいです。

「べしゃり暮らし」本誌は打ち切りとなりましたが、赤マルで完結編という「武装錬金」のパターンです。森田まさのり先生の絵はもうトレンドじゃないということでしょうか。この後青年誌に移るのかなあ。実質の最終話ということで、きそばATのふたりがネタをパクられたあとどうなるのかと思いましたが、きれいにまとまっていて良いお話でした。

「エコロボットのセツ子さん」<斜塔タワー>「平安京エイリアン」ってなゲームありましたね。こんなの知ってるってことはこの作者かなり年食ってるってことでしょうか。こなれたギャグマンガって感じでした。特段ココロ惹かれるものはないような。